日本原水協2024年度運動方針


96回全国理事会(202423日~4日)決定

日本原水協2024年度運動方針

核兵器禁止条約を力に核兵器のない平和な世界を
草の根の世論と運動で日本の条約参加を実現しよう

 (はじめに)第96回全国理事会の任務

 はじめに、1月1日元旦に能登半島を襲った大規模な地震で、亡くなられた方がたに心からの哀悼の意を表するとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げる。被災者のニーズに応えた温かい支援を政府に強く求めるとともに、日本原水協として被災地の被爆者の方がたへの支援をおこなう。志賀原発と柏崎刈羽原発の速やかな廃炉を要求する。

ことしの全国理事会は、激動する情勢のもとで歴史的な任務をもっている。

 第1に、反核平和の流れに対する世界的な逆流を乗り越えて、「核兵器のない世界」へ前進する展望をどう切り開くのかを明らかにする。

 第2に、2025年の被爆80周年という歴史的な節目に向けた内外の運動方向を示す。とりわけビキニ水爆被災70年、自民党政治の深刻な行き詰まりのもとで、日本政府に核兵器禁止条約への参加を求めるたたかいを発展させる。

 第3に、歴史的な任務を担う原水協組織の強化、とりわけ若い世代との結びつきを抜本的に強化し、5年後、10年後を展望して原水爆禁止運動の世代的継承を図る。

70年前、日本国民はビキニ水爆実験に抗議し、核実験即時中止と原水爆の禁止に立ち上がり原水爆禁止運動を誕生させ、広島、長崎の被爆者とともに、核兵器全面禁止・廃絶の世界的流れを創り出してきた。ビキニ水爆被災70年のことし、その原点にたって草の根から世論と運動を大きく前進させよう。

 全国理事会は、2024年度の運動方針を討議・決定するとともに、会則に則り、決算、予算を決定し、次期役員を選出する。

Ⅰ、内外情勢と原水爆禁止運動の任務

逆流に抗して、核兵器禁止条約の存在と市民社会の運動が世界に変化を起こしている

ロシアのウクライナ侵略からまもなく2年、イスラエルによるガザ攻撃もつづいている。北朝鮮による弾道ミサイル発射などが繰り返されている。

こうした国連憲章の蹂躙、核兵器による威嚇など国際法に反する無法行為に対して、圧倒的多数の国々がロシアの侵略を批判し、またイスラエルに対して停戦を求めるなど、世界の平和と核兵器廃絶への重大な逆流に立ち向かっている。

我々はその逆流を乗り越え、前進するために全力をあげてきた。その激しいせめぎあいのなかで、「核兵器のない平和で公正な世界」をめざす流れが着実に前進し、発展している。とりわけ核兵器禁止条約がその規範力、実効性を高めるとともに、禁止条約を生み出し、推進してきた諸国政府と市民社会の共同が大きな力を発揮している。

1)大きな成果をおさめた第2回締約国会議

核兵器禁止条約第2回締約国会議は 11 月 27 日から 12 月 1 日までニューヨークの国連本部で開催され、59 の締約国と 35か国のオブザーバー、市民社会の代表122団体700人を超える人々が参加し、核兵器禁止条約の規範力と実効性、「核兵器のない世界」への希望を示す会議として大きな成功をおさめた。

日本政府が会議をボイコットするもとで、被爆国日本の運動、日本原水協代表団は会議の成功に大きく貢献した。

全会一致で採択された政治宣言「核兵器の禁止を堅持し、その破滅的な結末を回避することへのコミットメント」(全 35 項目)は、条約の普遍化の強調につづいて、核兵器の使用と、それによる威嚇は国連憲章を含む国際法違反であるとして、明示的であれ暗示的であれ、核兵器によるいかなる威嚇も「明確に非難」した。そして最後に、「核リスクの増大と危険な核抑止の永続化を傍観」しないと述べ、「現在および将来の世代のために、核兵器のない世界を実現するために不断に努力する」決意で締めくくっている。

