「平和を願う若者たちへ」大石又七さんの手記

平和を願う若者たちへ
ビキニ被爆者 元第五福竜丸乗組員 大石又七
世界中を震撼させた、あのビキニ事件から53年が過ぎようとしています。
そして忘れ去られようとしています。
この事件は、若いみなさんから見たら、遠い昔の過去の出来事に思えるかもしれませんが、それは大変な間違いです。核の危険はあのときから始まり、徐々に私たちの足元にまで来てしまったのです。
ビキニ事件の発覚で、私たちは絶対に核兵器は無くさなければ大変なことになる、と3200万人、日本人の3人に1人が反対署名をして政府に働きかけたのに政府は「日本はアメリカの核実験に賛成で、協力する」と言って握りつぶしてしまいました。
そのため世界はどうなったでしょうか。核兵器保有国はアメリカ、ソ連にとどまらず、10カ国に及ぼうとしています。あわてたアメリカは、日本列島いたるところにあるアメリカ軍基地に核兵器を持ち込み、共産圏やイスラム圏に矛先を向け、悪の中枢と言って威嚇しています。
これでは、日本に一番近い北朝鮮は怖いでしょう。
同じように北朝鮮が核兵器を持って自分の国を守ろうとするのは当然です。
こうなるから私たちは50年間も核兵器反対を言い続けてきたのです。私はおびえている政府に、そら見たことかと言いたいです。
北朝鮮の核兵器を取り除くことは当然のことだが、アメリカ軍の基地も核兵器も同時に取り除かなければ本当の平和はきません。日本には核兵器より強い平和憲法があるのだから、アメリカの言いなりにならないでそうしてほしい。
私は今、ビキニ事件の裏側でこれまで何が行われてきたかを、資料や証言に基づいて本にまとめています。驚くような事実が時間の経過とともにアメリカ側からもたくさん出てきています。それらを見てみると、世界で一番民主主義でない国はアメリカではないのか、と思いたくなりました。
明らかになってきた「ビキニ事件の表と裏」の出版は間近です。ぜひ皆さん読んで、ビキニ事件の真実を知ってください。

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