福島の人たちにどう向き合うのか。今、原水協に何が求められているのかー齋藤紀さんの助言

日本原水協が広島、長崎の被爆者の救援から立ち上がった組織として、福島原発事故の被害者・放射線被害者とどう向き合うべきか、いま何が求められているかを中心に、齋藤紀代表理事にお話を伺いました。(聞き手:安井正和)

エネルギー政策の転換が最大の激励

福島県民にとって最大の激励は、「エネルギー政策」の転換にあります。小中学高校生27万人のうち、6%(16200人)が自主避難しました。戦後はじまって以来の子どもたちの疎開です。福島県民も5万人が避難しています。195万人が福島県で生活を続けています。二度と同じ過ちを繰り返させないためにも、自然エネルギーへの転換のたたかいが求められています。

当面の緊急課題は除染

大事なことは恐怖をあおることではありません。すぐにでも影響が出ると言っている人もいますが、私は、もっと先だと思います。急性症状は出ませんが、問題は晩発性障害です。発がん、特に怖いのは子どもの甲状腺がんに尽きると思います。当面、除染が緊急の課題です。放射線防護学が専門の野口邦和先生は、「セシウムの被害は30年と言われているが3年で半減できる」と言っています。除染すればもっと早く生活できるようになり、福島県民に希望を与えることになります。

生活を後退させないたたかいを

復興増税、TPPを許さないたたかいが福島復興にとって極めて重要です。TPPを野田政権が通そうとするでしょう。いまギリギリのたたかいが行われています。福島が復興するためには、“生きていく土台”が必要です。今後、失業者は増大し、ますます大変になるでしょう。健康を維持できなければ免疫機能も低下し、様々な障害が出てきます。リスクを背負うことになります。生活を後退させないたたかいが必要になってくると思います。広島、長崎の被爆者は12年間放置されて、大変な苦しみを味わいました。このようなことを繰り返してはなりません。

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