重要なことは、会議が次回締約国会議に向けて「核抑止力」論に対する新たな「挑戦」を開始したことにある。

政治宣言は「ますます激しくなる核のレトリックを引きつづき深く憂慮し、断固として非難」(第14項)し、「大量破壊の脅威は、人類全体の正当な安全保障の利益に反するものである。これは危険で誤った容認できないアプローチである。核の脅威は容認されるべきではない」(第15項)とし、安全保障政策の観点から「核抑止力」論を厳しく批判。その具体化として、次回締約国会議までに新たな科学的知見をふまえて「核抑止」の危険を明らかにし、「核抑止に基づく安全保障概念に挑戦」する報告を作成する協議の枠組みを立ち上げた。

また、核被害者支援、環境回復についての計画をつくり、実行することを締約国に義務付け、そのための国際協力をすすめることを確認した。

会議には、日本と韓国の被爆者をはじめ、マーシャル、アメリカ、キリバスなどから多くの核被害者が参加し、核兵器の非人道的な被害と苦しみを訴え、一刻も早い救済を求めた。日本原水協代表団は、オーストリア政府の後援によるサイドイベント「人類と核兵器は共存できない―ヒバクシャはTPNWを支持する」を開催するとともに、会議の「核兵器の非人道性」のパネル討論で土田弥生次長が発言。約2万人に上るビキニ水爆で被災した乗組員が謝罪も補償も救済も受けず、多くが亡くなっている事実を告発するなど、重要な役割を果たした。

規範力と実効性を高める核兵器禁止条約と第2回締約国会議の成果、会議成功に果たした日本原水協の役割を確信に、禁止条約参加を求める運動を大きく前進させよう。


  • 内外の世論と核兵器禁止条約が核兵器使用の手を縛ってきた


日本原水協は、ロシアのウクライナ侵略を糾弾し、核兵器による威嚇を非難するとともに、いかなる核使用も許さない圧倒的な世論を築くために全力を尽くしてきた。内外世論の発展と核兵器禁止条約の規範力が相まって、核兵器の使用と威嚇を抑え、核保有国の手を縛ってきた。

 核兵器禁止条約を推進する流れが、米中ロを含む世界全体を動かす力を発揮している。

2022年6月にウィーンで開催された核兵器禁止条約第1回締約国会議は、ロシアも念頭において、「核兵器の使用または威嚇のいかなる使用も国際法、国際連合憲章を含む違反であり、いかなる状況があっても、明示的または暗示的であれ、明確に非難する」と表明した。この動きが国際政治に影響を与え、同年11月にインドネシアで開催された主要20か国首脳会議(G20サミット)がはじめて「核兵器の使用又はその威嚇は許されない」とした共同宣言を、ロシアもG7も含めて全会一致で採択した。2023年G20サミット(インド・ニューデリー)も前年のバリ首脳宣言につづいて表明した。

「ウィーンの政治宣言は、核の使用・威嚇に強い非難をおこなった。それが核保有国の手を縛っている」(中満泉国連軍縮担当上級代表)。

核兵器禁止条約の法的な規範力と諸国政府・市民社会の共同の力で「核兵器のない世界」を切り開く運動がますます重要になっている。


  • 問われるNPT体制


ことし7月、次回(第11回)NPT再検討会議に向けた第2回準備委員会がジュネーブで予定されている。NPTは、すべての締約国に核軍備の縮小・撤廃のための交渉を誠実におこなうことを義務づけている(第6条)。核兵器禁止条約は、第6条に対する核保有国の義務に強い光を当て、条約のはらんでいる矛盾(核兵器国と非核兵器国の不平等)を解決し、NPTの目的である核兵器廃絶のための枠組みに発展させる力となっている。

2022年NPT再検討会議の最終文書案には、核兵器禁止条約が2017年7月7日に採択されたことを「認識」し、21年1月22日に「発効」し、22年6月に第1回締約国会議が「開催された」ことが明記された。核兵器国5か国は、核兵器禁止条約を無視することはできなくなっている。にもかかわらず核保有国は自らも合意した核兵器廃絶の「明確な約束」をはじめとする再検討会議の累次の合意の誠実な履行に背を向けつづけている。

