2026年3・1ビキニデー日本原水協全国集会 【基調報告】

核兵器のない平和な世界、憲法生かした非核平和の日本へ

 草の根から行動ひろげ2026年世界大会の成功を

こんにちは。日本原水協事務局長の安井正和です。

日本原水協全国集会に参加された海外代表のみなさん、地元静岡と現地参加された全国のみなさん、そしてオンライン参加のみなさんに心から歓迎と敬意を表します。

72年前、日本国民はビキニ水爆実験に抗議し、核実験即時中止と原水爆の禁止を求めて署名行動に立ち上り、原水爆禁止運動を誕生させました。当時、憲法改悪の動きが強まるもとで、原水爆禁止の国民世論はそれを許しませんでした。

そして、広島、長崎の被爆者とともに、核兵器全面禁止・廃絶の世界的流れを創り出し、核兵器禁止条約を実現してきました。

広島と長崎に続いて、核兵器の非人道性、放射能の恐ろしさを浮き彫りにしたビキニ水爆被災の実相、原水爆禁止運動を学び、今後の運動の力にしましょう。

いま私たちは、重大な逆流に直面しています。それは、アメリカ、ロシアなどの大国が世界の変化に対応できず、自らの覇権にしがみつき、ルールにもとづく世界秩序を破壊していることにあります。同時に、それを乗り越え前進する新たな可能性も生まれています。その展望を明らかにし、奮闘する決意を固めるのがこの全国集会です。

1,歴史的岐路にある世界、被爆国の運動の役割発揮を

昨年12月、米国トランプ政権は、国家安全保障戦略を発表し、世界で最も屈強な核抑止力の保有を打ち出し、「力こそが最良の抑止力」「モンロードクトリンを再確認し強化する」として新年早々、主権国家であるベネズエラに軍事攻撃をおこないました。これは国連憲章と国際法に反するまぎれもない侵略行為です。トランプ大統領はさらに、グリーンランドの領有や「西半球」の覇権、イランに対する軍事的圧力を強めています。

また温暖化対策の「パリ協定」からの離脱、国連人権理事会、WHO(世界保健機関)脱退に加えて、66もの国連組織、国際機関、条約からの脱退、資金停止を決めるなど、米国第一主義の横暴なふるまいを続けています。

ロシアのプーチン政権が、核威嚇をおこない強行したウクライナへの軍事侵略は、2月24日に5年目となりました。米国のシンクタンクによれば、侵攻開始から2025年までに両軍の死傷者は180万人、ロシアの戦死者は32万人にのぼると推定されています。国連のデータでは、ウクライナの民間人の死者は1万5000人に達しています。ロシアによるウクライナへの侵略、市民の殺害に強く抗議するとともに、即時停戦、ロシア軍の即時撤退、国連憲章に基づく解決を強く求めます。

さらに、2月5日には、米ロ両国の新戦略兵器削減条約(新START)が失効しました。これによって両国間で結ばれていた核軍備管理の条約すべてが失われました。宇宙空間への核兵器配備、核搭載可能な水中ドローンなど、米ロ間の歯止めのない核軍拡の懸念も生まれています。人類滅亡まで残された時間を象徴的に示す終末時計の針は1947年以後最も短い85秒になりました。

こうした危機にあるもとで重要なことは、核大国の横暴に対して、国際紛争の平和的手段による解決、武力による威嚇又は武力の行使を禁じた国連憲章の擁護を求める声がひろがり、「核抑止力」を否定し、核兵器の全面禁止と廃絶をめざす勢力が多数派となって立ち塞がっていることです。核兵器禁止条約とそれを力にした世界の流れ、国連憲章にもとづく平和秩序を求める動きに、危機を乗り越え前進する展望があります。

核兵器禁止条約には99か国・地域が署名・参加し、世界の国々の過半数に達しています。120か国が参加する世界の非核兵器地帯と相まって、核兵器のない世界の流れをひろげ、核兵器禁止の規範を強めています。核兵器禁止条約に参加する国々は、国連憲章と国際法の遵守を強く求めています。核大国といえども、この流れを押しとどめることはできません。

4月27日から5月22日までニューヨークの国連本部で核不拡散条約(NPT)再検討会議が開かれます。日本原水協は95人の代表団を派遣します。代表団は、今回の再検討会議がNPT第6条とこれまでの合意の実行のための前向きな議論と合意を求めます。そして核兵器廃絶の国際共同行動を発展させるとともに、米国の「ノー・キングス」運動、各国議員などと交流をひろげ、連帯と共同を発展させます。

