原水爆禁止2025年世界大会-長崎決議

長崎からのよびかけ

子どもがね、爆風に飛ばされて壁にはりついたまま焼かれてね、真っ黒な子どもが壁にはりついているのを見ました。……日本の政府は戦争の被害者に真正面から向きあって助けていくということをしない国になってしまった。それが非常に残念です。……核兵器は使ってはいけない。それは何故かを、結果の非人道的な、本当に残忍な状況をつくりだすということを世界にひろげて、核兵器を使わせない、なくすという運動に結集していきましょう。

―「被爆80年長崎のつどい」(2025年8月7日)での田中煕巳さんの被爆証言より

被爆80年の原水爆禁止世界大会に集った私たちは、被爆者たちの心の叫びを思い起こし、ここ長崎から訴えます。核兵器を完全に廃絶するため、新たな決意で行動に立ち上がることを―

ロシアによる核威嚇、米国やNATO諸国の「核抑止力」強化と核兵器近代化、東アジアでの核軍拡の動きなど、世界が核戦争の危険に直面しているいま、核兵器の使用と威嚇を決して許すことはできません。核兵器は「安全保障」に不可欠だとする「核抑止」論は断じて認められません。

この激動の時代における「希望の光」となっている核兵器禁止条約を力に、「核兵器のない平和で公正な世界」への道を切り拓いていきましょう。

国連憲章に基づく国際秩序を再建・強化して、分断を克服していくことが求められています。「拡大抑止に関するガイドライン」の策定や核使用も想定した机上演習をくり返すなど、米核戦略への加担を深める日本政府を許すわけにはいきません。

戦争につながる排外主義には、断固として立ち向かわねばなりません。

私たちは、原水爆禁止2025年世界大会「国際会議宣言」を支持し、つぎの行動に立ち上がるようよびかけます。

―ノーベル平和賞を受賞した日本被団協と原水協、原水禁による国民運動のよびかけに応え、いまこそヒロシマ・ナガサキの「被爆の実相」をひろめ、核兵器の非人道性を告発していきましょう。

全国各地で被爆体験を語る集いに取り組み、被爆者の願いとたたかいの歴史を受けつぎ、ひろめましょう。原爆症認定制度の抜本的改善と原爆被害への国家補償を実現させましょう。広島「黒い雨」の被害者と長崎「被爆体験者」への全面救済を実現しましょう。世界の核被害者の活動を支援しましょう。福島第一原発事故の被害者と連帯しましょう。

―すべての国の政府に対し核兵器禁止条約への支持と参加を求めましょう。被爆者と核実験被害者への支援、汚染地域の環境修復など条約にもとづく活動に協力しましょう。2026年の核不拡散条約(NPT)再検討会議での国際共同行動を成功させ、核兵器禁止条約再検討会議に向け、諸国政府と市民社会、草の根の運動の共同をさらに発展させましょう。

―唯一の戦争被爆国・日本の政府が核兵器禁止条約に署名・批准するよう強く求め、署名運動や自治体意見書の運動をいっそう強めましょう。核密約の破棄、非核三原則の法制化を求めましょう。非核神戸方式を守り広げましょう。

―ガザにおけるイスラエルのジェノサイドを直ちに止めさせ、恒久的停戦を求めましょう。パレスティナの人びととの連帯をひろげましょう。「中東非核・非大量破壊兵器地帯」の創設を実現しましょう。ロシアのウクライナ侵略を国連憲章と国連総会決議に基づき、すみやかに終結させましょう。

朝鮮半島、南シナ海、台湾をめぐる東アジアの緊張は外交と対話により平和的に解決すべきです。ASEANインド太平洋構想(AOIP)はじめ、対話と包摂による東アジアの平和構築にむけ、非核と平和を一体に、学習と対話、行動を発展させましょう。

―「敵基地攻撃能力」の保有など、大軍拡に反対しましょう。戦争法を廃止しましょう。「オール沖縄」のたたかいに連帯し、辺野古新基地建設の断念、普天間基地の即時返還を求めましょう。九州と沖縄、南西諸島の軍事拠点化に反対しましょう。9条改憲を阻止しましょう。

―原発ゼロ、気候危機の打開、貧困と格差の克服、軍事費削減とくらし・福祉・教育の拡充、排外主義反対、選択的夫婦別姓制度の導入などジェンダー平等、LGBTの権利拡大を求める運動など、人間らしく生きたいと願うすべての人びとと手を携え、人間の尊厳と平和な未来のための壮大な共同をつくり出しましょう。

ノーモア・ヒロシマ ノーモア・ナガサキ ノーモア・ヒバクシャ ノーモア・ウォー 長崎を最後の被爆地に!

2025年8月9日

原水爆禁止2025年世界大会-ナガサキデー集会