第97回全国理事会(2025年2月7日~8日)決定
日本原水協2025年度運動方針
被爆・戦後80年
いまこそ核兵器のない世界、非核平和の日本へ運動の飛躍を
(はじめに)
被爆・戦後80年の年を迎えた。日本原水協もことし創立70年を迎える。日本原水協は創立以来今日までの70年間、核戦争阻止、核兵器全面禁止・廃絶、被爆者援護連帯を基本目標にかかげ、被爆者とともに核兵器の非人道性を世界に訴え、核兵器廃絶の世論と運動を築いてきた。被爆80年のいまこそ、この運動を文字通り国民的な運動に発展させ、核兵器のない世界と非核平和の日本をきりひらこう。
第97回全国理事会は、①日本被団協のノーベル平和賞受賞によってひろがる国民的共感と支持の世論にこたえ、被爆者とともに原水爆禁止運動の新たな前進、国民運動に発展させる。②核兵器のない世界、非核平和の日本を実現するたたかいを内外で大きく発展させ、被爆80年の原水爆禁止世界大会の歴史的成功をかちとる。③あらゆる活動で若い世代・次世代が活躍できる場を設け、運動の主人公として成長する組織をつくる―歴史的任務をもっている。
第97回全国理事会は、2025年度の運動方針を討議・決定するとともに、会則に則り、決算、予算を決定し、次期役員を選出する。
Ⅰ 被爆80年に壮大な運動を―内外情勢と原水爆禁止運動の任務
1,日本被団協のノーベル平和賞受賞とゆるがぬ世界の本流
被爆80年。発効から4年を迎えた核兵器禁止条約と被爆者の証言、「人道的アプローチ」が核固執勢力を追い詰める大きな力を発揮している。この流れを大きく発展させるならば核兵器廃絶の展望をきりひらくことができる。
1)まもなく4年目を迎えるウクライナ戦争(「ロシアのウクライナ侵略」)、イスラエルによるガザ・中東での殺りくと戦闘、ロシアの核ドクトリン改定など核使用を含む危険な事態が続いている。
台湾・米中関係、朝鮮半島の現在の緊張、日本を含む米主導の軍事ブロック的動向・大軍拡など、東アジアも焦点となっている。こうしたブロック対立、「軍事」対「軍事」の危険な悪循環が世界を分断し、平和を脅かしている。
1月20日、米国でトランプ政権が誕生した。トランプ大統領は就任演説で「アメリカ第一主義」を唱え、世界最強の軍隊を作ると表明した。2017年の一期目には、中距離核戦力(INF)全廃条約を破棄し、2018年の核態勢見直しではサイバー攻撃を含む核兵器以外の攻撃にも核で報復すること、使いやすい小型核弾頭の開発計画を打ち出した。今日の危機的な情勢のもとで、トランプ政権によってさらに拍車がかかる危険がある。しかし、今の世界はアメリカ一国の大統領の言動によって決定される世界ではない。国連憲章と国際法にもとづく紛争の平和解決、核兵器廃絶を求める流れが世界の平和の本流となっている。
2)G20リオデジャネイロ宣言にも示されるように、ウクライナ戦争でもガザ・中東の事態をめぐっても国際政治の舞台では大多数の国が、国際紛争での武力の行使・威嚇の停止、主権と領土保全、平和を求めて団結し、軍事ブロックや自国第一主義ではなく、国連憲章を擁護する立場からの発言を強めている。朝鮮半島をめぐる軍事的緊張、北東アジアの問題を解決するために、東アジアの平和構築をめざし、非核と平和を一体に草の根からの行動がはじまっている。
その中で「希望の光」となっているのが人類の大義を体現した核兵器禁止条約である。核大国などの妨害にもかかわらず、この間核兵器禁止条約の署名国は5か国増えて94か国、批准国は3か国増えて73か国にひろがっている。核兵器使用がとりざたされる危険な状況にあっても、禁止条約とそれを支える世論と運動が規範力をもち、その使用を許さぬ壁となっている。
3)2024年12月10日、世界の注目の中でノーベル平和賞を日本被団協が受賞した。ノーベル委員会は、「核の地獄」を体験した被爆者が自らの体験を語ることで、核使用の手をしばる世論に貢献してきたことを高く評価した。
