第33回東京国際映画祭(TIFF)が10月31日から11月9日まで開かれました。
新型コロナウイルス感染拡大のため、開催自体が危ぶまれましたが、10日間で138本が上映され、4万533人の観客が来場しました。
リアルイベントの動員数は7272人、オンラインイベント動員数は84万7873人、共催/提携企画動員数は約3万3000人に。また、公式上映作品における女性監督の比率(男女共同監督作品を含む)は16.7%(138本中23本)となりました。
9日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われたクロージング・セレモニーでは、今年初めて「インターナショナル・コンペティション」「アジアの未来」「日本映画スプラッシュ」の3部門を統合した「TOKYOプレミア2020」部門の上映作品32本から観客賞/東京都知事賞が選ばれ、大九明子監督が芥川賞作家・綿矢りさ氏の著作を映画化した新作『私をくいとめて』が受賞しました。
2017年の第30回TIFFのコンペティション部門でも綿矢氏の原作を映画化した『勝手にふるえてろ』で観客賞を受賞している大九監督は、「3年前に受賞した時とは、世界が全く異なる状況ですし、この映画祭も全く違う形になりました」「東京国際映画祭は、実際にお客様をお入れして、同じ劇場、同じ時間、一緒にスクリーンへ向き合うということを実現させました。これは素晴らしいことだと思います。まだまだ出歩くことに不安を抱きながらも、チケットをとって劇場に足を運んでいただき、映画をご覧になって点数を入れて頂いた。おひとりおひとりの1票が、私共に賞をくださったこと、いつも以上に感慨ひとしおです」と語りました。
同作品で主演を務めた俳優ののんさんは「毎年設けられている賞だとは思いますが、今年は“唯一の賞”。とても嬉しく思っています。私事ではありますが、何年ぶりかの主演映画に参加させていただき、本当に本当に心から喜びでいっぱいです」「映画というのは観客の皆さんに見ていただき完成するものだと思います。今回この賞を大切に受け止めたいです。この映画は12月18日に全国公開。見て頂いた皆さんと一緒に、この映画を盛り上げていけるように頑張りたい。面白いと思った方は、是非是非SNSに感想をあげたり、お友達や家族におすすめしてくれると嬉しいです」とアピールしていました。
安藤裕康チェアマンは「新型コロナウイルスの厳しい状況のなか、ゴールまでたどり着くことができるのかと、毎日心配しておりました。しかし、今日こうしてフィナーレを飾ることができたこと、胸がいっぱいです。シェイクスピアが言ったように『終わりよければ全てよし』でございます」と振り返り、「厳しい状況にもかかわらず、劇場に足を運んでいただいた。今年の映画祭の主役は、観客の皆さんでした」と感謝の言葉を語っていました。