2026年NPT再検討会議に向けた第2回準備委員会が、7月22日から8月2日、スイス・ジュネーブの国連本部で開催されます。
原水爆禁止日本協議会(日本原水協)からは、土田弥生事務局次長、嶋田侑飛担当常任理事が参加します。
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の児玉三智子事務局次長も同行しています。
添付ファイルは、第2回NPT準備委員会に際しての、日本原水協の声明です。
7月23日の午後におこなわれるNGOセッションで、土田事務局次長が声明を読み上げます。
〈声明〉
核抑止力幻想を捨て、核兵器のない世界の実行を
2024 年 7 月 23 日
原水爆禁止日本協議会 事務局次長 土田弥生
発言の機会に感謝し、被爆国日本の草の根で行動する原水爆禁止運動を代表して発言します。
広島、長崎に原爆が投下されてから間もなく 79 年になります。当時、トルーマン大統領は、「原爆は幾十万の人々の命を救った」と、原爆投下を正当化しました。その瞬間も二つの都市では被爆した多くの人々が命を奪われていました。歴史家は、原爆の犠牲者の 95%は生徒・児童をはじめ一般の市民であったといっています。生き残った被爆者の苦しみはいまに至るも続いています。もし、いままた核兵器が使われるなら、それがどこであれほとんどの犠牲は一般の市民になるでしょう。しかも、危機は切迫しています。
核保有国や核依存国のリーダーは、核兵器が防衛に役割を果たす、侵略を抑止し、戦争や威圧を防止すると主張しています。ですが、いま国際政治にとって大事なことはこうした力の惰性に溺れるのではなく、いったいいま世界が依って立つべき原則は何なのか、世界はこれまで何を合意し、何を約束したのかをしっかりと念頭に置き、実行することです。
私は、まず第一に、次回 NPT 再検討会議がいま世界が直面する危機を直視し、国際紛争の平和的手段による解決と武力の行使と威嚇を排した国連憲章、各国の軍備から原子兵器、大量破壊兵器の一掃で一致した総会第一号決議、そして NPT 第 6 条の核軍備撤廃交渉の義務、核兵器国による「自国の核軍備の完全廃絶を達成」する「明確な約束」をはじめとするこれまでの合意と約束を、すべての締約国がいま取り組むべき義務として確認することを強く求めます。
同時に、グテーレス国連事務総長が今年 3 月 18 日、安全保障理事会で発した問いかけを私も問いたい。世界は核絶滅の淵から引き返せという被爆者の声、人々の声を聴く時であり、核保有国や核同盟国のリーダーは、いかなる形であれ核兵器の脅迫をやめ、核兵器使用のシナリオを廃棄し、核軍備撤
廃のための交渉に着手すべきです。
核大国が対立と核の近代化を続ける中でも、多くの国が、国連憲章の理念と NPT の合意に沿って核兵器禁止条約に合意し、発足させました。条約には 70 の批准国、93 の署名国に加え、核保有国を含め世界で圧倒的な市民が歓迎し、支持を寄せている事実を直視すべきです。2010 年の「核兵器のない世界の平和と安全を達成」との宣言は、会議の合意であり、世界の人々への約束であったはずです。私は、この会議が、来年の広島・長崎の被爆 80 年、そして 2026 年の次期再検討会議にむけ、未加盟のすべての国の政府に核兵器禁止条約への署名、批准を勧告するよう強く希望するものです。
最後に、私は、間もなく訪れる広島・長崎の被爆 79 年を前に、すべての国の指導者が広島、長崎とその後の核開発・実験の被害者が語る核兵器の非人道性についての証言に耳を傾け、国際政治が「核抑止力」の誤謬を克服するよう呼びかけます。核兵器がもたらすものは安全でなく戦争であり、破壊と殺りくであり、人類絶滅の恐怖です。私たちの目の前の現実がそれを証明しているのです。