被災72年2026年3・1ビキニデー集会
主催者報告
原水爆禁止世界大会実行委員会運営委員会共同代表 高草木博
主催者を代表してご来賓、ご参加のみなさんに歓迎と連帯のあいさつをおくります。
緊急のことですが、既報のように昨日、アメリカはイスラエルとともにイランに対し大規模な武力攻撃を加えました。これは、国連憲章と国際法をじゅうりんする先制攻撃であり、断固抗議するものです。
トランプ米大統領は「イランは最大のテロ支援国家」「核兵器を持たせるわけにいかない」と弁明しています。だが、どのような口実があれ、国際的な紛争の解決は平和的手段によることが国連憲章の鉄則です。ましてやイランは核不拡散条約(NPT)の締約国であり、その原子力施設の査察や交渉も昨年6月のイスラエルとアメリカの一方的な武力攻撃で中断されていたものです。両国による武力攻撃はいかなる言い訳もできない重大な違法行為であり、アメリカ、イスラエルの両国に対し、直ちにイランに対する一切の武力攻撃を止めるよう強く要求します。また、日本政府に対してもただちに抗議するよう強く求めます。
1954年3月1日、アメリカが中部太平洋マーシャル諸島のビキニ環礁で行った水爆実験「ブラボー」による被害 ― その日から今日で72年になります。
広島原爆にして一千発分の爆発力を持つあの実験は、当時米ソ間で繰り広げられた核軍備競争を激化させ、人類を絶滅の淵に立たせるものでした。まき散らされた放射能は太平洋一帯を汚染し、マーシャル諸島島民にも、中部太平洋で操業していた日本の多くのマグロ漁船にも多くの被害と犠牲をうみました。
しかし日米政府は、最初に報道された第五福竜丸の乗組員に一過性の「慰謝料」を、その他の漁船には投棄したマグロの損金を払っただけで、一千隻に上る漁船乗組員の被害には、その後の健康調査も、一言の謝罪も補償もないまま今日に至るまで放置し続けてきました。
本日の集会には、その日本政府の責任を追及し、法廷でたたかう高知のみなさんも出席しています。6日には高知地裁で次の口頭弁論も行われます。政府に対し速やかな被害の解明と救済の措置をとるよう求め、高知のみなさんに激励の拍手を送ってください。
ビキニ事件はまた、広島・長崎の被爆後、米軍占領下での長い沈黙を強いられた日本国民が、原水爆禁止の全国的たたかいに立ち上がる重要な契機になりました。第五福竜丸乗組員の被ばくが報じられるや、多くの科学者が被害の解明に立ちあがり、焼津市をはじめ全国の自治体が、ついで国会が原水爆禁止の禁止を決議し、国民は、東京杉並をはじめ全国の草の根で家族ぐるみ、地域ぐるみの署名に立ち上がりました。その数は翌年1955年8月には3200万筆、全国の有権者の半数を超え、原水爆禁止の国民的総意を創り出しました。その力は国際的にも、当時最大の山場を迎えていたベトナム解放戦争で、植民地主義者の原爆使用の手を縛り、また、世界に反戦反核の行動を呼びかけた「ラッセル・アインシュタイン宣言」発表の直接の契機となったことで知られています。
みなさん、
今年のビキニデーは、いま、あのビキニのたたかいのように国民的な共同と行動を準備し、人類の生存と平和のために新たなイニシアチブを発揮するために開かれています。
国際的には、ロシアのウクライナ侵略、イスラエル軍によるガザでの殺りくと破壊、インド・パキスタンの武力衝突、米・イスラエルによるイランへの武力攻撃など、核保有国による武力攻撃が続き、「アメリカ第一」「力による平和」を掲げる米トランプ政権は、今年に入ってからも1月2日のベネズエラ攻撃と大統領夫妻の連行、グリーンランドの領有要求、カナダや中南米諸国、キューバの主権に対する威嚇と圧力など、国連憲章に基づく平和の秩序を踏みにじり続けています。
こうした動きの中でいま、唯一の被爆国であり戦争放棄と平和を憲法で誓った日本が、「力による平和」を掲げるトランプ政権に迎合し、戦争準備と大軍拡の道を突き進んでいます。
先のスイス・ダボスでの経済フォーラムでは、大国が力でルールを踏みにじるこの時代に、「各国は波風を立てずにやっていくために同調する傾向が強く」なり、「迎合し、トラブルを避け、従順であることによって安全を買おうと(する)」、だが、その道を選んではならないとの、カナダのカーニー首相の警告が大きな関心を集めました。まるで横暴を極めるトランプ大統領を迎えて横須賀のアメリカの空母まで駆けつけ、飛び跳ねて喜びを表し、戦争準備と大軍拡を約束したどこかの首相のことを言われているようで、とても情けない気がしました。
ですが、カーニー首相も言うように、世界はそうは動きません。力があれば理不尽が通り、どんなに理不尽でも強い方についたほうが安心だ、という時代は終わりました。激動と混乱のなかでも、それぞれの国が平和と安全のために自ら決断し、協力しあう新しい動きを、日本もはっきり見定めるべきです。
私たちが、「核兵器のない平和で公正な世界」を原水爆禁止世界大会の目標とし、国連と各国の政府と市民社会の運動に共同を呼びかけてきたのも、その展望を持ったからです。
その、私たちと被爆者のよびかけに、世界が応えました。核兵器禁止条約は、締約国が74、署名を済ませた国が25、合わせて99か国に達し、世界の国の半数を超えました。その流れはいま、核兵器の禁止だけに留まらず、武力の不行使と紛争の外交的解決、主権平等と平和を求める流れの推進力ともなっています。
禁止条約には「核保有国がいないから力にならない」という意見があります。しかし、その意見は大切な点を見落としています。核兵器廃絶はいまや核兵器国やその同盟国でも、国民世論の大勢となり、運動となっています。大雪と風邪のため来られませんでしたが、ジョゼフ・ガーソンさんは用意された発言の中で、アメリカでもトランプ政権の強権的、排外主義的行動への抗議は広がり続け、世論調査でもトランプの支持率は36%まで下がった。トランプ政治は終わらせると断言しています。
”36%”―どこかで聞いた数字だと思いましたが、これ、先の総選挙で自民党が集めた票の割合=36.7%と近似しています。一過性の「高市人気」を創り出し、不当で不公正な選挙制度とフェイクを交えた大量のSNS宣伝で、議席の3分の2を占めましたが、日本でも、投票者の3分の2は、自民党に入れなかったのです。
私たちはいま、次の行動の出発点に立っています。国際的には、4月下旬からニューヨークで核大国に核兵器の廃絶の合意実行を迫るNPT再検討会議が始まり、夏の原水爆禁止世界大会、9月の新たな年度の国連総会、11月、ニューヨークでの核兵器禁止条約の再検討会議へと続きます。私たちは、その一つ一つを国際的な節目とし、被爆者とともに世界の平和運動に国際的行動をよびかけます。またそれに合わせ、国内では非核三原則の「見直し」や憲法の改悪、大軍拡を許さず、非核平和の外交と核兵器禁止条約への参加を実現させる国民的な対話と署名、原爆展からなる「非核日本キャンペーン」、国民平和大行進、そして8月の原水爆禁止世界大会へと前進します。
その一つ一つの取り組みを、「あのビキニ署名のように」を合言葉に、国民的な共同の行動とし、非核平和の日本を実現しようではありませんか。報告を終わります。