重要なことは、被爆者が核兵器は人類と共存できない究極の悪の兵器であると訴え続けてきたことが、それまでもっぱら国家安全保障の観点からおこなわれてきた核軍縮交渉を、核兵器の非人道性に焦点をあてた議論へと変化させ、核兵器禁止条約の成立につながったことにある。それは、核兵器の非人道性に焦点をあてた「人道的アプローチ」として、「核抑止力」論に対する根本的批判となり、核保有国を追い詰めていく力となっている。「被爆者の声」が決定的な役割を果たしている。
「人道的アプローチ」の力は第79回国連総会の新しい決議にも示された。核兵器禁止条約促進決議は、核大国の抵抗にもかかわらず賛成127、反対44の大差で採択された。核戦争の結果を最新の科学的知見で明らかにすることをめざす「核戦争の影響と科学研究」決議は賛成144、反対3、棄権30で採択された。露、英、仏が反対、アメリカは棄権、中国は賛成票を投じた。また「核使用・実験の犠牲者支援・環境修復」決議は、賛成169、反対4(露、英、仏、北朝鮮)、棄権6で、アメリカと中国は棄権した。
4)こうした中で、核大国や軍事同盟諸国の運動が紛争の平和解決、軍事ブロック反対、核兵器廃絶で新たな行動に踏み出している。
昨年秋にドイツの平和集会には数万人が参加し、NATOに加盟したスウェーデンでは、米軍基地建設反対キャンペーンがとりくまれ、アメリカでも核兵器禁止条約を支持する動きが社会的にも(ハリウッド俳優の署名)、市民社会の運動でも、自治体や議会、連邦議員の中でもひろがっている。
昨年12月、米連邦議会でマクガバーン民主党下院議員は、トランプ大統領に核兵器禁止条約の目標と条項を支持し、核軍備撤廃(核兵器廃絶)を米国の安全保障政策の中心に据えることを求める決議77号を起案(同僚43議員が共同提案者)したことを発表。日本被団協のノーベル平和賞受賞をとりあげ、米国内の核実験犠牲者の問題についての議会討論をよびかけた。
隣国の韓国では、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による「非常戒厳」宣言に対して、数十万の市民が立ち上がってクーデターを阻止し、大統領を弾劾に追い込んだ。民主主義を希求する市民が勝利をおさめた。
核兵器禁止条約が、女性と男性の平等な参加が持続可能な平和と安全に不可欠であるとし、女性の核軍備撤廃への効果的な参加を支援し強化すると位置づけたように、日本でも世界でも平和とジェンダー平等を一体にとりくんできた女性・市民の運動が、平和と軍縮の分野を前進させている。
5)日本原水協が1月15日からスペイン、フランスに派遣した「被爆者の声を広げ、核兵器禁止条約促進代表団」は、どこでも注目を集め、被爆者の田中重光日本被団協代表委員の被爆証言が大きな反響をひろげた。日本被団協のノーベル平和賞受賞と被爆者の証言が、世界の世論にも大きな変化を生み出している。
代表団の活動は、被爆者の田中重光日本被団協代表委員の被爆証言を子供や学生を含めすべての市民、政府、政党、国会議員、自治体に聞かせ、核兵器と人類は共存できないことへの理解を広め、両国政府の核兵器禁止条約参加をよびかけることだった。日本被団協のノーベル賞受賞は、この活動にかつてない大きな可能性を与えている。両国の平和運動自身が驚いたほど集会には市民が集まり、メディアが注目し、国政レベルでも自治体レベルでも、政治家、首長をはじめ、かつてなく広範な人々に到達することができた。
多くの自治体が代表団の訪問を歓迎し、被爆証言を聞く会を開いたのも特徴。田中代表委員の被爆証言だけでなく、原水協の両国政府の核兵器禁止条約参加を求める訴え、全労連の石川副議長の核対核、軍事対軍事ではなく、紛争の平和的解決、外交を求める訴えも、あらゆる場で発言の機会が与えられ、受け止められた。今回のスペイン、フランスとの共同行動は、両国の世論や政治に影響を与え、核兵器禁止条約促進へ貢献するものとなった。