次回準備委員会に向けて、核保有国とその同盟国において、核兵器禁止条約への支持と参加、NPT第6条の義務の履行を求める世論を大きくひろげることが求められている。


  • 東南アジアの変化を北東アジアに


東南アジアでは、ASEAN(東南アジア諸国連合)の粘り強い対話の努力によって、この地域を「分断と敵対」から「平和と協力」の地域へと劇的に変化させてきた。その努力が核兵器禁止条約によっていっそう強化されている。

昨年7月に米ロ中英の外相も招いて開かれたASEAN外相会議は、東南アジア非核地帯条約の議定書への署名を改めて訴えた。核兵器禁止条約第2回締約国会議のサイドイベントでタイ外務省の外交官は核兵器禁止条約への参加が「非核地帯条約を強化し、平和を求める東南アジアの集団的とりくみを強めることになる」と強調した。

同年9月にインドネシアで開催された東アジアサミット(ASEAN10か国と日、中、韓、米、豪、印、ロなど8か国)は「ASEANインド太平洋構想」(AOIP)の実践と主流化を支持する共同声明をまとめた。インド・太平洋を対抗ではなく対話と協力の地域にする努力がすすんでいる。

こうした東南アジアでの努力を北東アジアにひろげることが求められている。日本原水協はこの間、韓国の被爆者支援、非核平和の北東アジア・朝鮮半島をめざす平和団体との交流、世界大会、3・1ビキニデーの韓国代表の参加など、日韓の市民、運動との協力、連帯を築いてきた。北東アジアの平和、核兵器禁止条約への参加を共通課題に、運動を発展させよう。


  • 反核平和運動にも変化


核兵器禁止条約への自国政府の参加を迫る市民の運動もひろがっている。第2回締約国会議に参加した市民社会の代表とともに、ニューヨーク・ピースアクションなどアメリカの平和運動がマンハッタンのアメリカ政府代表部とロシア代表部に向けてデモ行進をおこなった。これは、核兵器禁止条約に対する意見の違いを乗り越えて共同の行動に踏み出す重要な機会となった。また、第2回締約国会議に向けて全米218人の市長、市議会議員、州議会議員らが連名でバイデン大統領に対し、会議へのオブザーバー参加、NPT第6条の義務の履行、核兵器廃絶のための交渉を求める書簡を届けた。

核兵器禁止条約の普遍化に向けて核保有国でも市民が立ち上がっていることは重要である。日本原水協は、第2回締約国会議の成果をひろげ、2024年の活動を通じて核保有国と核依存国で自国政府に核兵器禁止条約の参加を迫るたたかいを大きく前進させるために奮闘する。

2、日本は「核抑止力」論を脱し、核兵器禁止条約に参加を―被爆国にふさわしい役割の発揮を求めよう

岸田政権がすすめる「戦争する国づくり」を阻止し、被爆国にふさわしい役割を発揮させることが日本の運動の重要課題となっている。それはまた国際的責務でもある。


  • アメリカ言いなりの軍事同盟強化路線、「核の傘」からの脱却を


被爆国にあるまじき姿勢の根本に「核の傘」=「核抑止力」への依存がある。とりわけ日本がバイデン政権の「核抑止力」を基礎とする軍事同盟政策に組み込まれていることは重大である。

バイデン政権はいま、アジア・太平洋においてAUKUSや日米韓協力など、中国に対する軍事包囲網づくりのための軍事ブロック強化を急速にすすめている。北朝鮮に対しても日米韓の軍事一体化をおしすすめ、核軍事力による威嚇の態勢を強めている。これが核対核、軍事対軍事の対立のエスカレーションを生み出し、軍事的緊張を激化させている。

2022年12月、岸田政権は「敵基地攻撃能力」の保有と5年間で総額43兆円もの空前の大軍拡を閣議決定した。これは「集団的自衛権」の名でアメリカの戦争への日本の参加を可能にする安保法制の上に、敵基地攻撃能力を持つ最先端兵器を張り巡らし、自衛隊に先制攻撃の役割を担わせるもっとも危険な戦争準備にほかならない。

「敵基地攻撃能力」の具体化として日本が参加する「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」では、自衛隊がアメリカのインド太平洋軍と調整し、その決定のもとに行動する。日本は米国の判断で、その軍事作戦に巻き込まれることになる。

