原水爆禁止2006年世界大会にアメリカから参加するバリー・アムンドソンさんからのメッセージを紹介します。
バリー・アムンドソン(平和な明日をめざす9.11家族の会)
原水爆禁止世界大会に参加するために日本に来ることができるのをとても光栄に思っています。同時に、戦争ではなく、外交を促進するための政治的リーダーシップが欠如している世界の現状を悲しく思います。
9月11日、弟のクレイグが死んだとき、私の家族はこれが何を意味するかを話し合いました。通常の考え方として固定化されるようになった「復讐」の感情に凝り固まることはないと分かっていました。私は、この事件がなぜ起こったのか、そしてアメリカ国民が、この難しい質問を自問してほしいと思いました。
2002年、ニューヨークで他の9.11家族の会のメンバーと一緒に被爆者の方々とお会いしたとき、私は、弟と同じように、まったく偶然に、その時その場所(広島と長崎)にいた、というだけで犠牲となった人々が、生涯をかけて戦争と憎悪とたたかってきた、それも愛の精神をもって続けてこられた人々に出会いました。被爆者の男性が私に、自分の家の絵を描きながら、その時床を掃いていたこと、爆発の瞬間何が起こったかを話してくれたことを忘れることはできません。彼らの証言と活動にほんとうに激励されました。
大会に集まる人々から学び、彼らの話をアメリカに持って帰って人々に伝えたい。素晴らしい人々が一同に会し、私と同じように、人間は究極的には善なる存在だと信じる人々に会えれば、私の平和運動への熱意を再び燃え立たせてくれるでしょう。そして私たちに、アメリカ国民の考え方を変えるにはどうしたらよいかのアイデアを与えてくれると思います。
アメリカは数千の核兵器を保有し、それらをもっと使いやすくするための実験をおこない、私の弟の死を「対テロ戦争」の理由に使っています。とんでもないことです。
テロは私の家族に打撃をあたえ、引き裂き、私たちの人生を想像を絶するやりかたで一変させてしまいました。これまで私は近しい家族を失ったことがなく、哀悼するなかでどう感じるべきかを知りませんでした。多くのことを感じました――弟への愛情、犯罪者への怒り、後悔、無力感。なぜ、と問い、起こった出来事を理解するために努力することは、自然な反応でした。
いのちを真に評価するためには、それがどれほど貴重なものかを知らねばなりません。悲劇を経験して初めて、私はその大切さを理解できるようになりました。弟を失うまで、命がいかにもろく、人生がいかに短いものか、考えたこともありませんでした。私は、若い人々に、そして誰に対しても、人々の役に立つようなボランティア活動やさまざまな運動に参加するよう訴えたい。
最終的には、国の異なる人々がナショナリズムを超えて、共通の目的のために非暴力を組織原則として力を合わせるよう訴え、そしてさまざまな機関がそれを受け入れるよう求めたい。