1.最悪の炉心溶融事故

原発事故への対応は、「止める、冷やす、閉じ込める」の三つが大事だといいます。いま日本にある原発は原発は、高速増殖炉「もんじゅ」を別として17カ所54基。うち福島県には東京電力の第1原発に6基、第2原発に4基が集中しています。

 地震と同時に稼働していた原発は、緊急停止装置が働き、停止しました。しかし惨事は、つぎに起こりました。一度核分裂を開始したウランやプルトニウムはその後も大量の熱と放射能を出しながら自己崩壊を続けます。そのために炉心を冷やす緊急冷却装置がなくなり非常用発電機が津波で不能になったため働かなくなりました。そのため運転している1号機から3号機のすべてで燃料棒が冷却水から露出し、熱のために破損し、炉心が溶融する大事故へと発展しました。
 事態はさらに悪化しました。高熱の燃料棒と水の化学変化から生じた水素で1号機と3号機では建屋が吹っ飛び、2号機では放射能を閉じ込める格納容器が破損しました。さらに運転を止めていた4号機では膨大な数の使用済み燃料が冷却水から露出、破損し、大量の放射性物質を飛散させました。炉心溶融が続けば、炉内の放射性物質が熱で炉を壊し、いま閉じ込められている放射性物質がすべて環境に出てくる危険さえ指摘されています。