長崎からすべての国の政府への手紙 

 原水爆禁止2024年世界大会-長崎決議 

長崎からすべての国の政府への手紙 

私たちは、アメリカ軍による原爆投下から79年目をむかえた長崎から、すべての国の政府に、この手紙を送ります。 

長崎と広島に投下された原子爆弾は、一瞬にして2つの都市を焼き尽くし、その年の末までに、女性や子ども、高齢者など民間人を中心に21万人の命を奪いました。かろうじて生き延びた被爆者も、家族や愛する者を失うとともに、長年にわたって放射線による健康被害や社会的差別に苦しめられてきました。核兵器は非人道的な「悪魔の兵器」です。世界のいかなる地にも、また、いかなる理由であれ、核兵器は絶対に使用されてはなりません。 

今日、世界に存在する核兵器のごく一部が使用されただけでも、膨大な死者とともに、全世界的な飢餓をもたらすと科学者たちは警告しています。この脅威を根絶することは、人類の生存にとっての緊急課題であり、それを達成する唯一の方法は、核兵器の廃絶です。 

米ロ英仏中をはじめとする核保有国の責任は重大です。ロシアのウクライナ侵略が続き、イスラエルのガザ攻撃が深刻化するもとで、核使用の現実の危険が生まれていることに、強い危機感をもっています。核兵器による威嚇や「核抑止力」の対抗は直ちにやめるべきです。「核抑止」とは、ヒロシマ・ナガサキの再現をちらつかせて、他国を脅すことにほかなりません。それは、人類の生存にリスクをもたらす行為であり、人道的立場とは相いれません。危険な現状を打開するために必要なのは、軍拡競争ではなく、核軍備縮小・撤廃です。「いまこそ狂気を止めるときです。私たちには軍縮が必要です」とのアントニオ・グテレス国連事務総長の発言も想起し、すべての国が核兵器廃絶にむけ、直ちに行動することを強く訴えます。 

私たちは第12回核不拡散条約(NPT)再検討会議(2026年)が、「核軍備縮小・撤廃の有効な措置に関する交渉」を誠実に行うことを定めた第6条の義務とこれまでの合意―「核軍備の完全廃絶」の誓約(2000年)、「核兵器のない世界の平和と安全の達成」のための「枠組」づくり(2010年)-の実行に踏みだすことを求めます。1995年再検討会議で合意された、中東非大量破壊兵器地帯の実現、包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効も急務です。 

私たちは、核兵器禁止条約(TPNW)への支持と参加が広がっていることに勇気づけられています。TPNWの履行と普遍化に尽力する国々に敬意と連帯を表明します。被爆者と核実験被害者の支援、汚染地域の環境修復の作業の進展を心から歓迎します。唯一の戦争被爆国の市民社会として、この活動に貢献していきたいと思います。 

私たちはTPNWに署名、批准していないすべて国に、この条約を支持し、参加することを訴えます。何より私たちは、日本政府が「核の傘」への依存をあらため、一刻も早くTPNWに参加するよう力を尽くしています。第三回締約国会議には、少なくともオブザーバーとして参加すべきです。 

私たち市民社会は「核兵器のない世界」という共通の目標にむけて、諸国政府、国連機関との共同をさらに発展させていきます。あなた方が、被爆地・長崎からの訴えに応え、行動されることを心から希望します。 

2024年8月9日 

原水爆禁止2024年世界大会-ナガサキデー集会