原水爆禁止2025年世界大会-広島決議

広島からのよびかけ

今の私たちにとっての光は、核兵器禁止条約です。このホールの、また世界中で聞いてくれている人々に広島の廃墟で聞いたこの言葉を繰り返します。「諦めるな。押し続けろ。進み続けろ。光が見えるだろう。そこに向かって這っていけ」―

核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のノーベル平和賞受賞式でのサーロー節子さんの演説より

被爆80年の広島に、国民平和大行進をはじめ全国から草の根の運動を持ちより集った私たちは、「この世の地獄」といわれたあの日の惨状をあらためて思い起こし、被爆者とともに心から訴えます。この地球のいかなる地にも、この悲劇を決してくり返させてはなりません。

私たちは、原水爆禁止2025年世界大会「国際会議宣言」を支持し、「核兵器のない平和で公正な世界」への道を切り拓くため行動するようよびかけます。

ロシアによる核威嚇、米国やNATO諸国の「核抑止力」強化と核兵器近代化、東アジアでの核軍拡の動きなど、世界が核戦争の危険に直面しているいま、核兵器の使用と威嚇を決して許してはなりません。核兵器は「安全保障」に不可欠だとする「核抑止」論の克服がますます重要になっています。

ノーベル平和賞を受賞した日本被団協と原水協、原水禁による国民運動のよびかけに応え、いまこそヒロシマ・ナガサキの「被爆の実相」をひろめ、核兵器の非人道性を告発していきましょう。被爆体験を語る集いに取り組み、被爆者の願いを受けつぎ、ひろめましょう。原爆症認定制度の抜本的改善と原爆被害への国家補償を実現させましょう。広島「黒い雨」の被害者と長崎「被爆体験者」への全面救済を実現しましょう。日本と韓国の被爆者、世界の核被害者の活動を支援しましょう。福島第一原発事故の被害者と連帯しましょう。

核兵器禁止条約は、この激動の時代における「希望の光」です。すべての国の政府に対し条約への支持と参加を求めましょう。被爆者と核実験被害者への支援、汚染地域の環境修復など条約にもとづく活動に協力しましょう。第80回国連総会、2026年の核不拡散条約(NPT)再検討会議と核兵器禁止条約再検討会議を節目に、諸国政府と市民社会、草の根の運動の共同を発展させましょう。

軍事ブロックによる世界の分断を許さず、国連憲章に基づく国際秩序を再建し、強化していくことが必要です。ガザにおけるイスラエルのジェノサイドを直ちに止めさせ、恒久的停戦を求めましょう。「中東非核・非大量破壊兵器地帯」の創設を実現しましょう。ロシアのウクライナ侵略を国連憲章と国連総会決議に基づき、すみやかに終結させましょう。

朝鮮半島、南シナ海、台湾をめぐる東アジアの緊張は外交と対話により平和的に解決されなければなりません。ASEANインド太平洋構想(AOIP)はじめ、対話と包摂の取り組みを推進させましょう。非核と平和を一体に、東アジアの平和構築にむけ、学習と対話、行動を発展させましょう。

「敵基地攻撃能力」の保有と大軍拡、沖縄はじめ南西諸島の軍事化など「戦争する国」づくりに暴走する日本政府は、米国の「核の傘」への依存を深めています。核戦力をちらつかせる米戦略爆撃機と自衛隊機の共同訓練や、さらには「拡大抑止に関するガイドライン」の策定など、米国の核戦略への日本の加担を深めていることは重大です。

唯一の戦争被爆国・日本の政府が核兵器禁止条約に署名・批准するよう強く求めましょう。条約への署名・批准を求める署名運動や自治体意見書の運動をさらに発展させましょう。核密約の破棄、非核三原則の法制化を求めましょう。非核神戸方式を守り広げましょう。大軍拡・大増税に反対しましょう。戦争法を廃止しましょう。「オール沖縄」のたたかいに連帯し、辺野古新基地建設の断念、普天間基地の即時返還を求めましょう。呉日本製鉄跡地の複合防衛拠点化に反対しましょう。

日本国憲法9条の理念を世界に広めましょう。9条改憲を阻止しましょう。

原発ゼロ、気候危機の打開、貧困と格差の克服、軍事費削減とくらし・福祉・教育の拡充、選択的夫婦別姓制度の導入などジェンダー平等、排外主義反対、LGBTの権利拡大を求める運動など、人間らしく生きたいと願うすべての人びとと手を携え、人間の尊厳のための壮大な共同をつくり出しましょう。

被爆者とともに、若い世代とともに、未来を切りひらいていきましょう。

ノーモア・ヒロシマ ノーモア・ナガサキ ノーモア・ヒバクシャ ノーモア・ウォー!

2025年8月6日

原水爆禁止2025年世界大会-ヒロシマデー集会