マーシャル諸島共和国が4月24日、9つの核保有国を相手取って国際司法裁判所に「核軍縮努力義務を怠っているのは国際法違反」として提訴しました。
私たちは、2015年NPT再検討会議第3回準備委員会が開かれようとしているこの時期に、米国の核実験で多大な被害を受けたこの太平洋の小国のイニシアティブに驚き、感動しています。同時に、このようなイニシアティブこそ、広島・長崎の原爆被害を受けた日本が果たすべきことであったと考えます。
長年、マーシャル諸島の核被害と島民への支援・交流にとりくんできた日本原水協として、この勇気あるとりくみを支援し広げていきたいと思います。また、このとりくみの中心人物であるトニー・デブルム外務大臣とも長年親交があり、今後とも提訴に関するアップデート情報をお伝えしたいと思います。
デブルム氏は、NPT第3回準備委員会にも出席する予定なので、日本原水協代表団は話し合いの機会を要請しています。
ご参考までに、Nuclear Zeroのプレスリリース(仮訳)を紹介します。
2014年4月28日 日本原水協事務局次長・土田弥生
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- <4・24のプレスリリース( 仮訳)>
- 歴史的なマーシャル諸島共和国の訴訟は、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国、イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮を国際法違反と訴えている。
- 〔2014年4月24日、オランダ ハーグ〕 マーシャル諸島共和国(RMI)は今日、国際司法裁判所に対して、1968年核不拡散条約(NPT)の核軍縮義務と慣習国際法に照らして、国際法を重大に違反しているとして、9つの核保有国の責任を問う先例のない告訴を行った。
- 12年間にわたってアメリカにより核実験場として使われたこの小さな島国は、5つの核兵器国(米、露、英、仏、中)が同条約のもとでの法的義務に継続的に違反してきたと述べている。この訴訟ではまた、核保有9か国全てが慣習国際法に違反していると主張している。
- NPT第6条は、核軍備競争の「早期の」停止と核軍縮について、諸国が「誠意を持って」交渉するよう求めている。5つの核兵器国はNPT締約国でありながら、一貫して自らの義務を無視してきた。新たな核保有4か国(イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮)は、NPT締約国ではないが、慣習国際法のもとではこれらの核軍縮条項に拘束される。
- 「わが国民は核兵器の破局的で回復不可能な被害に苦しんできた。われわれは地球上のいかなる人々もこのような残虐行為を経験することがないよう、たたかうことを誓う」とマーシャル諸島のトニー・デブルム外務大臣は述べている。「核兵器が今もなお存在し、世界に恐ろしい危険をもたらしていることは、われわれ全てにとっての脅威だ」
- 「これらの核保有国が重要な約束と法律を守っていないことは、世界をより危険な場所にしている」と、この訴訟を強力に支援しているデズモンド・ツツ司教は述べている。「われわれは、この国々の指導者が、なぜ自らの誓約を破り続け、自国と世界の市民を恐ろしい破壊の危険にさらしているのか、と問わねばならない。これは現代の最も根源的な道義的、法的問題である」
- この訴訟では、これらの国々が自国軍備の近代化を続けながら、核軍縮の交渉を行っていないという違反行為について詳細に明らかにしている。これら核保有国は、今後10年の間に自国軍備のために1兆ドルを支出することを計画している。
- マーシャル諸島はこの訴訟で補償を求めていない。それよりもマーシャルが求めているのは、この9つの核保有国に自らの義務を順守するよう求める宣言的差し止め救済措置(declaratory and injunctive relief)である。
- 「1996年、世界法廷は一致して、『効果的な国際管理の下、あらゆる局面において核軍縮に向けた交渉を誠実に遂行し、完結させる義務が存在する』と結論した。核保有国は、以来一貫してこの結論を無視する道を選択してきた。これらの件につきマーシャル諸島は、国際司法裁判所が核保有国に対して、明確に、国際的義務を全面的に順守する必要があると述べるよう求めている」と、トニー・デブルムとともにRMI国際法律家チームを率いているフォン・バン・デン・ビーゼンは述べている。
