【動画あり】日本人留学生が被爆の真実や歴史をアメリカに住む人々に伝えるために大学で講演会を開催 日本被団協事務局長からアメリカの若い世代へのメッセージに感謝の声

アメリカの大学で広島長崎の原爆の歴史を伝え、原爆投下が必要であったか、正当化されるのかという疑問を投げかけることで核兵器について学びその存在について考えるための講演会をおこなった中村仁美さんにリポートを寄せていただきました。


 

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私は、米ミネソタ州の大学で地理情報科学を学んでいる中村仁美といいます。

私は2015年10月29日、以前通っていたウィスコンシン州の大学でアメリカ人学生、留学生、地域の人々を対象に原爆の歴史についての講演会を開催しました。

アメリカに限らず、日本においても同じことがいえるのですが、原爆や戦争の歴史を十分に知らない若い世代の人々が増えており、そのような若者がこれからそれぞれの国のリーダーになっていきます。私は、特に今現在も核を所有しているアメリカのリーダーにそのような若い世代がなってしまうことに危機感を感じるようになりました。アメリカの高校生までの歴史では、原爆投下は必要であったと教えています。そのような歴史を教わって育った若者が国を率いていくということは、広島や長崎で起こった歴史を将来また繰り返してしまう可能性がとても高いと危惧しています。そのような状況を少しでも変えるため、被爆の真実や歴史をアメリカに住む人々に伝えることはとても重要なことだと思っています。

そんな私の考えに賛同してくれた、他の日本人留学生や、教授などの力を借りながら着々と準備を進めてきました。この講演会を効果的な、印象的なものにするために、実際の被爆者のメッセージを伝えられたらいいなと思い、原水爆禁止日本協議会事務局の前川史郎さんの協力をお借りして、日本原水爆被害者団体協議会事務局長の田中煕巳さんにスカイプで質問し答えていただきました。

私の質問内容は次の通りです。(1.投下時の状況を説明してください。2.日本での原爆の教育についてどうおもいますか。3.70年経った気持ちについて。4.アメリカの原爆肯定の声に関してどうおもいますか。5.被爆者に対しての風評被害や差別などはありましたか。6.ABCCについて。ABCCに身体検査をされたことはありますか?ABCCのことについてどう思いましたか(どう思っていますか)。7.アメリカが原爆投下したことについてどう思いましたか。今と昔で心情の変化はありますか?8.今の若い人たちへのメッセージをおねがいします)。

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当日は50人近くの人が集まってくれました。はじめに、今年が原爆投下70年であることと、講演会の趣旨が、広島長崎の原爆の歴史を伝え、原爆投下が必要であったか、正当化されるのかという疑問を投げかけることで核兵器について学びその存在について考えることであると伝えました。

講演会は4つのパートに分けておこないました。最初のパートは、原爆が作られた歴史と、原爆投下当時の人的被害と物的被害、そしてABCCについて話しました。このパートでは、地図と写真を使い原爆が投下された位置は一般市民が多く住んでいて、その一般市民がたくさん犠牲になったこと、ABCCによって被爆者は実験台のような扱いをうけたことを強調しました。

次のパートでは原爆投下が戦争を終わらせたというアメリカで広く知れ渡っている原爆投下を正当化する理由について、トルーマン大統領の日記や歴史学者の文献などを紹介しながら、本当にそうであったのか、原爆投下は必要なかったのではないかという疑問を投げかけました。

3番目のパートでは、被爆者からアメリカの若い世代へのメッセージが大きな役割を果たしてくれると思い、前川さんを通しておこなった田中さんとのSkypeインタビューの翻訳動画を見てもらいました。

最後のパートでは1から3のパートをもとにアメリカの原爆投下についての意見交換や、核兵器の保持についてのディスカッションをおこないました。

参加者からは、「このような講演会を開いてくれてありがとう」、「被爆者のメッセージを届けてくれてありがとう」と感謝されました。

今回やってみて、核兵器の恐ろしさを学ぶことができ、それを日本人として世界の人々に伝えることができて本当によかったです。私自身も今までそのような歴史にあまり関心がなかったのですが、アメリカに来て、いろんな人と出会い、会話し、勉強していく中で、日本人としての意識がうまれ、自分が日本人としてできることを意識するようになりました。

今回、さまざまな方に協力していただいたのですが、やはり、前川さんと田中さんには特に感謝しても仕切れないくらいです。本当にありがとうございました。

12月の初めには、現在私が通っているミネソタの大学でも講演会をすることになりました。さらに日本人として自分ができることを突き詰めていきたいと思います。

(なかむら・ひとみ)

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