被爆の惨状に涙する学生たち、核兵器のない世界へ熱い討論
1月11日からマレーシア訪問中の日本原水協、日本被団協の代表を迎え、各地の大学で「核兵器のない世界」や被爆の実相をテーマとしたセミナーやシンポジウムが相次いで開かれました。
14日にセミナーがおこなわれたマラ工科大学サランゴール校では、多数の学生と教官を前に日本原水協の高草木博事務局長が、広島・長崎の被爆の実相や、原水協・被爆者の活動を紹介しながら、2010年4月のNPT再検討会議にむけて原爆展や署名「核兵器のない世界を」を広げていることを説明。ついで広島の被爆者網崎万喜男(神奈川在住)、永原富明(広島の被爆二世)の両氏が、被爆体験と日常的な語り部の活動などを紹介しました。討論では、「原爆を落とした国となぜ日本は仲良くして、イラクやアフガンの戦争でアメリカを支持しているのか」「どうして広島に続いて長崎にも落としたのか?爆弾のちがいは?」など、質問が相次いで出され、熱心な討論が続きました。
また、15日にはマラッカ海峡に近いマラ工科大学マラッカ校でも同様のセミナーが開かれ、日本被団協の田中煕巳事務局長、日本原水協の高草木博事務局長の他、広島の被爆者高東征二、長崎の被爆者川口龍也の両氏が、黒い雨の被害や火の海となった長崎の被爆の実相を訴えました。さらに、16日夜には、マレーシア国立大学でもセミナーが開かれ、高草木、田中氏のほか、東京から参加した広島の被爆者山田玲子さんが自らの小学生の時の被爆体験の特別報告をおこない、学生たちに被爆体験を継承してほしいと呼びかけました。
セミナーにはそれぞれ、100人から300人の学生のほか、教官や元大使、総理府や国防省の元高官なども参加しました。最初に上映された「ヒロシマ-母の祈り」のビデオの中では、むごたらしい惨状にどよめきが起こり、目を覆う姿や涙する学生たちが印象的でした。被爆の実相や核兵器廃絶の道筋のほか、「学生からは被爆者を支援するために自分たちに何ができるか」、「核兵器のない世界はどのような世界か」など、熱心な質問と討論が続きました。
それぞれのセミナーでは、一緒に参加した代表団一行も挙手で討論に参加したり、また、それぞれに「核兵器のない世界を」の署名を呼びかけ、すべてのセミナーでほとんどの学生や教官が署名に応じました。どの大学でも教官たちが、今年の世界大会には学生を送ると約束してくれました。