国・東京電力の責任を問う福島原発被害東京訴訟の第6回期日及び報告会開催

国と東京電力に対し、避難区域の内外を問わず、すべての原発事故被害者への完全な賠償と、事故前の当たり前の暮らしを取り返すことを求めて昨年3月11日に訴訟を起こし、現在282人の避難者・被害住民の方々がたたかっている福島原発被害東京訴訟は5月28日、午前10時から東京地方裁判所103号法廷で第6回期日があり、原告及び弁護団から意見陳述がおこなわれました。

「私は普通の暮らしがしたい」と切り出した原告の女性は、原発事故でごく普通の生活を奪われた思いを時おりハンカチで涙をぬぐいながら次のように訴えました。

2011年3月11日の東日本大震災に続き、14日に東京電力福島第1原発事故が発生したことを受けていわき市を離れることを検討した。しかし、一緒に住んでいた祖父母は避難できないため、母親から「あなたたちだけでも逃げて。親は子どもを守る義務がある」と言われて泣く泣く当時2か月だった娘と夫と避難をした。先の見えない避難生活に加えて、いわき市に戻った夫が4歳になった娘の成長していく姿を見ることができない苦悩を抱えている。第2子を授かったが流産してしまった。頭痛や胃痛で2年間病院に通い、薬を飲まないと寝られない。家族がたくさんいるいわき市で美容院を開くという夢があったので、賃貸住宅を2011年3月12日に契約することになっていたが、そこでは一度も親子3人で暮らしたことがない。今の夢は娘が健康に成長し、結婚して子どもを産むこと。放射能に汚染されていない環境に住まわせてほしい。

意見陳述が終わった直後、傍聴席から起こった拍手が法廷の中に鳴り響くという異例の事態が起こりました。

原告代理人の平松弁護士からは、東京電力が津波対策を怠ってきたこと、被告である国は責任に対して認否すらしておらず、訴訟を遅延させていることを指摘し、無責任・不誠実な態度を改めるよう訴えました。

また、5月21日に関西電力大飯原発の再稼働差止め訴訟の判決文を引用しながら、裁判所に対して根拠のない「安全神話」にとらわれることなく判断してほしいと求めました。

裁判の後は弁護士会館に場所を移し、報告会がおこなわれました。

冒頭、原爆症認定集団訴訟の弁護団活動に携わってきて福島原発被害東京訟弁護団の事務局長を務める吉田悌一郎弁護士から裁判の説明がありました。

意見陳述をおこなった原告の女性からは「今でも胃がひっくり返りそうだし、手が震えている。この2か月間、原稿をまとめる作業に負荷がかかっていた。最初はもう少しヘビーだったが、担当弁護士と相談する中でソフトになった。言いたいことが100%言えたわけではないが、やって良かった」という感想が語られました。

裁判の傍聴に初めて参加したという一橋大学の大学院生は、「これまでなかなか当事者からナマの声を聞く機会がなかったので、非常に貴重な経験だった」「この裁判で原告と被告の間に食い違いがあるということが明らかになったので、プロセスを重視しながら研究者として見届けたい」と感想を語りました。

次回(第7回)の裁判期日は8月28日(木)午前10次より、東京地方裁判所103号法廷でおこなわれます。

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原発被害東京訴訟提訴説明会

6月1日には、避難者の皆さんが完全な賠償を求めていくための考え方や、裁判の方針、東京訴訟の追加提訴に参加する方法などの説明があります。
日時:6月1日(日)午後2時30分〜
会場:TKPスター貸会議室お茶の水駅前(東京都千代田区神田駿河台2-1-18常和御茶ノ水ビル2F)
http://www.kaigishitsu.jp/room_ochanomizu.shtml

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