日本原水協「核兵器廃絶2013年国連要請代表団」は10月9日、アンゲラ・ケイン国連軍縮担当上級代表、第一委員会議長(リビアのダッバシ大使)と面談しました。団長を務める安井正和日本原水協事務局長からの現地リポートです。
日本政府とも協力して広島、長崎の資料をもっと広いスペースできちんと展示したい
冒頭、安井より、原水爆禁止2013年世界大会への潘基文事務総長とケイン上級代表のメッセージへの心からのお礼を述べました。ケイン上級代表からは、「私自身が(世界大会に)参加できなくて申し訳なく思っています。シリアに行かなければならなくなったものですから。これまで招待を受け、それを受託してからキャンセルしたことはありませんでした。本当に申し訳なく思います」とのコメントがありました。
『原水協通信』9月号をひろげて潘事務総長とケイン上級代表のメッセージのページを紹介したところ、ケイン上級代表は1面の事務総長のメッセージを指して、「これを見せると事務総長は喜ぶと思います」と話しました。そして、「昨年、私が原水爆禁止世界大会に参加した時、若い人たちが暑い中で署名を集めている姿を実際にこの目で見て、とても感動しました。いま、国連総会議場を改装中で閉鎖しています。会議場の裏側には軍縮問題に関する展示部分があり、広島、長崎からの資料を展示してありましたが、今は改装中のため狭いスペースとなり隅の方に追いやられています。日本政府にも協力を要請して、改装後はもっと広いスペースにきちんと展示するようにしたいと考えています。署名の展示も今は撤去していますが、次にみなさんが来られる時には戻っているはずなので、皆さんに見てほしいです」と述べました。
来年の世界大会への参加について、高草木博日本原水協代表理事からも招待のメールが送られていることを話すとケイン上級代表は、「ありがとうございます。その時にまた、世界のどこかで何か悪いことが起こっていなければいいのですが」と笑いながら答えました。
328万署名を見て日本原水協の活動への期待を語る
ジュネーブの第2回NPT準備委員会の時から50万筆増えて328万筆となったこと、2010年には700万筆の署名を集めたこと、2015年のNPT再検討会議にも署名を提出することなど安井団長からの報告を受けてケイン上級代表は、「みなさん方の活動は本当に重要だと思います。時間が経つと人々は忘れてしまうからです。どんなにひどいことが起こったのかを常に思い起こさせる活動をみなさん方がやっておられる。とても重要だと思います。化学兵器は最近使われた事例がありますから人々は『ひどいことだ』と思うわけです。しかし核兵器はもっとひどい事態を引き起こすわけで、それを伝えるみなさんの活動は本当に重要です」と日本原水協の活動への期待を語りました。
ちひろカレンダーとコットンマフラーをプレゼント
ケイン上級代表にいわさきちひろカレンダーとコットンマフラー「Wakaba」をプレゼント。ちひろカレンダーについて「とてもきれいで気に入りました。みなさんにお礼を伝えてください」と述べ、軍縮局として子どもの絵をインターネットで募集して、2013年版のカレンダーを作ったこと、93カ国から6300を超えるエントリーがあったこと。日本の17歳の女性の絵が採用されたことを紹介。そのカレンダーとともに、桜美林大学と共同で編集したノーベル平和賞受賞者の言葉を集めた本を代表団にプレゼントしてくれました。
コットンマフラーもとても気に入ってくれ、ピンク色をさっそく身につけてくれました。ブルーのマフラーを潘基文事務総長にプレゼントして欲しいとお願いすると、「国連の色はブルーなのでとてもいいですね」と受け取ってくれました。
「署名を受け取ったことを、第一委員会出席の全加盟国代表団に必ず伝える」と議長
ケイン上級代表との面談に先立ち、第一委員会議長(リビアのダッバシ大使)に会い、署名を提出しました。ダッバシ議長は「(326万筆と聞いて)感銘を受けた。核兵器のない世界をめざす市民社会の声を代表するこの重要な署名を受け取ったことを、第一委員会出席の全加盟国代表団に必ず伝える」と約束してくれました。
(日本原水協事務局長・安井正和)