「第24回久保医療文化賞」の環境・公害部門に、沢田昭二日本原水協代表理事の受賞が決まりました。
この久保医療文化賞は新日本医師会の事務局長を務められ、ポリオが流行しているのにソ連製の生ワクチン導入を渋った日本政府に迫り同ワクチンの緊急輸入を実現してポリオの流行をストップさせた活動でも知られ、久保医療文化研究所を創設された久保全雄(まさお)医師の偉業を記念して設けられました。
受賞理由は原水爆禁止運動と内部被曝に関する活動で日本原水協と市民と科学者の内部被曝問題研究会に深くかかわっています。
この賞は被爆医師の肥田舜太郎さんが第8回(1996年)で受賞され、第21回(2009年)には、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)中央相談所の相談員活動で西村(伊藤)直子さんが受賞、前回2011年度の第23回は市民と科学者の内部被曝問題研究会副理事長の矢ケ崎克馬さんと松井英介さんが受賞しています。
今回の第24回(2012年度)には、フランス在住でアニメ『つるにのって』の製作などでフランスをはじめ世界に核兵器廃絶を訴えたフランス広島・長崎研究所の美帆シボさんと同時に受賞されました。
沢田代表理事は美帆シボさんとともに、2月24日14:00から東京都北区の赤羽会館(京浜東北線赤羽駅南口の東約200m)の授与式と受賞記念講演に出席されます。
推薦の理由は以下の通りです。
素粒子の理論物理学者。名古屋大学名誉教授。13歳の時に広島で被爆、定年後は(注:原爆症認定訴訟)原告側証人として原爆被害者救援に奔走してきた。2007年には原爆残留放射線による内部被曝問題の論文を発表、福島原発事故に対しては内部被曝の危険性を鋭く指摘、結成された内部被曝問題研究会(ACSIR)の代表を務めている。また、原水爆禁止日本協議会代表理事としても活躍してきた。歴史的に見ると、米ICRP(注:国際放射線防護委員会)などが核開発を優先させるという軍事目的のために、内部被曝の危険性を軽視し続けてきたという経過がある。爆心地から離れた地点でも脱毛や皮下出血があり、あるいは日時を経ても原爆症を発症する事実があったにもかかわらずそれらは否定され続けてきた。そのような放射線の影響があるとなれば非人道的残虐兵器と評価されかねず、のちの核開発が難しくなる畏れがあったからだ。日本の「核の専門家」と称する学者らはほとんどがICRP傘下の研究機関で学んできたために、福島原発事故が起きても内部被曝の危険を指摘しないという姿勢をさらけ出すこととなった。そうした中で放射線防護のためには「内部被曝こそ考慮しなければならない」という氏の科学的スタンスは、被ばくした日本にとって今最も大切な視点となっていると言える。
著書論文は多数あるが、「核兵器はいらない!知っておきたい基礎知識」(新日本出版社2005年4月)、「内部被曝からいのちを守る」(旬報社 2012年・1月)など。