愛と平和のちひろカレンダーを陸前高田市の仮設住宅と保育所、飯館村の小・中学生に届けました

日本原水協は「ちひろカレンダーを被災地に贈るキャンペーン」をとりくんでいます。都道府県原水協や民主団体、労働組合の協力で、現在66箱(1650本)のカレンダーを贈ることができ、引き続き募金が集まっています。

11月3日には福島県南相馬市(125本)、12月5日には福島県浪江町(550本)を訪問し、仮設住宅を訪ねて被災している住民の方々に直接カレンダーを届けてきました。浪江町では馬場有町長とも懇談してきました。私は12月17日、18日と岩手県陸前高田市と福島市内の仮設庁舎で学ぶ飯館中学校を訪問してきました。田中章史事務局員のレポートです。

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 陸前高田市では戸羽太市長にも手渡す

12月17日には岩手自治労連の協力もいただき、渡辺孝文書記長の案内で、岩手県原水協の津村喬事務局長と甚大な津波被害を受け、復旧に向けてとりくみをすすめている陸前高田市を訪問し、自治労連陸前高田市職員労働組合の菅原正弘委員長と日本共産党市委員会の藤倉了介さんの協力も得て、戸羽太市長、山田市雄教育長にも会い、教育長には15か所の小中学校分のカレンダーを渡し、公立・私立の保育所9か所と滝の里工業団地仮設住宅には直接訪問しました。

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 「うわぁ!ちひろの絵だぁ。かわいい」

4か所の公立と5か所の民間保育所を訪問しました。園長先生たちは「私この絵が大好きなの」「今年もいただけるなんて本当に嬉しい。素敵な絵ですからこどもたちも喜んでくれます」「(月が終わったら)切り取って額に入れて、保育室に飾っています」など大歓迎していただけました。またある園長は「仮設に住む方から今年も欲しいっていわれていたので、岩手自治労連に電話しようと思っていたの」と、ちひろカレンダーが仮設住宅で困難な生活を強いられている住民の心の「オアシス」にもなっていることを実感しました。

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また、他の園では年長の子どもたちも寄ってきて「うわぁ!ちひろの絵だぁ。かわいい」と言いながら一緒に写真撮影もしました。子どもたちは明るく元気いっぱい頑張っていました。

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 「こんなもの(核兵器)はなくさねばねえ! 戦争は起こしてなんねぇのさ」

滝の里工業団地仮設住宅では、小野田高志自治会長が迎えていただき、お住まいの方を訪ね、カレンダーと核兵器全面禁止のアピール署名を手渡してお話を伺いました。「いやあ!このカレンダーはいいねぇ。ありがとうございます。部屋は4.5畳二つと6畳の3部屋で、6人が暮らしていますが、高校生の子どもが2人、小学5年生1人で寝る時などは歩く場所もないし、高校生とはいってももう大人なのでいろいろ気を使います。それにしてもこれ(核兵器)は早くなくさねばねぇ」とカレンダーと一緒に届けた「核兵器全面禁止のアピール」署名のタイトルをみて話してくれました。さらに「また戦争みたいなものは起こしてなんねぇのさ」とも話されました。

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自治会長も「震災も大変だったが、福島はよけいだもんねぇ」と原発事故による福島県民の被災、暮らしの状況に思いを寄せ、核兵器も原発もなくさないといけないと署名への協力を約束してくれました。

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木のぬくもりを感じる仮設校舎で、2年生の女子生徒は「やさしい絵ですね」と受けとってくれました

18日には、福島県飯館村の教育委員会とも相談して、小・中学校生徒全員の350人にちひろカレンダーを届けました。福島県原水協の二階堂次男代表理事、石堂祐子事務局長、庄司正樹事務局員と一緒に、福島市内にある仮設の飯館中学校を訪問しました。教頭の稲川竜寿(いながわりゅうじ)先生と2年生の2人が私たちを迎えてくれました。

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稲川先生から、3・11当時の村の状況、その後の避難の実態などのお話を伺いました。

3・11の地震は飯館村ではほとんど被害もなく、浜の方から避難してきた人たちへの炊き出しなどを外でおこなっていました。東電福島第1原発から40キロ圏の飯館村にまさか放射能が降り注いでいるなんて夢にも思わなかったとのことです。放射線量が高いことがわかった後、「外には出るな、外では頬かぶりをしろ、肌を露出するな」などの指示がありました。学者も、国も、誰を信じていいのかわからない状態で、各地に避難する人たちも出る中で、村ははじめに子どもたちの避難を考えて学校の移転場所を決めてくれました。これで8割の中学生は戻ってくることができたのです。しかし初めは県立川俣高校の体育館をお借りして、6クラスが4つの部屋で授業をしていました。1年4カ月の期間、トイレも工事現場のような仮設でみなさんはたいへんな思いをしていました。

ホッと落ち着き、部活も活発に

この仮設校舎に来た時の生徒たちの表情は「ホットして落ち着いた」という感じでした。とにかく廊下もありますし、木のぬくもりもあり、みんなノビノビとしてきました。部活などもいろいろな施設をお借りしていましたので移動の時間もかかり、なかなか部活動はできないできましたが、ここではそんなことも解決していま部活を楽しんでいます。

飯館の人たちは、お年寄りは仮設住宅、若い人や子どもたちは借上げ住宅に住んでいますので、朝は9本のスクールバスで子どもたちは登校してきます。いま学校ではホームページを作り、子どもたちの様子を発信して、遠く離れてくらす飯館村の人々や友達、そして支援していただいた人々へのメッセージにしています。

最近は子どもたちが仮設住宅のお掃除をするということをやりました。親やお年寄りの皆さんからは、「中学生がこれだけ前を向いているのだから、おれたちもいつまでも下を向いているわけにはいかない。元気をもらった」との声がたくさん寄せられました。

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村民のみなさんに元気を発信したい

吹奏楽部でフルートを吹く女子と、テニス部の男子の2年生2人は、「引っ越しが決まった時は嘘だろうと思った」「ふるさとに早く帰りたい」と話しながらも、「仮設の人たちに元気が出るような活動をしたい」「みんなに歌を歌って元気を発信したい」「他県に行った友達に手紙を書いている。一緒の高校に行こうねと話している」など前を向いて、村民のみなさんの思いにこたえようとの積極的な姿勢を感じました。みなさんと写真を撮ったあと、2人の生徒はカレンダーを見ながら、「やさしい絵ですね」と感想を話してくれたので、いわさきちひろさんの平和や子どもたちへの思いと、被爆者の方々が地震と津波、福島原発事故を見て、あの日の広島や長崎とダブって見えたと言っていることも伝え、元気に頑張ってと握手をして別れました。

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職場で募金を集め、被災地同士の交流も!

今回のとりくみでは、自治労連本部の協力もいただきました。福島県浪江町へは岡山県高梁市職出身の岡崎加奈子青年部書記長も一緒に参加し、高梁市職員組合は職場に一人500円の募金を呼びかけて13万円もの募金を集めてくれました。陸前高田市へのとりくみでは岩手自治労連が県内の加盟単組へ募金を呼びかけて、300本分の募金を集めてくれました。岩手と福島の被災地同士の交流もということで、岩手自治労連と大船渡市職労からは福島県飯館村の子どもたちへ、福島自治労連と郡山市職労、二本松市職労からは陸前高田市にカレンダーが贈られました。

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