3月3日から7日までTPNW第3回締約国会議が開催され、「核抑止力」論に対する批判と核兵器禁止条約への世界的流れの前進が期待されている。また、4月29日から5月9日まで、2026年第11回NPT再検討会議に向けた第3回準備委員会がニューヨークの国連本部で開催される。これらの機会を捉え、国際共同行動を発展させ、核兵器のない世界の実現めざして原水爆禁止2025年世界大会に結集しよう。
2,被爆国政府にふさわしい役割を果たさせる国民的運動の飛躍を
被爆80年に、唯一の戦争被爆国にふさわしい役割を日本政府に果たさせることが焦点となっている。そのための世論と運動を発展させる新たな条件もひろがっている。文字通り、思想、政治信条の違いを超えて、国民的運動を飛躍させることが求められている。
1)この間日本政府は、アメリカの「核の傘」への依存を深め、「抑止力」強化を口実に、「敵基地攻撃能力」の保有をはじめとする大軍拡、沖縄はじめ南西諸島の軍事化、「拡大核抑止」に関する日米閣僚会議の開催などアメリカの核戦略への加担、自衛隊を米軍の指揮下に置く、陸、海、空の自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」の創設など日米軍事同盟の歴史的大変質を推し進めてきた。
昨年11月に発足した石破政権は、こうした安倍・岸田政権の対米追随路線を全面的に継承し、憲法違反の他国を直接攻撃する敵基地攻撃能力を大増強することをはじめ、2025年度予算に過去最大の8兆7000億円を超える軍事費を計上するなど、異常なまでの大軍拡路線を推進している。
アメリカの「核の傘」=核抑止力の強化をすすめるため、昨年7月には閣僚レベルの「日米拡大抑止協議」を開催し、同年12月27日には、日米政府間の「拡大抑止に関するガイドライン」を策定した。これは、有事の際のアメリカの核使用について日本と意思疎通するやり方を決めたものであり、アメリカの核兵器による威嚇や使用に被爆国日本政府が加担する危険な動きである。同「ガイドライン」の全面公開を強く求める。
石破政権の核兵器禁止条約に背を向ける態度も際立っている。1月24日、石破茂首相は第217回通常国会の施政方針演説で、日本被団協のノーベル平和賞受賞も、1月22日に発効4周年を迎えた核兵器禁止条約にも一言も触れず、日米軍事同盟(『核の傘』)のいっそうの強化を表明した。そして、日本政府は目前に迫った核兵器禁止条約第3回締約国会議(3月3日からニューヨーク国連本部)にオブザーバー参加すらしようとしていない。
2月7日におこなわれた日米首脳会談で石破首相は、トランプ大統領のガザ「所有」発言やパリ協定離脱表明などを黙認する対米追随の卑屈な姿勢をとり、「拡大抑止のさらなる強化」や「2027年度より後も抜本的な防衛力を強化」することを誓約した。
2)日本政府に被爆国にふさわしい役割を果たさせるために、米国の核抑止力=「核の傘」への依存をやめさせ、核兵器禁止条約の参加を実現しよう。
30年ぶりとなる与党の過半数割れという総選挙の結果、国民が新しい政治を探求し模索する「新しい政治プロセス」がはじまった。「戦争国家」路線を阻止し、憲法9条に基づく平和外交、「核抑止力」論から脱却し、核兵器禁止条約に署名・批准する政治に転換する可能性を開いている。それをきりひらくカギは、世論と運動、国民的共同の発展にある。
その条件は大きく存在している。核兵器禁止条約への支持のひろがりに加えて、日本被団協のノーベル平和賞受賞によってひろがる国民的共感と支持の世論がある。
核兵器禁止条約の署名・批准を求める自治体決議は、昨年12月20日に長崎県議会が全会一致で採択したのをはじめ、12月議会で7つ増えて697自治体にひろがっている。1月17日に開催された平和首長会議国内加盟都市会議(1740自治体)は、日本被団協のノーベル平和賞受賞の意義を強調し、第3回締約国会議へのオブザーバー参加と一刻も早い核兵器禁止条約の署名・批准を求める要請書を確認し、石破茂総理大臣に手渡した。
1月22日、核兵器禁止条約発効4周年に取り組んだ署名の「共同提出のつどい(第5次)」には、新たに15万8146人分の署名が寄せられ、日本政府に172万3463人分(累計)が提出された。
