抗議文


アメリカ合衆国大統領

ジョー・バイデン殿


2024年5月18日

原水爆禁止日本協議会


貴国政府が2024年5月14日におこなった臨界前核実験に対し、被爆国の運動として強く抗議する。

核エネルギー省安全保障局(NNSA)は、今回の実験が核弾頭の安全性や有効性、性能改善に向けたデータ収集に目的があるとしている。これは、バイデン政権が策定した2023年核態勢見直し(NPR)による設計寿命を超えた核兵器の更新、近代化をはかる「交代プログラム」と一体のものである。


貴国政府は、他国の核兵器の開発・取得・保有に反対する一方で、自国の核は「安全の保証」であり、「侵略を抑止」し、戦争を「防止」すると繰り返している。しかし核兵器は、ウクライナの戦争にもみられるように、侵略や戦争を「防止」しないばかりか逆に危険をエスカレートさせ、一度使われれば人類滅亡にさえ通じるものである。


現在、圧倒的多数の国ぐにが「核兵器のない世界」による安全保障を求めて核兵器禁止条約を支持し、条約に参加している。2021年1月に発効した核兵器禁止条約は、核兵器の開発、実験、保有、使用と威嚇を含めて、核兵器のあらゆる活動を禁止している。


どんな形であれ、今後一切の核実験をおこなわないこと、核近代化計画の中止を強く要求する。同時に、貴国がこれまで誓約してきた「核兵器のない世界」の実現にむけて、核不拡散条約(NPT)再検討会議での合意事項の履行や、核兵器禁止条約への参加など、誠実に行動することを要求する。


以上



抗議文


アメリカ合衆国連邦議会
共和党上院議員 リンゼー・グラハム殿


2024年5月17日

原水爆禁止日本協議会


あなたは、2024年5月8日、米上院歳出委員会国防省委員会で、1945年の広島、長崎への原爆投下について、これが「戦争終結につながった」との考えを示し、「イスラエルは負けるわけにいかない。これは、広島と長崎の究極版だ」とのべ、アメリカによるイスラエル軍の行動の支援を促した。


 

いま、世界の世論と圧倒的多数の政府は、パレスチナ自治区ガザ地区住民に対するイスラエル軍の無差別の殺りくと破壊に抗議し、即時の停戦、即時の人道支援、人質の解放、イスラエル軍の撤退、国連の決議に基づく紛争問題の平和解決を求めている。一般市民にたいするテロ攻撃はもちろんいかなる理由であれ、容認されるものではない。だが、武力攻撃の継続とそれに対する米国の軍事支援は、問題解決を遠ざけ、罪もない市民の犠牲を拡大するたけである。まして、核兵器の使用を促したことは、広島、長崎をガザで再現させてもかまわないという、究極の暴論であり、人類の生存に対する挑戦にほかならない。

我々は、あなたがそのことを真摯に受け止め、核兵器の使用の正当化にまでいたった5月8日の発言をただちに撤回するよう強く要求する。

以上

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原水爆禁止2016年世界大会への米NGO・中東大学プロジェクト「夾竹桃イニシアチブ」参加者らがモロッコのカサブランカで講師養成ワークショップを開催し教師50人超が出席


