【北海道】国・厚労省、カルテを元に主張できず――送付嘱託の必要なしが鮮明に

自分の病気を原爆症と認めてほしいと提訴(原爆症認定申請却下処分取消)している北海道原爆訴訟の第2部口頭弁論(原告2名・浜田元治、星野禮子)が、5月15日札幌地裁で開かれました。


昨年末から頑なに診療録(カルテ)の送付嘱託を要求していた被告の国・厚生労働省ですが、カルテが届いたにもかかわらずそれをもとに主張することはできませんでした。
それどころか、医者の証人調べなどが終わったあと、すべて最後に主張すると言い出しました。
これには奥田正昭裁判長は、「漠然と証人調べを行うことはできません。診療録を原告のどの点に関係するか指摘してください」ときっぱり言い切りました。
原告弁護団の高崎暢弁護士は、「被告は診療録を取り寄せ、それを今日までに提出するはずでした。それがなされなかったのですから、口頭弁論が一回空転したことになります。原告は高齢化して裁判も長期化しています。早急に対処してほしい」と要求しました。
国は、あらたに代理人選定を要求しました。
口頭弁論終了後の支援連絡会の報告会で竹中雅史弁護士は、「カルテの取り扱いについて国が最後にというのは、あらがみつからなかったと言うことです」と説明しました。原告弁護団が一貫して主張してきたように、カルテの取り寄せの必要はないということが明らかになりました。
また、基本的主張は終わっているので、すぐに証人調べを行い、早い時期の結審・判決をめざすことが報告されました。
次回期日は、7月19日午前11時30分からです。(北海道原水協 しまだ)
北海道原爆訴訟・第1次集団訴訟の第5回進行協議が5月17日札幌地裁(竹田光広裁判長)で開かれました。
この協議でも、国・厚労省代理人が「カルテをもとに、内容を精査して主張したい。遺書あの尋問をやったあとに各論の主張をしたい」と述べました。竹田裁判長は、「カルテを見たうえで尋問のポイント、主張、どこを問題にするか主張してほしい。そもそもそういうことで送付嘱託にしたはず」と指摘し、弁護団の高崎弁護士は、「カルテ取り寄せ、送付嘱託の意味がない」と主張しました。
原告弁護団は、肥田舜太郎医師の証人採用に全力をつくしています。

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