【2014国際青年リレー行進】アーサー・タイマングロJr.さんの日誌(5月21日)

5.21(1)

今日は私の平和行進3日目。毎日長距離を行進したあとで日々ブログをなかなか更新できないことをお詫びしないといけませんね。

今朝は米海兵隊キャンプ富士と日本の陸上自衛隊基地が向かい合って位置している富士山の近郊に集合しました。いつも通り自己紹介をし、私のここでの目的を簡単に説明しました。基地の存在がもたらす脅威に御殿場の皆さんが晒されていることが残念だと述べました。私たちグアムの住民も、軍事基地が長年人々を圧迫し、米国防総省が私たち先住民の土地を取り上げようとしているという、非常に似通った状況に置かれていることを説明しました。私たちは平和行進が出発する前に、軍事演習の射爆撃の破片で汚されることのない、澄み切った青空と安全な場所を未来の世代に残す事を歌った「青い空は」を歌いました。

雨降りだったのでお天気にはあまり恵まれませんでした。今日の行進の出発地点は、キャンプ富士と向かい合う日本の自衛隊基地を隔てる道路の上を行進したため、意義深いものとなりました。急な坂を下ると、ゲートに沿って私たちの後を追ってきた日本の自衛隊員たちがいました。私たちが行進を続け、彼らの脅迫的な振る舞いにも優しく対峙し、他の人々に対するのと同じように声をかけたにもかかわらず、私たちを威嚇しようとしていたようです。キャンプ富士入口付近の丘の麓まで下った時点ですぐに御殿場市役所に向かいました。市役所前には御殿場市が核廃絶理念の支持を宣言する大きな白い看板が立っています。ここの市議会議員が激励のメッセージを読み上げ、私たちの広島までの道のりの幸運を祈ってくれました。議員の方々は竹田さんと田中さんにペナントも贈呈して下さいました。

5.21(2)

次の到着地は沼津市役所です。市議会と沼津の方々の前で自己紹介をしました。いつも通り彼らの理念への支持を表明し、近くの湾を米軍基地が占拠していることにお悔やみを申し上げました。沼津コースは雨の中の行進でしたので、なかなか大変でした。約2時間行進した後で、近くの小学校で休憩を取りました。私の限られた日本語で数人の小学生に話しかけ、自分がグアムから来日して静岡から愛知まで歩いていくことを説明しました。私がそんなにも長距離を歩いている意味がよく掴めていない生徒達のリアクションを目にするのが楽しかったです。子どもたちの多くが「何これ?(What is this?)」と繰り返し聞いてきました。

5.21(3)

さらに1時間ほど行進した後、LCACs(エアークッション型上陸用舟艇)がよく寄港する軍事基地に着きました。この特殊な基地は美しい砂浜を占拠しており、残念なことに沼津の方々は軍事演習がおこなわれる際は浜辺を楽しむことができません。この湾は最初、米軍によって使用され、今では自衛隊によって占拠されています。沼津原水協の事務局長が年間最低6回はおこなわれる演習の種類を簡潔に説明され、演習の様子の写真を見せてくれました。LCACsは重装備の兵器やその他の軍装備品の輸送用のホバークラフトです。沼津市民のある女性は基地から約1km離れた所に住み、軍事演習による騒音はその地域全体の住民生活を混乱させている事を話して下さいました。

5.21(4)

この発言で、私はグアムでは女性下院議員が、リティディアンへの人々の立入りを制限して射撃演習場にする権限を軍に与えるという法案を提出した現状を思い出しました。この法案がグアムの多くの指導者たちや知事の支持によって可決されたことを知ったばかりです。私たちの指導者が人々に代わってまたしてもそのような選択をし、私たちの懸念を無視したことに心が痛みます。沈黙の意味を痛感しているチャモロ族の人々にとってはこの上なく嘆かわしいことです。グアムの州知事は女性議員の提出した法案と軍備増強支持に対して祝辞を述べました。国民の多くが軍備増強は自国の安全確保と、私たちの島に経済成長を確実にもたらすと確信しているのです。しかしこのことは多くの土地の接収という犠牲と、環境への脅威が避けられないという事実のもとに成り立っています。しかし、軍事化の問題は単に土地やお金以上に根深いと私は確信しています。私にはチャモロ族の人々のアイデンティティに重大な影響を及ぼすと思えます。わが国の指導者でさえ国民の口を封じようとする時に、いったいどうやって力をつければいいのでしょうか?国民が自国の将来に関する選択さえできない時に、その法案は私たちのアイデンティティについて何を語っているのでしょうか?自分たちが力を得たという実感もなく、自分たちが何者かについてもわからないまま、私たちが自らの可能性を本当に知ることは決してできないまま、人生を当てもなく不安定な状態で送るようになるというリスクが常につきまといます。当然ながら、人は自分のことを「他人」とか「第二級市民」と感じないでいさせてくれる権力の側につきたがる傾向にあります。この場合、先住民族の文化を守り、尊重することに関心を払わない権力のことです。軍事増強を支持する者はチャモロ族ではないと言っている訳では決してありません。私が言いたいのは、発言権を奪われることによって、人々は、自分たちは決して権力を手に入れることはできないのだと諦め、自らの土地の中で単なる将棋の駒のような存在となることを受け入れる状況に道が開かれてしまうのだということです。さらに、これは私たちの人間性を損なうことです。グアムの州知事は、基地増強は経済成長、雇用創出、未来への自信の増大につながると言います。しかし、国民の自信とはまず、私たちがここに生きているということを指導者たちが認識するところから始まるべきです。

今一度、私は、住んでいる町が軍事基地の影響を受けている日本の方々にお悔やみを申し上げます。グアムと日本の両国民の声に指導者たちが耳を傾け、尊重し、人々が軍事演習から解放されることを願っています。頑張ります!平和が一番です!

(翻訳:白石亜子)

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