2024年度予算案には過去最大の7兆9496億円もの防衛費(軍事費)が計上された。そのなかには、今後10年間で全都道府県の183地区、2万3000棟の自衛隊施設を「強靭化」する計画が盛り込まれている。「強靭化」とは、核・化学・生物兵器による攻撃も想定した防護性能をもたせるものであり、すでに全国の司令部施設の地下化などの工事が開始されている。基地周辺の住民・国民の安全は考慮すらされない、軍事優先政治そのものである。


  • 核兵器禁止条約に参加し、非核平和の流れをアジアと世界に


 いま日本政府がやるべきことは、戦争準備のための大軍拡、米国の核戦略への加担ではなく、国連憲章や日本国憲法が示すように、紛争の平和解決と軍縮、核兵器廃絶のために外交に力を尽くすこと、その証として核兵器禁止条約に参加することにある。

岸田首相は、「日本は唯一の戦争被爆国」「核兵器廃絶はライフワーク」と繰り返し、核兵器禁止条約にも、「条約は出口だ」「反対していない」といい、「核保有国と非核国の橋渡しをする」などと言いつづけている。しかし実際の行動では、第1回目につづいて2回目の核兵器禁止条約締約国会議にもオブザーバー参加さえ拒否し、国連総会では昨年も核兵器禁止条約の促進決議に反対票(6回目)を投じた。こうした日本政府の態度に多くの非核国政府が不信感をつのらせている。

日本政府が国連総会に提案した決議「核兵器のない世界に向けた共通のロードマップ構築のための取組」の賛成は145か国であったが、核兵器禁止をリードするオーストリア、アイルランド、エジプト、インドネシア、マレーシアなどがこぞって棄権した。「核兵器国の責任、法的義務、政治的道義的誓約を希釈し後退させている」(エジプト)、「決議の構成は、核軍備撤廃の基本的柱を葬り去るものだ」(南ア、反対)など、厳しい批判が出された。

 根底にあるのは、日本の安全保障をアメリカの核兵器に依存する「核の傘」政策、核抑止への固執にある。日本政府が禁止条約への参加を拒む最大の理由は、「条約に参加すれば米国の核抑止力の正当性を損なう」(2018年1月22日、佐藤正久外務副大臣・当時)と言って、アメリカの核戦略に与みしつづけているからである。

戦争放棄の憲法9条をもち、核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則を国是とする日本が、核兵器禁止条約に加わることはすぐにでも可能である。日米安保条約があっても日本が参加できない理由はない。

 問題は「核抑止力」への依存から抜け出す政治の決断にある。それを可能にする世論と運動の発展、被爆国にふさわしい政府の実現が強く求められている。

 日本が核兵器禁止条約に参加すれば、国際社会の期待に応え、高い信頼を得、核兵器廃絶の流れに勢いを与え、核保有国に大きな政治的圧力となる。また、核兵器禁止条約第6条、7条に基づいて、被爆者、核被害者の救済と補償に責任を果たす。なによりも「核抑止力」で対峙する北東アジアで核対核の悪循環を断ち切り、核破局の危険を取り除くことができる。

「核兵器禁止条約への日本の参加」の一点での共同と広島・長崎の被爆の実相=核兵器の非人道性をひろげ、政治の変化を創り出すために全力を尽くそう。

3)求められる被爆国を変える国民的運動と共同の発展

自公政権は、深刻な行き詰まりに陥っている。自民党政治を終わらせるための国民的な大運動が求められている。日本原水協は、被爆国にふさわしい役割発揮を日本政府に求め、その一翼をになって奮闘する。

国民の非核平和の願いにそむく自民党政治と国民との矛盾は極まっている。世論調査でも禁止条約参加を求める世論は多数を占めている。全自治体の99・9%に当たる1739都市が加盟する平和首長会議も岸田首相に対して、核抑止力に依存する安全保障政策から脱却すること、一刻も早く核兵器禁止条約に署名・批准することを求めている。それだけに、核兵器廃絶、禁止条約参加の一致点での共同、垣根をこえた国民的な運動に発展させることは、これまでにもまして大きな意義を持っている。