これらを確かな流れにして、日本政府に迫っていくうえで、非核日本キャンペーンがこれまでにもまして重要となっている。それは、日本政府が核兵器禁止条約不参加の理由としている、「核の傘」=「核抑止力」論を打破することを最大の目的としているからである。
7月の参議院選挙と東京都議会選挙で、アメリカの核戦略に追随する勢力に国民の審判を下し、「核の傘」からの脱却、核兵器禁止条約参加を求める勢力の前進が重要となっている。
Ⅱ 被爆者とともに大きな運動をおこそう―2025年度活動計画(案)
戦争とブロック対立、世界の分断を許さず、核兵器のない世界実現のために、日本原水協の果たす役割は決定的に重要である。1年後に迫った次回NPT再検討会議(2026年4月)に向けて国連、諸国政府、市民社会の共同を大きく発展させるとともに、被爆国日本でこそ被爆国にふさわしい政治、核兵器禁止条約に参加する日本を実現するために、以下の活動に全力でとりくむ。
- 非核日本キャンペーンの大運動で国民的共同をつくろう
8月の原水爆禁止2025年世界大会を要に、非核日本キャンペーンを発展させる。被爆80年にふさわしい国民的な運動にとりくもう。日本被団協のノーベル平和賞受賞への国民の支持と関心のかつてない高まりのもと、核抑止力論を払しょくするカギとなる「被爆者の証言」「被爆者とともに」をキャンペーンの中心に位置づけよう。平和首長会議加盟都市(1740自治体)への働きかけを特別に重視しよう。
- 直近の3・1ビキニデーを最初の全国的結集点とし、対話、署名、原爆展、地域社会と議会への働きかけなど、「キャンペーン」の行動計画を確認し、直ちに行動を開始しよう。また、ビキニデー直後の第3回TPNW締約国会議と連帯し、日本の禁止条約参加、「核兵器の非人道性」を訴える全国行動にとりくみ、次のラウンドである国民平和大行進へと行動を発展させよう。
- フランス・スペイン代表団の活動にも学び、被爆者とともに、平和首長会議加盟自治体などすべての自治体、学校や公的施設に、ノーベル平和賞受賞を祝い、被爆証言会の開催を働きかけよう。それを契機に、原爆パネル展、広島市立基町高校生の絵展の開催、署名、自治体決議を、市民ぐるみ、自治体ぐるみの運動へ発展させよう。
- 3月議会にむけて、被爆者とともに、「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める意見書」決議をまだ決議がされていないすべての自治体へ働きかけよう。
- 日本被団協のノーベル賞受賞が署名活動にも勢いを与えている。被爆者とともに、署名活動に取り組むのが、飛躍のカギ。署名は世論を変え、日本政府に迫る力である。8月の世界大会、2026年NPT再検討会議を視野に、第3回NPT準備委員会(4/28~5/9)を節目に飛躍させる。署名提出・外務省交渉を検討する。
新しいハガキ付署名リーフ、署名用紙、シール投票パネル、対話ボードなど宣伝資材を活用し、全構成員参加する全国民を対象にした運動に発展させよう。毎月の6・9および署名宣伝を、創意・工夫、知恵を出し合い、すべての地域でとりくもう。行動の意義をつかむためにも3・1ビキニデーパンフでの学習を全地域でとりくみ、力にしよう。 - あらためて著名人の広範な賛同を集め、国民の賛同を呼びかける。新聞意見広告(7月7日付の全国紙朝刊)にとりくむ。
- 日本の核兵器禁止条約参加を求めて、すべての政党、国会議員への要請行動をおこなう。1月22日におこなった自民党の国会議員(衆議院)への要請(衆参本会議と予算委員会に日本被団協の代表を招請(参考人)し、被爆証言と被爆者の要求を聞くこと、核兵器禁止条約への参加の努力と第3回締約国会議へのオブザーバー参加するよう求める)への要請をふまえ、衆議院の全議員(465人)に要請書を送付し、都道府県選出議員を中心に働きかけをおこなう。
2,核兵器のない世界のための国際連帯と行動
- 被爆80年国際共同行動