2017年01月18日

原水爆禁止2016年世界大会・開会総会(8月4日・広島)で「夾竹桃イニシアチブ」についてスピーチしたアメリカのNGO・中東大学プロジェクト(中東地域の先生たちと一緒に、革新的な教育の方法や、異文化交流を進めるプロジェクト)のレイ・マツミヤ事務局長から、世界大会に参加した教師たちの帰国後の実践についての報告が送られてきています。以下、紹介します。(翻訳:日本原水協国際部)
[caption id="attachment_14284" align="aligncenter" width="793"] 原爆の子の像の前に立つレイラさんとサミアさん(2016年8月、広島市、平和記念公園)[/caption] チュニジアのレイラさんとモロッコのサミアさんは、2016年8月、日本の広島で行われた夾竹桃イニシアチブに参加しました。 広島で、サミアさんとレイラさんは「広島の教訓」を生徒たちに伝えることを目的とした教育プロジェクトを作成しました。 [caption id="attachment_14285" align="aligncenter" width="728"] 「広島の教訓」を生徒たちに伝えることを目的とした教育プロジェクトを作成[/caption] チュニジアのチュニスに戻ったレイラさんは、教室で折り鶴プロジェクトを実施。 [caption id="attachment_14286" align="aligncenter" width="563"] 教室で折り鶴プロジェクトを実施(チュニジア、チュニス)[/caption] レイラさんの生徒たちは、原爆が広島と長崎の人々に及ぼした影響と、紛争解決と平和教育の基本原則を学びました。 [caption id="attachment_14287" align="aligncenter" width="750"] 原爆が広島と長崎の人々に及ぼした影響と、紛争解決と平和教育の基本原則[/caption] レイラさんの教案は、生徒をサダコと千羽鶴に関連した美術活動に参加させる内容でもありました。 [caption id="attachment_14288" align="aligncenter" width="564"] レイラさんの生徒が作成した広島と軍縮をテーマとした作品[/caption] モロッコのカサブランカでは、サミアさんが「平和は私から始まる」教育プロジェクトを実施しました。 [caption id="attachment_14289" align="aligncenter" width="749"] 「平和は私から始まる」教育プロジェクトを実施するサミアさん(モロッコ、カサブランカ)[/caption] サミアさんの活動は、生徒たちに、まず自分自身の中で、そして個々の生活の中、そして地域社会の中で、最終的には世界中で、平和を目に見える形で表現することを求めるものでした。 [caption id="attachment_14290" align="aligncenter" width="750"] 折り紙でつくった風車に平和の概念を書き込んだもので教室を飾るサミアさんの生徒たち[/caption] サミアさんの生徒たちは、折り紙でつくった風車に平和の概念を書き込んだもので教室を飾りました。夾竹桃プロジェクトに触発されたサミアさんの教育活動は、平和は自分自身から始めるもので、その後世界に広がる可能性があることを生徒が理解するのに役立ちました。 [caption id="attachment_14291" align="aligncenter" width="473"] モロッコ教育省[/caption] 生徒たちからの圧倒的に肯定的なフィードバックに基づいて、サミアさんはモロッコ教育省に対して、夾竹桃イニシアチブからインスピレーションを得た教育プロジェクトをモロッコの他の教師と共有する提案を行いました。まもなく、カサブランカ学術研修センターの許可が出て、ワークショップのための大きな会議スペースが提供されました。広島の教訓と平和、紛争解決、軍縮教育を組み合わせたユニークな内容のこのワークショップには、カサブランカ地域全体から54人の教師が集まりました。 [caption id="attachment_14292" align="aligncenter" width="591"] 広島の教訓と平和、紛争解決、軍縮教育を組み合わせたワークショップ[/caption] このワークショップの開会あいさつを行ったのは、カサブランカ・セタットアカデミーの英語地域コーディネーター、モハメド・ハムマニ氏、文学部・人間科学部副学長のアブデルマジド・ブザンネ氏、 中東大学プロジェクトのレイ・マツミヤ事務局長でした。 [caption id="attachment_14293" align="aligncenter" width="353"] モハメド・ハムマニ氏[/caption] [caption id="attachment_14294" align="aligncenter" width="626"] 左からアブデルマジド・ブザンネ氏、レイ・マツミヤ氏[/caption] サミアさんとレイラさんも、それぞれが行ったトレーニングセッションについて報告しました。 [caption id="attachment_14295" align="aligncenter" width="624"] 左からサミアさん、レイラさん[/caption] カサブランカアカデミーの研修センターには50人を超える教師が集まりました。 [caption id="attachment_14296" align="aligncenter" width="821"] 50人を超える教師が参加[/caption] レイラさんとサミアさんは、実際的で、教室で生徒たちが取り組むのに容易な活動を教師が提供することの重要さを強調しました。 [caption id="attachment_14297" align="aligncenter" width="817"] 報告するレイラさんとサミアさん[/caption] このワークショップでは、佐々木禎子さんと千羽鶴の物語に基づいた活動にまず取り組みました。 [caption id="attachment_14298" align="aligncenter" width="820"] 佐々木貞子さんと千羽鶴の物語に基づいた活動[/caption] この活動の中で、生徒たちはまず少人数のグループをつくり、これらの写真をつなげばどんな物語になるかを推測します。 その後、生徒たちは、段落ごとに切断され、順番を乱した短いストーリーの短冊を受け取ります。 [caption id="attachment_14299" align="aligncenter" width="821"] 段落ごとに切断され、順番を乱した短いストーリーの短冊[/caption] これらを順序立てて再構成すると、以下の「サダコと千羽鶴」の物語が出来上がりました。