日本の禁止条約参加にとっても、政治を変える「市民と野党の共闘」は決定的に重要である。次の総選挙をめざして市民連合が「政策要望書」を提出するなど再建の動きはあるが、カギは草の根からの運動と共同を発展させることにある。地域でも、中央でも積極的に貢献する。

、2024年度活動計画

「ビキニ水爆被災70年から被爆80年へ―非核の日本をめざす全国キャンペーン」(略称:非核日本キャンペーン)の成功を

来年2025年は広島・長崎の被爆から80年を迎える。被爆者の「生きている間に核兵器の廃絶を」の願いをかなえる上でも、「核兵器のない世界」の実現にとっても大きな転換の年としなければならない。ビキニ水爆実験の深刻な被害とともに、原水爆禁止の国民的運動の出発点となったビキニ水爆被災70年を前に、全国で討論と対話、署名を強め、3・1ビキニデーをそのための全国的キャンペーンの出発点にしよう。

核兵器禁止条約を力に諸国政府と共同した核兵器廃絶の本流発展への貢献、内外での被爆の実相普及、日本の禁止条約参加を求める署名を軸とした運動を、学習を土台に推進しよう。


  • 核兵器のない世界のための連帯と行動


1当面、7月のNPT再検討会議第2回準備委員会(7月22日~8月2日、ジュネーブ)、原水爆禁止2024年世界大会、10月の次期国連総会第1委員会審議などを視野に、各国政府、とりわけ核保有国政府に対し、「核兵器のない世界の平和と安全の達成」、「自国の核軍備の完全廃絶」、中東の非核兵器地帯の設置など、これまでの合意の確認と履行を要求する。またNPT第6条を補完する重要な措置として、核兵器禁止条約の支持、第3回締約国会議への参加、条約の速やかな署名・批准を求める。

核保有5か国への要請、核兵器廃絶国際デー(9月26日)の行動などにとりくむ。

28月の広島、長崎デーを頂点に、核兵器のない世界の実現、核兵器禁止条約の支持・署名・批准、被爆者・核被害者との連帯を共通の課題とする共同行動をよびかける。

核兵器の非人道性をテーマとする広島、長崎、世界各地の核開発・実験被害の写真展を全世界で開催する国際キャンペーンを提唱する。そのための資材の活用、普及、贈る運動などを検討する。

3ビキニ水爆被災70年にあたり、マーシャル諸島に日本原水協代表団を派遣する。代表団は、マーシャル諸島政府への核兵器禁止条約参加のロビー活動、実験被害者の支援と連帯、放射線被害の調査、島民からの被害の聞き取りなどの活動をおこなう。

4非核平和の朝鮮半島と北東アジアの実現をめざして、韓国の市民社会との共同を発展させる。東アジアの平和をめざすASEANを含む政府組織と市民社会との交流、共同を探求する。ベトナムの枯葉剤被害者を支援する。

2, 非核日本をめざす「全国キャンペーン」の成功を

1核兵器禁止条約の世界の流れを力とし、戦争準備、「核の傘」依存と大軍拡から核兵器禁止条約に参加する非核・平和の日本へ、圧倒的な国民世論の構築をめざして多彩で創意あふれる「唯一の戦争被爆国・日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求めます」署名運動を発展させる。

3月1日を起点に、原水協が活動するすべての地域、分野で広範な住民を対象として署名の計画を作り、宣伝と署名の行動を開始する。

 *自治体職員、自治体ぐるみの署名の働きかけ(議会への意見書採択と結んで)

*地域の自治会、敬老クラブ、婦人会、教会、お寺、農協、漁協、地域の事業所、労働組合など広範な団体・機関への申し入れを重視する。

*「唯一の戦争被爆国・日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求めます」の要求項目を一致点に、各団体・地域の要求・目的に沿った創意的な署名運動(署名用紙)を促進する。

 *高校生、学生、青年への働きかけを特別に重視する。

23月1日のビキニデーから被爆80年(2025年8月末)に向けて、広島、長崎、ビキニ水爆被害の実相を知らせ、核兵器廃絶と日本の禁止条約参加を促進する全国キャンペーン「ビキニ水爆被災70年から被爆80年へ―非核の日本をめざす全国キャンペーン」(略称:非核日本キャンペーン)にとりくむ(「実施要項」参照)。