被爆80年、8月の世界大会に向けて、核兵器のない世界のための世界諸国民の国際共同行動をよびかける。「いまこそ被爆者の声を聞き、核兵器廃絶の国際世論を築こう」とよびかけ、核保有国政府に対してNPT第6条の核軍備撤廃交渉の義務、核兵器国による「自国の核軍備の完全廃絶を達成」する「明確な約束」をはじめとするこれまでの合意と約束の実行要求、各国政府への核兵器禁止条約参加、被爆体験の普及と学習、草の根からの市民行動などを提起する。各国での連帯した行動を基本とし、結集点は原水爆禁止2025年世界大会、とくに広島・長崎デーとする。 - スペイン、フランスに「被爆者の声を広げ、核兵器禁止条約促進代表団」(1月15日~27日)の成果をふまえて、ひき続き核兵器禁止条約、核廃絶を促進する国際活動を発展させる。海外からの被爆者派遣の要請は続いており、日本被団協や被爆者を支え、ともに活動する。
- 第3回核兵器禁止条約締約国会議(3/3~3/7、NY国連本部)に日本原水協代表団を派遣する。代表団は、締約国会議の議論や報告を傍聴し、サイドイベントに参加するなど、締約 国と協力して、条約の発展と促進のための活動をおこなう。
- 2026年NPT再検討会議を視野に、第3回準備委員会(4/28~5/9、NY国連本部)に原水協として参加し、核保有国や核の傘の国に、第6条の義務と核兵器をなくすとのこれまでの合意の履行を迫る。
- 東アジアの平和のための国際連帯の強化―韓国の民主労総とのシンポジウムを開催する。
緊張が高まる東アジア情勢のもと、この地域での戦争、ひいては核戦争の危険を防止し、核兵器禁止条約の促進のための協力・共同をすすめるとりくみとして成功させる。
3,3・1ビキニデー、原水爆禁止2025年世界大会、国民平和大行進の成功を
【3・1ビキニデー】
日本被団協のノーベル平和賞受賞を祝し、被爆80年、核兵器のない世界、核兵器禁止・廃絶をリードする日本の実現、ビキニ被災者・被爆者の救済、世界の核実験被害者と連帯する国民的共同、非核日本キャンペーン推進の全国集会として成功させる。「非核日本キャンペーン」をはじめ、内外での活動を交流し、2025年度の原水協運動の跳躍台として成功させる。(開催要項参照)
【原水爆禁止2025年世界大会】
被爆80年のたたかいの最大の要、2026年の第11回NPT再検討会議に向けた世界的行動を発展させる大会として成功させる。
世界大会は国際会議(8月3日、4日)、世界大会‐広島(8月5日、6日)、世界大会‐長崎(8月8日、9日)に加えて、8月4日広島、7日長崎でそれぞれ、「被爆者とともに」の特別行事を設ける。「『核抑止』で平和と安全はつくれない。被爆者の声を聞こう」と、世界大会が第1回から作り上げてきた映像、被爆体験、文化などを活用して、「被爆80年 被爆者とともに㏌広島」「同 ㏌長崎」という大規模な企画を検討する。未来を担う高校生、学生をはじめ若い世代の圧倒的な参加で成功させる。
【被爆80年原水爆禁止国民平和大行進】
たった1人の行動が国民世論を動かした平和行進から68年目となる原水爆禁止国民平和大行進は、これまで多くの困難を乗り越えながら「一歩でも二歩でも」を合言葉に、核兵器も戦争もない平和をねがう人々の要求をあつめ、通過する自治体との協力を絶やすことなく続けてきた。その原点に基づき、被爆80年の国民的課題を草の根からかかげ、行動をひろげ8月の世界大会に結集する国民平和大行進として成功させる。世界の青年と連帯し、全国の青年学生の共同の行進として「被爆80年・国際青年リレー行進」にとりくもう。
自治体との協力・共同を大きく発展させる。とりわけ非核日本キャンペーンの具体的柱の行動を行進の中で位置づけたとりくみにする。
気候変動・温暖化の影響を考慮し、猛暑の中での行進は避けるなど、参加者の健康に留意した行進をおこなう。
4,被爆者援護・連帯―被爆者運動の維持・発展のために
