核密約問題で外務省に公表、破棄を申し入れ

先に共同通信の配信を通じて明らかにされた日米間の核密約問題で、4日、原水爆禁止日本協議会は外務省に対して、密約の全容を公表し、破棄するよう申し入れました。(応対、北米局日米安全保障条約課・長野将光課長補佐)

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席上、日本原水協の高草木博事務局長は、今回の報道が、60年の安保条約改定時に交わされた核持ち込みの密約や、密約内容を確認したその後の日米間のやり取りの存在を裏付けていると指摘し、密約の全容の公表と破棄を強く迫りました。また、核なき世界をというオバマ大統領の提唱を受け、日本が役割を果たすためにも、対外的に非核日本を宣言し、国際的な不信を晴らすべきと主張しました。長野課長補佐は、申し入れ内容を伝えることを約束しましたが、密約の有無そのものについては、従来同様「密約は存在しない」と繰り返すにとどまりました。

申し入れには、小松民子全労連副議長、千坂純日本平和委員会事務局長、田中章文自治労連副委員長、磯崎四郎全教書記次長、山田博子婦人民主クラブ事務局長、石村和弘東京原水協事務局長、永沢丈夫神奈川県原水協事務局長、吉野良司埼玉県原水協理事長、安井正和日本原水協事務局次長、前川史郎日本原水協事務局員の各氏も出席しました。

 

内閣総理大臣 麻生太郎殿
外務大臣 中曽根弘文殿

申し入れ書

 5月31日、共同通信は、同社の取材に対して4名の外務次官経験者が核持ち込みに関する日米間の密約の存在を認めたとの記事を配信した。

 同記事は、1960年の安保改定時に、米艦船・航空機に積載された核は事前協議の対象としないとの了解を交わした事実、核積載艦船の寄港は核持ち込みに当たるとの池田内閣当時の国会答弁に対し、アメリカ側がこれを正させた経緯、さらには、これらの密約文書が外務省内に保管され、次官レベルで引継がれてきたこと、外務省側の判断によって時の首相や外相にも密約の存在を隠してきたことなど、多くの事実を当事者の証言によって明らかにしている。

 これらの密約の存在と内容は、すでに多くの調査をつうじてこれまでも指摘され、アメリカ側の密約文書そのものも明るみに出されてきた。日本政府・外務省は、それに対し「密約は存在しない」と言い張ってきたが、今回の報道は、それがウソであったことを改めて明らかにしている。

 もともと核兵器を積載した艦船・航空機を日本の領土、領海、領空に受け入れることが「非核三原則」の国是に反することは自明のことである。ましてやそうした密約の存在を国民、国会、さらには時の首相や閣僚にも秘密にしたりウソをいうなど、およそまともな民主主義国家では絶対に許されることではない。

 さきにオバマ米大統領が「核兵器のない世界」を追求することを宣言し、世界で核兵器廃絶の機運が高まっているいま、日本には唯一の被爆国として役割を果たすことが強く求められている。憲法9条や非核三原則に反するこうした核密約の存在は、それをひた隠しにする外務省の態度ともあいまって、国民にも国際的にも日本政府の信頼を著しく傷つけるものとなっている。

 我々は、日本政府がただちに核持ち込みに関わる日米間の密約の全容を公表し、破棄することを強く要求する。また、日本が国際的信頼を回復するためにも、あらためて核兵器の廃絶を求め、非核三原則を厳守する日本の立場を「非核日本宣言」として宣言し、対外的に広く通知するよう強く求めるものである。

2009年6月4日

原水爆禁止日本協議会
                    

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