【北海道】政府に被爆者への適正な援護推進を求める意見書提出―札幌市議会

被爆者に対して適正な援護の推進を求める意見書
 広島・長崎に投下された原子爆弾は、多くの人の尊い命を奪い、辛うじて生存した人々には重大な放射線後遺症の被害を与えた。現在も、26万人近くの生存被爆者が、原爆放射線の影響により多重がんなどの重篤な疾病を患い、日常生活に不安と苦痛を感じている。しかし、これらの人々が厚生労働大臣に対して原爆症と認定するよう申請を行っても、そのほとんどは却下処分となっている現状にある。これは、政府が、科学的に見て疑問のある審査基準を機械的に運用しているからであり、現在原爆症として認定を受けている被爆者は、被爆者健康手帳を持つ被爆者全体の約1%に過ぎない。
 被爆者は、「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」によって、健康管理手当等の支給を受けているが、多重がんなどの重篤な疾病に罹患した場合は、原爆症として、国がその治療費を払うのが当然である。そのため、原爆症認定申請の却下処分を受けた被爆者は、その取消しを求めて全国で200人以上が提訴を行い、既に大阪地裁では9人、広島地裁では41人の原告全員が勝訴し、裁判所は国に対して、認定却下処分の取消しを言い渡した。
 政府はいずれも直ちに控訴したが、被爆者は高齢化しており、提訴者の中には病没している者もおり、被爆者の援護に当たっては迅速な対応が必要である。
 よって、国会及び政府においては、被爆者の実状を鑑み、原爆症の認定に当たっては、内部被曝のもたらす影響や被爆者の健康状態などを総合的に判断し、迅速かつ適正な対応を推進するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
平成19年(2007年)3月7日
札 幌 市 議 会
(提出先)衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、厚生労働大臣
(提出者)全議員

タイトルとURLをコピーしました