東京地裁は2015年10月29日、ノーモア・ヒバクシャ東京第1次訴訟原告17人全員に勝訴の判決を言い渡しました。
この判決は、厚生労働省の被爆の実態を無視し続けている被爆者対策を、司法がまたも断罪したものです。さらに、「全員勝訴」とした判決は、「もう待てない」という被爆者の現状への深い理解に基づくものです。
判決は厚生労働省の原爆症認定行政を痛烈に批判し、かつ司法と行政の乖離がいまだ埋められていないことを明確に示す内容となっています。また、原爆症認定制度の改定の道を開いた2006年6月の大阪地裁判決から38回も続いている被爆者の実態にそった公正な判決の流れをまたも確認したものであり、2008年4月の「新しい審査の方針」も2013年12月の再々改定も、被爆の実態から見て不十分であるとしました。
私たちは、この判決を契機に日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が提案している被爆者援護法の改正をふくむ原爆症認定制度の抜本改定を求めていこうと決意しています。
10月29日に判決を受けた17人の原告のうち3人は他界し、健康上の問題から、判決の日に法廷に足を運ぶことができなかった原告は4人にのぼりました。
みなさまにお願いします。今回の東京地裁判決に対して厚労省が控訴を断念し、重い病気で苦しんでいる原告を早期に救済し、原爆被害に対する償いをはかるべきだという思いをこめて、「控訴するな」の運動に参加してください。厚生労働大臣に対して、今回の判決に控訴することなく、判決を確定させることを求める要請文を送ってください。