キャンペーンは:

*全国の可能なすべての市区町村や地域、学校(小、中、高)、大学、事業所などで広島、長崎、ビキニ水爆被災の写真展の開催と核兵器禁止条約への日本の参加を求める署名をおこなう。広島市立基町高校生が描いた「原爆の絵」の展示をすべての高校に働きかけよう。

*上記写真展のなかで、あるいは別途、被爆者やビキニ水爆被災関係者による体験を語る会をおこなう。「語り部」が存在しない県や地域のために、被爆者(団体)と協議して、「語り部」を編成する。

*全国のとりくみと連動して、国際的とりくみをよびかける。

3,被爆国日本を変える国民的な運動と共同の発展を

次の3つのとりくみで国民的共同の発展をめざす。

  • 「唯一の戦争被爆国・日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求めます」署名を軸に、「ヒバクシャ国際署名」の経験・実績も生かしながら、意識的に対政府運動の共同をひろげる。7月に署名の共同提出(第4次)をおこなう。
  • 「市民と野党の共闘」の再構築のために、中央、地域レベルで市民連合の共闘に積極的に参加する。核兵器禁止条約への日本の参加を共闘の一致点にしていく。
  • 環境、気候危機の運動を含めて、よりひろい各層各分野の運動との共同、連帯を築く。

, 被爆の実相普及、被爆者援護・連帯活動の強化

*「生きているうちに核兵器の廃絶を」との被爆者の願いに応え、上記の被爆の実相を知らせる「全国キャンペーン」を被爆者(団体)とともにすすめる。

*原爆被害への国家補償を求める被爆者のたたかいに連帯し、ともにたたかう。

*被爆者の高齢化、地域組織の解散などの現状に直面するもとで、日本被団協は被爆80年に向けて「新たな運動と組織の在り方」について支援者、諸団体との懇談、協議を重ね2024年度の総会(6月)で決定するとしている。日本原水協として日本被団協の要請に応じて組織と運動の現状や問題意識を共有するとともに、今後の連帯、共同、支援の内容について意見を交換し、原水協としての方針を策定する。各都道府県原水協でも、被爆者団体の実情に応じて話し合いなどをおこない、援護・連帯活動の強化をはかる。

*被爆二世、三世の実情や要求を聞き支援について検討する。

*「黒い雨」被爆者、長崎の被爆体験者のたたかいを支援する。上記の全国キャンペーンのなかで、証言や支援のよびかけをひろげる。原爆症認定集団訴訟が勝ち取った認定制度の改善、認定者の拡大などの成果を後退させず、被爆者行政の抜本的改善を求める。

*高知のビキニ被災船員訴訟(損失補償と船員保険の適用)は、日米両政府による被害の隠ぺいと被害者切り捨ての国家犯罪を明らかにし、全国の被害者救済への道をひらく重要な意義をもっている。訴訟勝利のために全国的支援を強化する。

, 2024年国民平和大行進、原水爆禁止2024年世界大会を成功させる

【国民平和大行進】

「非核日本キャンペーン」と連動し、草の根から核兵器禁止条約への日本の参加をもとめる圧倒的な世論を築く行進として成功させる。自治体との共同・協力を大きく発展させる。若い世代の行進参加を特別に重視する。

2024年世界大会】

被爆80年に向けて、歴史の本流、核兵器禁止条約の流れを大きく発展させ、核兵器のない世界をきりひらく歴史的大会として成功させる。核兵器禁止条約推進勢力の前進、政府、公的機関、市民社会と草の根の運動の結集と共同の前進、国民的共同の力で禁止条約に参加する日本の展望を開く大会として成功させる。

