核保有五か国政府への申し入れ

2023-10-05英国大使館へ申し入れに向かう

2023年10月5 日

                              原水爆禁止日本協議会


第78回国連総会が開幕し、9月26日の「核兵器廃絶デー」、10月第一週からの国連総会第1委員会の審議をはじめ、軍縮と安全保障にかかわる審議が開始されようとしています。


世界はいま、ウクライナでの戦争にもみられるように戦争、殺りくと破壊が続き、核兵器による威嚇と使用の危険、核大国間の対立と緊張、軍事同盟や軍事ブロックの拡大、「近代化」の名による核軍備の増強、総額2兆2400億ドルにも達する膨大な軍事費と大軍拡など、国連憲章の理念と諸国民の平和の願いに逆行する重大な危機に直面しています。


同時に、世界には歴史の逆流に抗し、国際紛争の平和的解決、武力行使や武力による威嚇の禁止、核兵器の全面禁止・廃絶を求める圧倒的な世論と、その世論を背景に、国連総会や核不拡散条約(NPT)の会議などで合意された「核兵器のない世界」を現実へと推し進める圧倒的多数の国々による努力が続けられています。


世界の五大陸に広がった非核兵器地帯や、中東など紛争が続く地域で非核化を実現する粘り強い努力、そして2021年1月には国連を母体に成立した核兵器禁止条約が発効し、署名国は92、批准国は68に達し、すでに実体を持つ国際法として機能を開始しており、11月27日からはニューヨークの国連本部で第2回締約国会議が開かれようとしています。


第78回国連総会の審議は、人類が直面する危機を克服し、平和と安全の回復、核兵器の全面禁止と廃絶、抜本的な軍縮を達成し、その資源を人類の福利と環境、食料、格差、エネルギー問題など直面するグローバルな諸問題の解決への契機としなければなりません。そのために、国連安全保障理事会で常任理事の席を占め、核不拡散条約でも「核兵器国」として、核軍備競争の停止と核軍備撤廃の交渉完結を義務付けられた五つの「核兵器国」の責任は特別に重大です。


核保有国は、他国の核兵器の開発・取得・保有に反対する一方で、自国の核は「安全の保証」であり、「侵略を抑止」し、戦争を「防止」すると強弁しています。しかし核兵器は、侵略や戦争を「抑止」しないばかりか逆に危険をエスカレートさせ、ひとたび使われれば、人類の滅亡にさえ通じるものです。現在の情勢そのものが、その危険をはっきりと示しています。

1945年、広島・長崎の悲劇に至った戦争は日本の侵略によって引き起こされた戦争でしたが、二発の原爆の犠牲となった21万人の死者とそれを大きく超える被爆者となった人々のほとんどは一般市民でした。そのような犠牲をどの国であれ、絶対に繰り返してはなりません。そのためにわたしたちは、貴国政府に以下のことを申し入れます。

1、国際紛争の平和的手段による解決を定めた国連憲章を守り、戦争を直ちにやめ、武力による威嚇と行使、とりわけ核兵器による威嚇や使用を絶対に行わないこと、

2、各国の軍備からの原子兵器の一掃を誓った国連総会第一号決議、2000年5月にNPT再検討会議で合意された「自国の核軍備の完全廃絶を達成」する明確な約束、2010年に合意された「核兵器のない世界の平和と安全」を達成し、そのための「枠組」を作る特別の努力をおこなうとの合意を再確認し、実行に着手すること、NPT第6条、「核軍備撤廃の効果的措置」の交渉について即時協議を開始し、国際司法裁判所の勧告に従って「完結させる」こと、

3、2021年1月に発効した核兵器禁止条約を、核兵器のない世界を実現する「枠組」として認め、条約を支持、署名、批准する手続きを開始すること、核兵器の使用・威嚇を実体とする「核抑止力」政策、「拡大核抑止」政策への依存をやめること、

4、当面、核兵器禁止条約第2回締約国会議にオブザーバーとして参加し、その成功に協力すること。


以上