- 9つの核保有国のうち、イギリス、インド、パキスタンは、対立する国がマーシャル諸島のように同じく受諾している場合には、世界法廷の強制的管轄権を受諾するとしている。RMIはその他の6つの国については、特別にこのケースに関して国際司法裁判所の管轄権を受け入れて、核軍縮義務についての自国の立場について説明するよう求めている。
- 米国はマーシャル諸島において1946年から1958年にかけて67回の核実験を実施し、その健康と環境への影響は今日もマーシャル諸島国民を苦しめている。1954年のキャッスル作戦における「ブラボー」核実験は、広島を壊滅させた原爆の1000倍の破壊力を持っていた。
- 世界の指導者たち、国際的NGO諸組織、世界レベルの専門家、ノーベル平和賞受賞者らが、これらの訴訟に強力な支援を表明し、核兵器が道義に反していると非難している(支持者のリストはウェブサイトを参照)。アメリカの市民社会団体である核時代平和財団(NAPF)もこの訴訟を支援しており、マーシャル諸島と無償で支援する国際法律家チームに協力している。
- 「核兵器は全ての人、そしてわれわれが愛し、大事にしている全てのものに脅威を及ぼす。核兵器は文明と人類という種を危機にさらしている。46年間何も目に見える交渉が行われないまま過ぎた今、この狂気を終わらせるべき時が来た」と、核時代平和財団のデービッド・クリーガー会長は語っている。「マーシャル諸島は、もうたくさんだ、と言っている。彼らは全人類を代表して、大胆で勇気ある立場をとったのである。われわれ財団は彼らを支援できることを誇りに思う」
- この訴訟は今日、ハーグの国際司法裁判所に提訴されたが、関連する訴訟がサンフランシスコの合衆国連邦裁判所にアメリカ政府を相手取って起こされている。
- これらの訴訟についての詳細は、www.nuclearzero.orgへ。
<4・24のプレスリリース( 仮訳)>
太平洋の島国が9つの核保有国を世界法廷に提訴
歴史的なマーシャル諸島共和国の訴訟は、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国、イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮を国際法違反と訴えている。
〔2014年4月24日、オランダ ハーグ〕 マーシャル諸島共和国(RMI)は今日、国際司法裁判所に対して、1968年核不拡散条約(NPT)の核軍縮義務と慣習国際法に照らして、国際法を重大に違反しているとして、9つの核保有国の責任を問う先例のない告訴を行った。
12年間にわたってアメリカにより核実験場として使われたこの小さな島国は、5つの核兵器国(米、露、英、仏、中)が同条約のもとでの法的義務に継続的に違反してきたと述べている。この訴訟ではまた、核保有9か国全てが慣習国際法に違反していると主張している。
NPT第6条は、核軍備競争の「早期の」停止と核軍縮について、諸国が「誠意を持って」交渉するよう求めている。5つの核兵器国はNPT締約国でありながら、一貫して自らの義務を無視してきた。新たな核保有4か国(イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮)は、NPT締約国ではないが、慣習国際法のもとではこれらの核軍縮条項に拘束される。
「わが国民は核兵器の破局的で回復不可能な被害に苦しんできた。われわれは地球上のいかなる人々もこのような残虐行為を経験することがないよう、たたかうことを誓う」とマーシャル諸島のトニー・デブルム外務大臣は述べている。「核兵器が今もなお存在し、世界に恐ろしい危険をもたらしていることは、われわれ全てにとっての脅威だ」
「これらの核保有国が重要な約束と法律を守っていないことは、世界をより危険な場所にしている」と、この訴訟を強力に支援しているデズモンド・ツツ司教は述べている。「われわれは、この国々の指導者が、なぜ自らの誓約を破り続け、自国と世界の市民を恐ろしい破壊の危険にさらしているのか、と問わねばならない。これは現代の最も根源的な道義的、法的問題である」
この訴訟では、これらの国々が自国軍備の近代化を続けながら、核軍縮の交渉を行っていないという違反行為について詳細に明らかにしている。これら核保有国は、今後10年の間に自国軍備のために1兆ドルを支出することを計画している。
マーシャル諸島はこの訴訟で補償を求めていない。それよりもマーシャルが求めているのは、この9つの核保有国に自らの義務を順守するよう求める宣言的差し止め救済措置(declaratory and injunctive relief)である。
