日本原水協は4月7日、シンポジウム「2015年NPTへ 被爆国日本の役割」を都内で開催、70人が参加しました。来年開かれる核不拡散条約(NPT)再検討会議にむけて、核兵器のない世界の実現のために、日本の政府や反核平和運動の役割を議論しました。
笠井亮(日本共産党衆議院議員)、川崎哲(ピースボート共同代表)、田中煕巳(日本被団協事務局長)、土田弥生(日本原水協事務局次長)各氏がシンポジストとして冒頭報告し、コーディネーターを高草木博(日本原水協代表理事)氏が務めました。
笠井氏は、ことし1月に岸田文雄外務大臣が長崎大学で講演した日本の核不拡散・核軍縮政策について、国会で議論した内容を詳細に紹介しました。講演で岸田外相が述べた「核兵器の役割を、個別的・集団的自衛権の極限状況に限定する」よう核保有国に求めることについて、アメリカの「核の傘」に固執して核兵器禁止に背を向ける日本政府の姿勢の問題点を指摘しました。
笠井亮さん(日本共産党衆議院議員)の発言(動画)(資料)
川崎氏は、核兵器の非人道性から禁止条約へ向かおうとしている動向について、自身が共同代表を務める核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の活動や、2月にメキシコで開催された核兵器の人道的影響に関する第2回国際会議とからめながら紹介しました。非核保有国だけでも核兵器禁止条約の交渉が始められるのではないかと問題提起しました。
川崎哲さん(ピースボート共同代表)の発言(動画)(資料1、2、3、4)
田中氏は、「人類と核兵器は共存できない」ことを一貫して訴えてきた被爆者の役割について報告しました。2月におこなわれたメキシコ・ナヤリットでの国際会議では、原水協の協力も得て、まとまった時間の被爆者セッションを持てたことが述べられました。
田中熙巳さん(日本原水爆被害者団体協議会事務局長)の発言(動画)
土田氏は、岸田外相が講演で打ち出した核不拡散・核軍縮政策について、被爆国にあるまじきものだと批判した上で、こうした日本政府を変える力は、被爆国国民の世論と行動しかないと主張しました。日本や核保有国に非核平和への圧力をかける手段として、また、安倍政権の暴走を止める手段として、「核兵器全面禁止のアピール」署名を大きく広げようとよびかけました。
土田弥生さん(原水爆禁止日本協議会事務局次長)の発言(動画)(資料)
質疑応答や討論では、どうすれば日本政府を非核平和の方向に転換できるのか、日本政府が極限状況で核兵器使用を容認するのはなぜかなど、活発な発言が相次ぎました。また、2015年NPT再検討会議に向けた署名の飛躍や、自治体での決議採択など、決意表明も出されました。