声明 国・厚労省の大阪地裁判決控訴への抗議
内閣総理大臣 小泉 純一郎殿
厚生労働大臣 川崎 二郎殿
抗 議 文
日本政府は本日、さきに原爆症の認定をめぐって、大阪地裁が下した被爆者全員の勝訴判決に関して控訴することを決定した。
周知のように、現在全国13の地裁で行われている原爆症認定集団訴訟はいずれも、癌などをかかえる被爆者の原爆症認定申請にたいして、日本政府がそのほとんどを却下し続けていることに起因している。実際、原告のほとんどは、「私は健康というものがどんなものか知らない」、「わずかにしか残っていない命と向き合って生きている」というほどの困難のなかで、訴訟を続けている人たちである。
現在の被爆者行政は、原爆の特殊性と「高齢化の進行している被爆者」の実情を考慮し「総合的な援護対策」を旨としてつくられたはずの「援護法」に照らしても、あまりに機械的で冷酷という他はない。日本政府のこの姿勢と、申請却下の根拠としてきた基準やその機械的適用の非科学性もすでに、この間下されたほとんどすべての判決で指摘されている。
今回の控訴は、「残された命」と向き合って生きている被爆者に対する二重の冷酷な仕打ちというしか言いようがない。
我々は、日本政府に対してただちにこの控訴を取り下げ、国が引き起こした戦争の犠牲への補償として被爆者援護行政を抜本的に見直し、是正するよう強く要求する。
2006年5月22日
原水爆禁止日本協議会