日本原水協が参加する国際平和ビューロー(IPB)は、2011年以来、「軍事支出に関するグローバルキャンペーン(GCOMS)」に取り組んできました。世界各国で増加の一途をたどる軍事費を削減し、持続的な発展、医療・教育・福祉などに回せとの要求を掲げて、これまでに世界35か国で様々な行動がとりくまれてきました。10周年となる今年は、4月10日から5月9日が「軍事支出に関するグローバル行動月間(GDAMS)」としてとりくまれます、コロナパンデミックの状況下の現在、「医療と生活を守るために軍事費の削減を」の声には特に共感が広がっています。
GCOMSコーディネーターのキケ・サンチェスさんから以下の呼びかけが届きました。核保有国の核兵器増強・近代化予算を含む軍事支出の増大に目を向け、その削減で人々の命と生活を守ろうと呼びかける世界の運動に連帯して行動しましょう。
軍事支出削減で人々の命と地球を守る政策転換を
キケ・サンチェス
GCOMSコーディネーター/スペイン・デラス平和研究センター
国際平和ビューローが「軍事支出に関するグローバルキャンペーン(GCOMS)」を提唱してから10周年の今年、4月10日から5月9日を特別行動月間として、軍事費を削減し人間の命とくらしを守る政策への転換を求める行動が、世界中で計画されています。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が軍事支出の最新動向を発表する4月26日には、世界中で軍事支出に焦点を当てたツイッターストームが、そして4月30日には外国軍事基地反対国際行動デーが呼びかけられています。
世界の軍事費は、2019年に前年比3.6%増の1兆9200億ドル、冷戦終結後の最高額を記録しました。安全保障のためとして拡大し続ける軍事費は、パンデミックから人々を守るには全く役に立たないことが証明され、気候変動などの地球規模の緊急事態に直面しても私たちの安全を守ることはできません。
この巨額の軍事費は、真の安全保障を提供するどころか、私たちが緊急に対処すべき問題への公正で包括的な解決策を阻んでいます。軍事力への執着は、緊急事態、緊張、不公平を生み出す最悪の対応です。核兵器を含む軍事力で競争する国々は、世界をますます危険にしているだけでなく、医療や再生可能エネルギーなど、本来私たちが投資すべき民生部門や産業から法外な額の資金を奪っているのです。
「軍事支出に関するグローバル行動月間2021(GDAMS-2021)」において私たちは、世界各国政府に対し軍事費の大幅削減を要求します。世界の軍事費総額の大半を占める「北」の国々は、特に新型コロナウイルスの大流行や、現在進行中の環境・社会の崩壊に立ち向かうために、その資金を人間と共通の安全保障に関わる分野に転換することが求められています。社会における優先順位をリセットし、人間と環境のニーズを産業、政策、予算の中心に据えた、防衛と安全保障についての新しい認識が必要です。人間と地球を守るためには、軍事費を削減しなければなりません。
日本の軍事費は2019年に467億ドルに達し、世界第9位となっており、日本による兵器の大量購入には世界で懸念が高まっています。4月30日の『国際外国軍事基地反対デー』は、米軍基地建設が強行されている沖縄のたたかいに連帯する格好の機会となるでしょう。
GDAMS-2021への日本の平和運動の仲間のみなさんの参加を心からよびかけます。