広島からのよびかけ

原水爆禁止2024年世界大会-広島決議

広島からのよびかけ

私は、今、核戦争が起こされるのではないかという恐怖におびえています。……原爆は、人間として死ぬことも、人間らしく生きることも許さない絶滅だけを目的とした「狂気」の兵器です。……核戦争を無くす最も確かな道は核兵器を無くすことです。核抑止論は「核脅し論」以外の何ものでもありません
―原水爆禁止2024年世界大会‐国際会議での被爆者・木戸季市さんの発言より

米国による広島・長崎への原爆投下から79年―。世界は、核破局の「瀬戸際」ともいわれる状況にあります。被爆80年を迎えようとしている今、被爆者は、「生きているうちに核兵器廃絶を」と力の限り声をあげています。私たちは、被爆者とともに訴えます。核兵器は、いかなる状況においても決して使用されてはなりません。すべての核兵器を一刻も早く廃絶しなければなりません。
私たちは、原水爆禁止2024 年世界大会「国際会議宣言」を支持し、「希望の光」である核兵器禁止条約を力に、「核兵器のない平和で公正な世界」への道を切り拓くため、ただちに行動に立ち上がるようよびかけます。

核兵器の使用とその威嚇を絶対に許してはなりません。ロシアは核による威嚇をただちにやめるべきです。米国とNATO諸国も、「核抑止力」強化の路線をあらため、その放棄へと向かわなければなりません。
被爆80年にむけ、ヒロシマ・ナガサキの被爆の実相をひろめ、核兵器の非人道性を告発しましょう。すべての地域で「原爆展」や被爆体験を語る集いに取り組みましょう。原爆症認定制度の抜本的改善と原爆被害への国家補償の実現めざし、被爆者援護・連帯の活動を強めましょう。広島「黒い雨」の被害者と長崎「被爆体験者」への国による全面救済を実現しましょう。
日本と韓国の被爆者と世界の核被害者の活動を支援しましょう。「核抑止」論の克服を重要な課題の一つとして行われる禁止条約第3回締約国会議に市民社会として積極的に貢献しましょう。被爆者と核実験被害者への支援、核使用や実験場によって汚染された地域の環境修復など禁止条約具体化のとりくみに協力し、貢献していきましょう。
すべての国の政府に対し核兵器禁止条約への支持と参加を求めましょう。第79 回国連総会、核兵器禁止条約第3回締約国会議(2025年3月)、核不拡散条約(NPT)再検討会議(2026年)を節目に、諸国政府と市民社会、草の根の運動の共同を発展させましょう。
ロシアによるウクライナ侵略は、国連憲章と国連総会決議に基づいて、ただちに終結させなければなりません。ウクライナ侵略を口実に、核大国がNPT の核軍縮交渉義務やこれまでの合意の履行に背を向けることも許してはなりません。軍事ブロックによる世界の分断を許さず、国連憲章に基づく国際秩序を再建し、強化することが必要です。
朝鮮半島、南シナ海、台湾をめぐる東アジアの緊張も、外交と対話により平和的に解決されなければなりません。ASEANインド太平洋構想(AOIP)をはじめ、東アジアと世界における非核と包摂の取り組みを強化するため、市民社会と諸国政府の共同を発展させましょう。東アジアの平和構築をめざして、非核と平和を一体に草の根からの学習と対話、行動を発展させましょう。

米戦略爆撃機と自衛隊機の共同訓練や「拡大核抑止」に関する日米閣僚会議など、米国の核戦略への日本の加担は重大です。
日本政府は、アメリカの「核の傘」への依存を一層深め、「抑止力」強化を口実に、「敵基地攻撃能力」の保有と大軍拡、沖縄はじめ南西諸島の軍事化など日米軍事同盟のもと、「戦争する国」づくりへと暴走しています。さらに日米共同声明では、自衛隊を米軍の指揮下に置くことをはじめ日米軍事同盟の歴史的大変質をはかりました。これらがアジアの平和と安全を脅かすものであることは明らかです。
「国際会議宣言」が表明した日本の運動への連帯にこたえ、唯一の戦争被爆国・日本の政府が「核抑止力」論から脱却し、核兵器禁止条約に署名・批准することを強く求めましょう。条約への署名・批准を求める署名運動や自治体意見書の運動をいっそう発展させましょう。日米核密約の破棄、非核三原則の厳守・法制化を求めましょう。9条改憲の企てを阻止しましょう。
「敵基地攻撃能力」の保有、軍事費倍増など、大軍拡に反対しましょう。戦争法を廃止しましょう。「オール沖縄」のたたかいに連帯し、辺野古新基地建設の断念、普天間基地の即時返還を求めましょう。海上自衛隊呉基地の複合防衛拠点化構想に反対しましょう。
福島第一原発事故の「ALPS処理水」(汚染水)の海洋放出に反対し、原発ゼロ、気候危機の打開、貧困と格差の克服、軍事費削減とくらし・福祉・教育の拡充、ジェンダー平等、LGBTの権利拡大を求める運動など、人間らしく生きたいと願うすべての人びとと手を携え、人間の尊厳のための壮大な共同をつくり出しましょう。そして、主権者国民の力で政治の流れを変えていきましょう。
被爆者とともに、若い世代とともに、未来を切りひらいていきましょう。

ノーモア・ヒロシマ ノーモア・ナガサキ ノーモア・ヒバクシャ ノーモア・ウォー!

2024年8月6日 原水爆禁止2024年世界大会-広島