ノーベル平和賞受賞を受け、また被爆80年を迎えて、被爆者が求める二大要求(核兵器廃絶と原爆被害への国家補償)実現の願いはいっそう切実となっている。多くの被爆者が決意を新たに立ちあがっている。この機会に地域の被爆者、被爆者組織とつながり、被爆者運動の維持・発展のために何ができるか、ともに考え、ともに行動しよう。
- 日本被団協のノーベル平和賞受賞を記念する催しを都道府県毎に企画する。それぞれの被団協と協議し、可能なところは市民団体や著名人、公的機関などとも協力する。
- 被爆体験の普及、毎年の広島・長崎の日にむけた学校や公民館などでの被爆者証言・継承を支援する。被爆体験の聞き取りボランティア(大阪)、「ヒバクシャの願いをつなぐプロジェクト」(長野)などのとりくみに学び、若い世代による被爆体験の聞取りをサポートし、全国にひろげる。
- 「再び被爆者をつくらない」決意を込めた原爆被害への国家補償(死没者を含む被害者への償い)を求めるたたかいを支援する。そのために学習と宣伝、被爆者団体との可能な共同と交流などにとりくむ。
- 被爆者健康手帳の取得、原爆症認定、「黒い雨」被爆者と長崎の被爆体験者、ビキニ被ばく船員のたたかいを支援する。
5,反戦平和、憲法、環境、原発ゼロ、人権擁護のたたかい
核兵器のない平和で公正な世界、非核平和の日本の実現のために、さまざまな運動との連帯を強めよう。
- 国連憲章の原則に基づくウクライナにおける戦争の外交的解決と終結、イスラエルとハマスのガザの恒久的な停戦、パレスチナ問題の公正な解決を求めて行動する。
- 大軍拡のための防衛増税反対、戦争法の廃止、憲法を生かした平和外交、学術会議の法人化反対、オール沖縄のたたかいに連帯し、沖縄・南西諸島への長射程ミサイル配備、辺野古新基地建設など米軍基地と自衛隊基地強化に反対する。2025年日本平和大会(愛知、10/25~26)を成功させる。
- 「若者憲法集会」(5月25日)の成功のために協力する。原水協と平和委員会共同で関連企画(仮:被爆者の話を聞き、非核平和の日本の実現へ-青年交流会)を実施し、世界大会にむけた青年の運動につなげる。
- 米軍原子力空母ジョージ・ワシントンの横須賀配備・母港化に反対する。50年を迎える非核「神戸方式」を守り伝え、港湾、空港の軍事化と核持ち込みを許さない市民世論をひろげる。
- 東京電力福島第一原発事故から14年を迎える。原発事故被災者への支援を続けるとともに、石破政権がすすめる原発推進政策に反対するたたかいを強める。
- 多様性や人権尊重の世界をめざし、気候危機に立ちむかう市民運動、若い世代の行動に連帯する。
6,原水協組織の確立・強化
被爆80年の行動を草の根からささえ発展させる原水協組織の確立・強化をはかる。
- 3・1パンフ、世界大会パンフを活用した学習を基本に、「『核抑止力』論」「核共有論」批判など情勢の焦点となる問題について学習・討論を重視する。
- 会則にもとづく機関運営、とりわけ機関会議の開催を重視する。機関紙である「原水協通信」の魅力ある紙面づくりとともに、発行を維持するために、日常的な読者拡大にとりくむ。
- 原水爆禁止運動の世代的継承、原水協の持続的な活動を維持していくためにも、被爆80年の壮大な運動の中で、とりわけ若い世代・次世代の運動への参加・組織を抜本的に強化する。そのために、
- 非核日本キャンペーン推進委員会の青年チームを中心に青年の参加をひろげる。
- SNSを活用した情報発信を抜本的に強化する。
- ビキニデー・平和行進・世界大会でつながった青年・次世代との結びつきを維持・強化するためにZoomを活用したオンライン交流会を日本原水協主催でおこなう。
- 現在のSNS、メーリングリストの拡充、都道府県・加盟団体の活動の情報交換をおこなうための体制をつくる。
- 全国の原水協の結集点として3・1ビキニデー日本原水協全国集会を位置づける。
7,被爆80年の活動をささえる財政活動を成功させる。
- 被爆80年記念グッズを検討する。
- 予算に見合う原水協募金を確保する。
- 2026年版いわさきちひろカレンダーの前年普及実績の完全普及、さらに普及増をめざす。