声明 原爆症認定集団訴訟名古屋地裁判決にあたって
2007年1月31日
原水爆禁止日本協議会
原爆症認定を求めた裁判で名古屋地裁は1月31日、原告4名中2名について、原爆症認定却下処分の取り消しを命じる、原告勝訴の判決を下した。
注目すべきことは、昨年の大阪、広島地裁に続いて今回の判決も、厚労省が固執する被曝線量の算定方式について、その機械的適用は、「誤った結果を招来する危険性がある」と、厳しい判断を下していることである。
これまでの判決もくり返し指摘しているように、原爆症の審査は被爆と後遺の実態に即しておこなわれるべきであり、援護行政は、原爆被害の特殊性から見ても被害者救済を精神としておこなわれるべきである。
原爆投下から61年半、被爆者には心身の傷に加えて、高齢化が進んでいる。現在の訴訟でも、229人の原告のうちすでに30名が亡くなった。これ以上いたずらに時間稼ぎをして解決を遅らせるべきではない。
政府は勝訴した2名の判決を受け入れ、ただちに原爆症を認定すべきである。さきの大阪、広島の地裁判決についても控訴を取り下げるべきことはいうまでもない。問われている原爆症認定の在り方を抜本的に改善することをはじめ、被爆者援護行政そのものを被害者救済の立場に立って見直すことである。日本原水協は、核兵器廃絶とともに援護と補償を求める被爆者への支援をいっそう強めるものである。