アメリカの友人たちは、この機会にトランプ政権の専制を打ち倒し、立憲民主主義を守るとともに、核の危機を警告し、それに抵抗し、核兵器のない世界の希望と可能性を灯し続けようと立ち上がっています。NPTニューヨーク行動を成功させ、逆流を打ち破るために奮闘しましょう。

2,憲法9条と非核三原則を守り、核兵器禁止条約に参加する日本に転換を

重大な逆流は、この日本でも表れています。高市早苗首相による憲法改悪と戦争準備の危険な動きです。

高市首相による「クーデター的」解散、総選挙で自民党は衆議院で3分の2を上回る議席を確保し、改憲勢力が衆議院の9割以上を占める結果となりました。

2月20日、高市首相は特別国会の施政方針演説で、「国会における発議が早期に実施されることを期待する」と述べました。憲法改正の発議にまで踏み込んだのは高市首相が初めてです。最大の狙いは憲法9条改悪です。9条への自衛隊明記を許せば、自衛隊が海外で無制限に武力行使を可能とし、地球規模で米国の干渉戦争への全面的参戦に道を開くことになります。9条改悪を絶対に許してはなりません。

もう一つは非核三原則の見直しです。非核三原則の見直しの背景には、高市首相の米国核戦略への追随、核抑止依存があります。非核三原則の「持ち込ませず」について、高市首相自身が「『米国の拡大抑止の提供』を期待するのであれば現実的ではない」「究極の事態に陥った場合に、『非核三原則堅持』は邪魔になる」との考えを明らかにしているからです。

この間、米国の「核の傘」=核抑止力の強化に関する日米拡大抑止協議がおこなわれ、核兵器使用の基準や日米間の手続きに関するガイドライン(指針)も作成されています。米トランプ政権は、「第一列島線」に中距離ミサイルを配備する構想を持っており、昨年9月の日米共同訓練「レゾリュート・ドラゴン25」では山口県の岩国基地に米軍の中距離ミサイルシステム「タイフォン」が運び込まれ、訓練終了から2か月後に撤去されました。

「琉球新報」の社説は、「非核三原則見直しでミサイルに装備する核弾頭を持ち込むための支障が取り払われ、沖縄へのミサイル配備の布石となる可能性がある」「沖縄が米国の核戦略の拠点となれば、何より沖縄自身が核攻撃の標的となる」と告発しています。

そもそも「核抑止」は核兵器の使用を前提にした、非人道的な政策であり、それが失敗する可能性があり、もしも「失敗」すれば壊滅的被害は日本全土に及ぶことになります。

戦後最悪の高市自維政権による、非核三原則の見直しをはじめ、「核の傘」=拡大核抑止体制の強化、それを支える大軍拡を阻止し、日本の核兵器禁止条約参加のために全力を尽くしましょう。

重要なことは、憲法改正も非核三原則見直しも、国民多数の要求ではないことです。国民世論とは大きな乖離があります。核兵器禁止条約への参加を求める世論も7割に達し、自治体意見書決議は4割を超える745へとひろがっています。

日本世論調査会が昨年8月におこなった戦後80年にあたっての世論調査では、80%が憲法の「戦争放棄・平和主義」を評価し、60%が憲法を「このまま存続させるべきだ」と答えています。非核三原則についても80%が「堅持すべき」と回答しています。憲法9条についても「朝日新聞」の世論調査では「変えないほうがいい」が56%となっています。

自民党に投票した人の多くは、改憲や非核三原則見直しを支持して投票したわけではありません。憲法9条と非核三原則を守り、核兵器禁止条約に参加する日本の実現を圧倒的多数の国民の合意、世論にすることは可能です。草の根での対話をひろげ、世論と運動で高市政権を包囲しましょう。

(行動提起)

 核兵器のない平和な世界、憲法を生かした非核平和の日本を実現するために、国民的規模の対話と共同をひろげましょう。その活動の中心に、昨年の秋からとりくんでいる「非核日本キャンペーンⅡ」をすえましょう。

  • 被爆者とともに「平和と被爆体験を語る集い」を無数に開催しよう。9条の会や憲法を守る運動との共同を重視しよう。
  • 「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」を自治体ぐるみの運動にひろげよう。第二次署名の共同提出(6月18日に予定)を成功させよう。自治体意見書決議をさらにひろげよう。
  • 2026年国民平和大行進を成功させよう。「核兵器なくそう」「憲法を守り生かそう」「非核三原則を守ろう」「核兵器禁止条約に参加を」とよびかけ、圧倒的な市民、すべての自治体との対話と共同をひろげて被爆地広島に結集しよう。
  • 8月の原水爆禁止2026年世界大会の成功へ、本日の全国集会参加者を先頭に、代表派遣のとりくみを開始しよう。未来を担う若い世代を世界大会に送り出そう。

以上