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2012年3・1ビキニデー国際交流フォーラム
リービン・カマチョ(「我らグアム人」会員)
核兵器のない世界をめざして:アジア太平洋における平和運動の役割

 ハファ・ダイ。私の名前はリービン・カマチョです。グアムの先住民です。アメリカは現在、アジア太平洋地域のひとつの拠点として、グアムで大規模な軍備増強を提案しています。これまで特に注目されてきたのは、数千名の海兵隊員をグアムへ移転させる計画です。この移転は、今月まで、辺野古に普天間基地の代替施設を建設する計画と明白にリンクされていました。私が今日、皆さんにお話ししたいのはグアムにおける運動の役割と、どのようにしたらこの運動が非核の世界を目指すアジア太平洋の運動の一翼を担えるかについてです。
 これまで私は、この軍備増強計画がグアムの社会、文化、環境資源におよぼす重大な顕著な悪影響を人々に知らせる活動を行ってきました。グアムの一般市民は、2009年11月に環境影響評価(EIS)案が発表されるまで、軍備増強計画が自分たちの島の環境や文化にどのような影響を及ぼすか、その全貌を知りませんでした。例えば、米国防省は800ヘクタール以上の森林を破壊し、海兵隊やその家族の住宅を建設することを計画しています。また、国防省は28ヘクタールのサンゴ礁を破壊し、原子力空母が停泊できるようにするつもりです。さらに、725ヘクタール以上の土地を「取得」し、実弾演習複合施設を建設する計画を立てています。しかし、現在すでに国防省は島全体の4分の1以上を支配しているのです。少し説明しますと、グアムの面積はわずか550平方キロメートルで、沖縄の半分以下の大きさです。この実弾演習複合施設なるものは、先祖の昔からの墓地の上につくられ、幹線道路に沿って運用されることになっていますが、0.5マイル以内には市民の住宅もあります。
 長年、110億ドルという額だけが問題になってきました。これは全く新しい海兵隊基地をグアムにつくるのにかかる推定総建設費です。この金額のうち、日本政府は分担金として現金で28億ドル支払い、他に32億9000万ドルを融資と設備投資の形で負担することになっています。昨年、米国会計検査院(GAO)は報告書を発表しましたが、それによるとグアム政府は、島の人口が最大79,000人増えた場合、これは50%以上の人口増加になるのですが、その場合の費用を32億ドルと見積もっています。GAO報告は、グアムの軍備増強の費用総額を推算し、グアム政府の地域社会への影響対策費および日本からの借款と設備投資の返済費用を含めると、実際は239億ドル近くになるだろうとしています。アメリカが海兵隊員8,600人と家族9,000人を移転させると仮定すると、グアムの新海兵隊基地建設に関する費用の総額は、運用費を除外しても、一人当たり約135万ドルになるのです。
 私がこれまで関わってきた「われらグアム人」というグループは、さまざまな方法で、グアムへの潜在的な影響について人々を啓蒙してきました。軍備増強計画で影響を受ける場所へのハイキングを行ったり、1万ページにものぼる文書を読んでいる時間のない人のために、環境影響評価の要点を明らかにした文書を作成しました。私たちの会員は、現在、登録者が2,300人を超えた私たちのフェイスブック・サイトのパブリック・フォーラムに常時、ニュースをアップしています。
 「われらグアム人」はアメリカの国防省にたいする集団訴訟にも加わっています。これは古くからの先住民の村に実弾演習複合施設を建設するのをやめさせるためです。私たちは国防省を訴え、2011年11月には、初めての勝利を勝ち取りました。国防省が環境影響評価のやり直しを受け入れたのです。この訴訟は結審までに2年かかると予想されています。
 最後に、そしておそらく最も重要なのは、私たちが、地域社会でできるだけ多くの人々に、軍備増強の身近な影響について語ってきたことだと思います。ある集会で一人の男性に、事故危険区域(APZ)、つまり飛行機が墜落する可能性のある滑走路からはずれた区域の地図を見せたことを思い出します。私は彼に一体何機の飛行機が離陸することになるのか、頭上を飛ぶ飛行機の騒音が何デシベルになるのか、そしてAPZに飛行機が墜落する確率はどのくらいかを話しました。中年のチャモロ人のその男性は地図をながめ、自分の住んでいる場所を指さしました。彼の家はAPZのほぼ真ん中に建っていました。それから彼は、朝、コーヒーを飲んでいると、ジェット機が彼の家の上を飛ぶたびにコーヒーカップが揺れるという話を私にしました。彼によると、燃料の臭いがするほどジェット機が低く飛ぶそうです。 Protentus.lt - Prekybiniai stalai ir palapinės lauko prekybai
 どんな運動でも成功するためには、金の流れ、金に群がる連中やその政策を突き止め、彼らの論法を斬ることができなくてはならないでしょう。しかし、運動にはアジア太平洋地域における「軍事化」を身をもって経験している人々の様々な苦しみを語る力も必要です。それは核兵器の恐ろしさを直接体験した話であってもいいですし、最近の平和大会で誰かが言った、基地内のゴルフコースから飛んできたボールが、近くの車や家にぶつかったという話でもいいのです。私たちの証言や、友人、家族、隣人などとの関係こそが、私たちの力であり、平和と私たち民族の尊厳を認めさせるたたかいで私たちが持っている最大の強みなのです。