「1996年、世界法廷は一致して、『効果的な国際管理の下、あらゆる局面において核軍縮に向けた交渉を誠実に遂行し、完結させる義務が存在する』と結論した。核保有国は、以来一貫してこの結論を無視する道を選択してきた。これらの件につきマーシャル諸島は、国際司法裁判所が核保有国に対して、明確に、国際的義務を全面的に順守する必要があると述べるよう求めている」と、トニー・デブルムとともにRMI国際法律家チームを率いているフォン・バン・デン・ビーゼンは述べている。
9つの核保有国のうち、イギリス、インド、パキスタンは、対立する国がマーシャル諸島のように同じく受諾している場合には、世界法廷の強制的管轄権を受諾するとしている。RMIはその他の6つの国については、特別にこのケースに関して国際司法裁判所の管轄権を受け入れて、核軍縮義務についての自国の立場について説明するよう求めている。
米国はマーシャル諸島において1946年から1958年にかけて67回の核実験を実施し、その健康と環境への影響は今日もマーシャル諸島国民を苦しめている。1954年のキャッスル作戦における「ブラボー」核実験は、広島を壊滅させた原爆の1000倍の破壊力を持っていた。
世界の指導者たち、国際的NGO諸組織、世界レベルの専門家、ノーベル平和賞受賞者らが、これらの訴訟に強力な支援を表明し、核兵器が道義に反していると非難している(支持者のリストはウェブサイトを参照)。アメリカの市民社会団体である核時代平和財団(NAPF)もこの訴訟を支援しており、マーシャル諸島と無償で支援する国際法律家チームに協力している。
「核兵器は全ての人、そしてわれわれが愛し、大事にしている全てのものに脅威を及ぼす。核兵器は文明と人類という種を危機にさらしている。46年間何も目に見える交渉が行われないまま過ぎた今、この狂気を終わらせるべき時が来た」と、核時代平和財団のデービッド・クリーガー会長は語っている。「マーシャル諸島は、もうたくさんだ、と言っている。彼らは全人類を代表して、大胆で勇気ある立場をとったのである。われわれ財団は彼らを支援できることを誇りに思う」
この訴訟は今日、ハーグの国際司法裁判所に提訴されたが、関連する訴訟がサンフランシスコの合衆国連邦裁判所にアメリカ政府を相手取って起こされている。
これらの訴訟についての詳細は、www.nuclearzero.orgへ。
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国際法律家チームの連絡先は以下のとおり。
– Tony A. de Brum, Co-Agent, Foreign Minister of the RMI
– Phon van den Biesen, Co-Agent, Attorney at Law at Van den Biesen Kloostra Advocaten, Amsterdam, The Netherlands, http://vdbkadvocaten.eu/en/phon-van-den-biesen-en/ ,+31652061266
– Laurie Ashton, Esq., Counsel, Keller Rohrback L.L.P., United States, www.KRComplexLit.com, 805.284.6820
– Nicholas Grief, Counsel, Doughty Street Chambers, London, and Professor of Law, University of Kent, UK, http://www.doughtystreet.co.uk/, +44 7891 460157
– John Burroughs, Esq., Counsel, Executive Director, Lawyers Committee on Nuclear Policy, New York City, UN Office of the International Association of Lawyers Against Nuclear Arms, www.lcnp.org, 917.439.4585; 212.818.1861
– David Krieger, J.D., Ph.D., Consultant, President of Nuclear Age Peace Foundation, Santa Barbara, California, United States, www.wagingpeace.org, 805.965.3443; 805.450.4083
連絡先:Shineh Rhee
Phone: 646-477-5790
Email: srhee@fenton.com