日本医師会は3月29日、第120回代議員会において「核兵器廃絶に関する決議」を採択し、4月8日、麻生総理に手渡しました。
同決議は国務大臣をはじめ核軍縮・不拡散議員連盟会長、国際連合事務総長、世界保健機関事務局長並びに世界医師会会長・議長・事務局長に対しても提出する予定です。
以下、決議全文です。
核兵器廃絶に関する決議
この十数年の過去を振り返るとき、世界各地で地域紛争の拡大やテロリズムにより、多くの生命の喪失、市民生活の破壊がもたらされてきた。この趨勢は現在でも解決の道が見えない状況であり、大量破壊兵器の拡散に対する懸念は世界人類の共通の認識でもある。
また、最近も核兵器の開発や核実験を繰り返す事実をわれわれは見てきた。とりわけ核実験の継続については国際社会の反対を無視して行われた経緯もあり、地域紛争やテロリズムをはるかに超える犠牲をもたらす残忍な兵器に対して国際社会は大きな抗議の声を上げている。
世界医師会(WMA)においては、2001年にテロリズムへの糾弾を謳った決議が採択され、さらに、1998年と2008年には核兵器廃絶に向けて誠実に努力するようあらゆる国の政府に対して要請する「核兵器に関するWMA声明」を採択した。これは世界の医師たちが核兵器使用の悲惨さを医療専門家の立場から切実に訴えた声でもある。
核兵器の医学的影響は広島、長崎の例をみるまでもなく、はかり知れない。原爆投下後63年を経過した今日でもなお、被爆者は後遺症に苦しんでいる。
こうした時代であってこそ、日本医師会は、人々の生命と健康を守るという医師に課せられた使命から、地球上からすべての核兵器を廃絶するために努力することを決意するとともに、核兵器保有国が直ちに廃絶に向けて誠実に取り組むよう強く求める。
以上、決議する。
平成21年3月29日
第120回日本医師会定例代議員会