世界大会の成功をめざし、全国理事会を出発点に、上記の草の根の行動とともに、国民平和大行進、代表派遣のとりくみを開始する。

, 憲法9条改憲阻止、軍事ブロック、軍拡、抑止力強化に反対する

*ロシア軍によるウクライナ侵略の即時停止、全面撤退、イスラエルによるガザへのジェノサイドを糾弾し、即時停戦を求める世界と日本の運動と連帯し行動する。

*憲法審査会を利用した改憲の動きを許さず、憲法9条を守る国民世論をさらに強める。憲法署名など憲法共同センターの諸行動に参加する。

*オール沖縄のたたかいに連帯し、沖縄・南西諸島へのミサイル配備、米軍基地、自衛隊基地強化に反対する。辺野古への米軍新基地建設の強行、「代執行」に反対し、中止・撤回を要求する。

*米軍基地、自衛隊基地の強化に反対する。「安保3文書」にもとづく長距離ミサイル配備など敵基地攻撃能力、日米軍事一体化、全国の自衛隊基地(施設)の強靭化に反対する。「核密約」の破棄、「非核3原則」の法制化を要求する。

*民間港湾への核搭載可能艦船の寄港を許さず、港湾の軍事利用に反対するとりくみを強める。49年間も米艦船の入港を許していない非核「神戸方式」など地方自治に基づく行政措置を守り、港湾、空港の軍事化と核持ち込みを許さない市民世論を築く。非核「神戸方式」49周年記念集会(3月18日、神戸市)を成功させる。

*「若者憲法集会」(6月30日)の成功のために協力する。原水協として、独自の分科会を実施し、青年世代での原水爆禁止運動への主体的な参加を広げる。 

*2024年日本平和大会を成功させる。

, 原発ゼロ、ジェンダー平等、気候危機打開など市民運動との連帯

*東京電力福島第1原発事故から13年。いまも福島県内に立ち入り禁止の帰還困難地域が存在し、事故被害の補償を求めるたたかいもつづいている。原発事故被災者を支援するとともに、岸田政権がすすめる原発回帰・推進政策に反対するたたかいを強める。能登半島地震で危険性がいっそう明らかとなった志賀原発、柏崎刈羽原発の廃炉を要求する。

東電福島第1原発の「ALPS処理水」(汚染水)の放出中止、原発の再稼働をやめ、原発ゼロ(廃炉)、再生可能エネルギーへの転換を求める。

*ジェンダー平等社会、多様性を実現する社会を求める運動に連帯する。核兵器禁止条約が「女性と男性の双方による平等、完全かつ効果的な参加は、持続可能な平和及び安全の促進と達成にとって不可欠な要素」と指摘しているように、原水爆禁止運動においてもジェンダー平等の視点をつらぬく。同時に、原水協の組織と運動においても女性の参加をはじめジェンダー平等をいっそうすすめる。

*気候危機打開の運動との連帯を発展させる。「核兵器禁止条約への日本の参加」の一点での共同をよびかける。

, 草の根の運動、国民の共同になう原水協に

*3・1ビキニデー、「非核日本キャンペーン」、国民平和大行進、世界大会のあらゆる活動で若い世代の参加・組織を重視する。青年のLINEグループ、Zoomによる交流、インスタグラムなどによる情報発信など工夫する。

*学習を土台に、会則に基づく機関運営を重視し、知恵を出し合い、活動計画を具体化し実践する(「市区町村・地域原水協組織活動の5つの柱」参照)。2024年度日本原水協学校(オンライン)を4月に開催する。

*「原水協通信」は、日本全国のすべての地域原水協・個人会員と日本原水協を結ぶ絆、反核平和の専門紙としてなくてはならない存在である。「原水協通信」の魅力ある紙面づくりの努力とともに、日常的に読者拡大にとりくむ。

*すべての都道府県・地域から3・1ビキニデー(日本原水協全国集会)への代表派遣を成功させ、全国理事会の運動方針にもとづく意思統一と実践に踏み出す。

*年間のとりくみを通じて結びつきをひろげ、賛助会員・個人会員、ボランティア・協力者の組織など、都道府県・地域原水協の確立、強化をはかる。日本原水協と相互にむすびつくネットワーク(メーリングリスト)、メールマガジンを定着させる。

9,2024年の活動をささえる財政活動を成功させる

*予算に見合う原水協募金を確保する。

*ちひろカレンダー2025年版の前年実績の完全普及をめざす。紙代と印刷費の高騰に対応し、頒価の改定をおこなう。

以上