▲「核兵器全面禁止のアピール」署名にサインするコービン氏
イギリス核軍縮キャンペーン(CND)副議長で英国下院議員のジェレミー・コービン氏(66)が、9月12日おこなわれた英最大野党・労働党の党首選で選ばれました。
5月の総選挙で労働党が惨敗を期し、ミリバンド党首が辞任したのを受けての党首選でしたが、キャンペーンが始まってからずっと、他の3人の候補だけでなく、トニー・ブレアを中心にサッチャー寄り政策を推進してきた旧労働党指導部勢力は、「コービンが党首では労働党は選挙に勝てない」「彼では首相は務まらない」など、あからさまな中傷をおこなってきました。マスコミも「保守党を利するもの」など労働党の分裂の危機を煽るような主張をしていました。しかしCNDや戦争ストップ連合を含め、一般党員や主要労組の絶大な支持を得て最初から最後までコービン氏の有利は変わらず、1回目の開票で断トツの59.5%の票を集め、当選。コービン氏は「国民は不正義と不平等、必要のない貧困にうんざりしている」「私たちは不平等である必要はない。社会は公正でなければならない」と勝利宣言しました。
核兵器廃絶、緊縮財政反対、NATO(北大西洋条約機構)脱退を掲げ、「イラク戦争を開始したブレアは戦犯」とまで主張する候補が、二大政党の一つのリーダーになった背景には、国民の中にこれらの政策を支持する基盤があり、労働党の路線変更を求める声が高まっていることを示しているのではないでしょうか。ヨーロッパ全体で緊縮政治反対、庶民の生活防衛を掲げる勢力への支持が高まっているなか、核大国のイギリスの中で大きな変化のきっかけとなるかもしれません。候補者の中では最年長だったコービン氏ですが、彼に投票する目的で多くの若者が労働党に入ったというのも明るい話題でした。
この間、主要な反核会議には必ずコービン氏の姿がありました。2012年から3回のNPT(核不拡散条約)再検討会議準備委員会にもCNDを代表して出席しています(総選挙最中だったため、今年の再検討会議には欠席)。2013年のスイス・ジュネーブで開かれた準備委員会では、日本原水協の原爆写真展ブースに顔を見せて、「核兵器全面禁止のアピール」署名にサインしてくれました。
▲パタパタ折鶴を持つコービン氏