禎子と友人たち:平和の祈り

日本の広島の三篠橋付近にある自宅に原爆が投下されたとき、佐々木禎子はわずか2歳でした。禎子は窓から外に吹き飛ばされ、母親は死んだかもしれないと思いながら飛び出して彼女を探しましたが、娘は生きていました。禎子と両親、弟は安全なところに避難できましたが、多くの人々が殺されました。一瞬のうちに広島市のほぼ全体が破壊されたのです。 小学校6年生になった時、禎子は体育の時間に突然気を失いました。すぐに気がつきましたが、みんなが心配したので次の日禎子は医者に行き、たくさんの検査を受けました。禎子の父親は結果を聞くため医者のもとに行きました。悪い知らせでした。 医師は、禎子は原爆が原因のがんにかかっていると述べました。彼女はとても具合が悪くなり、入院しなければなりませんでした。あと一年しか生きられないかもしれません。禎子は混乱していました。原爆が炸裂してから10年が経っていたのです。禎子の両親は悲しみに打ちひしがれました。二人は禎子を失うかもしれないという考えに耐えられませんでした。でも禎子が病院に行くのを怖がらないように、母親は彼女のために日本の衣装である着物を縫いました。生地には桜の花の絵がちりばめられていて、禎子は友人や家族から離れて入院しても大丈夫だと思えるようになりました。 ある日、禎子の友だちの千鶴子がお見舞いに来ました。彼女は折り紙で作られた鳥を禎子に渡しました。「これは鶴よ」と千鶴子は言いました。「この鶴を千羽折れば、願い事がかなうという言い伝えがあるの」これを聞いたとたん、禎子は自分がしなければならないことを悟りました。「千羽の鶴を折るわ!そうすれば願い事がかなうかもしれない」。二人の女の子はわくわくして、すぐに折り鶴を折り始めました。禎子ははじめは手間取ったもののすぐに折り方を覚え、まもなく折り鶴の山ができました。禎子は新しい折り鶴を作るためにあらゆる紙を探し出しました。彼女の目標は病院中に広がり、他の患者は古い新聞や包装紙を、看護師は薬の包み紙を彼女のもとに届けました。 毎日、彼女はベッドに座って折り紙を折っていましたが、だんだん難しくなってきました。とうとう最後の一羽を折ったとき、折り鶴の数は644になっていました。禎子は家族に見守られながら病室で亡くなりました。がんに命を奪われたのです。禎子の体はもう痛みを感じることはありません。 禎子の葬儀で、両親は学友たちに折り鶴を渡しました。友人たちは嬉しかったものの、禎子の死に深い衝撃を受け、悲しみました。彼女の死はとても理不尽に思えました。彼らは、自分たちがどのように感じたかについてお互いに話し合い、禎子と原爆のために死んだすべての子どもたちについて人々に伝えるために、ある生徒は像を作ろうと提案しました。子どもたちはこの提案に賛成しました。ほどなくして、日本全国の子どもたちが寄付を寄せました。そしてついに十分な資金が集まり、禎子の記念像が設立されました。禎子の友人たちはその像の周りに立ち、禎子を誇りに思いました。禎子の像には次の言葉が書かれています:

これはぼくらの叫びです。これは私たちの祈りです。世界に平和を築くための。

[caption id="attachment_14300" align="aligncenter" width="819"] モロッコの紙で作られた折り鶴[/caption] 物語の読み方を確認した後、サミアさんの生徒たちは以下の問いについて討論しました。
1.この物語についてどう思いますか? 2.あなたが禎子の立場だったとして、彼女が死ぬ直前の最後の時にどのように感じたかを記述できますか? 彼女は自分自身、家族、友人について、そして自分の死の原因となった人たちについてどう感じていたでしょうか? 3.彼女の友人たちはどのように感じていたでしょうか? 4.あなただったら、彼女の死後、彼女の友達と同じような行動をとったでしょうか? 5.彼女の家族はどのように感じていたでしょうか? 6.彼女の家族は折り鶴を彼女の友人たちに渡しました。これはどういう意味をもっていたでしょうか? 7.彼女を殺した者はどのように感じたでしょうか? 8.殺人者はどのような文章を口にしたでしょうか? 9.これはぼくらの叫びです、これは私たちの祈りです:世界に平和をきずくための」これは禎子の友人から世界へのメッセージです。あなたは禎子と彼女の友達にどんなメッセージを送りますか?
カサブランカの教師たちはまた、生徒むけに紛争解決の演習をステップごとに実施する方法を学び、生徒自身が仲介の役目を果たす時の基本についても訓練を受けました。 [caption id="attachment_14301" align="aligncenter" width="778"] 紛争解決の演習をステップごとに実施する方法[/caption] これらのコンセプトとモロッコの学校の教室への応用は、ワークショップ参加者に大きな刺激となり、討論が弾みました。 ワークショップで最も人気のあった活動は、サミアさんが作成した平和ゲームの「試験的実施」でした。 [caption id="attachment_14304" align="aligncenter" width="480"] 平和ゲームの「試験的実施」[/caption] ワークショップ参加者は貴重なフィードバックを行い、自分の教室で実施するために教案のコピーを受け取りました。 [caption id="attachment_14305" align="aligncenter" width="815"] フィードバックを行うワークショップ参加者[/caption] 軍縮教育において、参加者は、核兵器が人々と環境に長期的に及ぼす影響を時系列で説明した一覧表を受け取りました。 その後、参加者は少人数のグループで個々の影響を討論し、感想と核兵器の恐ろしい長期的影響についての考えを共有しました。 [caption id="attachment_14306" align="aligncenter" width="406"] 少人数のグループで考えを共有[/caption] 参加者は最後に、実り多く多くのことを考えた一日をしめくくり、終了証を受け取りました。 [caption id="attachment_14307" align="aligncenter" width="753"] 終了証を受け取る参加者[/caption] ワークショップに参加したモロッコ人の教師は各自平均250人の生徒を教えています。50人を超える教師が出席したカサブランカELT平和実施ワークショップは、13,500人を超える生徒に影響をあたえる可能性を持っています。 [caption id="attachment_14308" align="aligncenter" width="643"] 50人を超える教師が出席したカサブランカELT平和実施ワークショップは、13,500人を超える生徒に影響をあたえる可能性を持っています[/caption]

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