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原水協通信

毎月発行している日本原水協の機関誌です。国内外の反核平和運動についての情報が満載です。 日本原水協のウェブサイト→ http://www.antiatom.org/

「核兵器の全面禁止を!」

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【日本政府に核兵器禁止条約への参加・署名・批准を求める意見書決議】兵庫県丹波市議会の採択を確認して681自治体議会に

681自治体(2024年6月29日現在)

【基準】
日本政府の禁止条約への署名、批准など、条約への参加を求めているもの
※趣旨採択(31自治体)を含む。

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2024年原水爆禁止国民平和大行進

2024年宮城県平和行進6/16-6/23

アメリカでおこなわれている平和行進詳細こちら

2024年原水爆禁止国民平和大行進 東京-広島コース スタート集会
2024年原水爆禁止国民平和大行進 (東京→広島コース一日目:木場駅付近迄)

2024年神奈川県平和行進 5/7-5/19

2024年静岡県平和行進5/19-5/31

2024年原水爆禁止国民平和大行進・国際青年リレー①
レリー・アロガンテ・ヒテロサ(25歳・フィリピン)
5/31〜6/11(東京→広島コース・愛知県内)メッセージ

2024年三重県平和行進 6/7-6/17

2024年岐阜県平和行進6/11-6/16

日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名(「禁止条約参加署名」)

オンライン署名はこちら

日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名(5名連記)

日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名(5名連記、募金欄なし)

日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名(個人賛同用)

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原水爆禁止2024年世界大会チラシ

2024年原水爆禁止国民平和大行進・国際青年リレー行進者レリー・アロガンテ・ヒテロサ(フィリピン・25歳)あいさつ

原水爆禁止2019年世界大会-ナガサキデー集会で参加者に手を振ってあいさつするレリーさん(2019年8月9日、長崎)

2024年原水爆禁止国民平和大行進・東京→広島コースの愛知県内(5/31〜6/11)を国際青年リレー行進者として参加するレリー・アロガンテ・ヒテロサさん(フィリピン・25歳)のあいさつです。

SM-ZOTO(市民ネットワーク-ゾーン・ワン・トンド機構)とピースウィメンパートナーズを代表して、フィリピン国際平和行進者からのご挨拶

私は、ピースウィメンパートナーズの青年コーディネーターで、現在、マニラ首都圏と近郊の州に3 万人以上の会員を持つ都市貧困者連合、市民ネットワーク-ゾーン・ワン・トンド機構(SM-ZOTO)の青年代表を務めているレリー・A ・ヒテロサです。25 歳です。5 年ぶりに日本に来て、平和行進に参加できることをうれしく思います。愛知にお招きいただきありがとうございます。


私たちが連帯と希望を抱いて集うにあたり、皆さん一人ひとりに深い感謝と称賛の意を表したいと思います。皆さんの平和、正義への献身そして団結力には本当に元気をもらっています。核兵器が禁止され、もはや人類の脅威とならない未来に向けて、皆さんとともに行進できることを光栄に思います。


本日、私たちはさまざまな背景、信条、経験を持つ、多様で活力あるコミュニティとして立ち上がっています。そして暴力、差別、不正義のない世界という共通のビジョンによって団結しています。私たちは今日ここに集うことで、平和は遠い夢ではなく、実現可能であるという力強いメッセージを世界に発信しているのです。私たち、さまざまな国から来た若者たちは、被爆者が始めた闘いを引き継ぎ、平和と核兵器廃絶のための松明を掲げて進んでいきます。


行進しながら、私たちの旅がここで終わるわけではないことを思い出しましょう。平和行進は始まりに過ぎず、継続的な運動やアドボカシー(★)活動の促進となるものです。平和と核兵器のない世界に向けた私たちの活動は継続的であり、忍耐と思いやり、そして揺るぎない献身が必要であることを思い出させてくれます。


主催者の皆さん、そして行進に参加した仲間の皆さん、この革新的な運動に参加させていただき本当にありがとうございます。今日の私たちの歩みが歴史に反響し、次の世代を奮い立たせてくれますように願います。ともに、平和と調和に満ちた世界を創りましょう。


あらためて、皆さんに心から感謝します!


ノーモア・ヒロシマ!ノーモア・ナガサキ!ノーモア戦争!


平和!連帯!

★アドボカシー:政治家や国・自治体の政策決定や運営に関わる人びと、特に決定権を持つ人に対し、ある課題へのとりくみや関連政策、方向性、事業実施方法などについて提言をおこなうこと。それだけでなく、政策や方向性、事業実施方法についての支持/不支持の表明や、変更を求める働きかけも含まれます。

米国臨界前核実験への抗議文

アメリカ合衆国大統領

ジョー・バイデン殿

抗議文

2024年5月18日

原水爆禁止日本協議会

 貴国政府が2024年5月14日におこなった臨界前核実験に対し、被爆国の運動として強く抗議する。

 核エネルギー省安全保障局(NNSA)は、今回の実験が核弾頭の安全性や有効性、性能改善に向けたデータ収集に目的があるとしている。これは、バイデン政権が策定した2023年核態勢見直し(NPR)による設計寿命を超えた核兵器の更新、近代化をはかる「交代プログラム」と一体のものである。

 貴国政府は、他国の核兵器の開発・取得・保有に反対する一方で、自国の核は「安全の保証」であり、「侵略を抑止」し、戦争を「防止」すると繰り返している。しかし核兵器は、ウクライナの戦争にもみられるように、侵略や戦争を「防止」しないばかりか逆に危険をエスカレートさせ、一度使われれば人類滅亡にさえ通じるものである。

 現在、圧倒的多数の国ぐにが「核兵器のない世界」による安全保障を求めて核兵器禁止条約を支持し、条約に参加している。2021年1月に発効した核兵器禁止条約は、核兵器の開発、実験、保有、使用と威嚇を含めて、核兵器のあらゆる活動を禁止している。

 どんな形であれ、今後一切の核実験をおこなわないこと、核近代化計画の中止を強く要求する。同時に、貴国がこれまで誓約してきた「核兵器のない世界」の実現にむけて、核不拡散条約(NPT)再検討会議での合意事項の履行や、核兵器禁止条約への参加など、誠実に行動することを要求する。

以上

米国共和党のグラハム議員の発言の撤回を求める抗議文

抗議文

アメリカ合衆国連邦議会

共和党上院議員 リンゼー・グラハム殿

 あなたは、2024年5月8日、米上院歳出委員会国防省委員会で、1945年の広島、長崎への原爆投下について、これが「戦争終結につながった」との考えを示し、「イスラエルは負けるわけにいかない。これは、広島と長崎の究極版だ」とのべ、アメリカによるイスラエル軍の行動の支援を促した。

 いま、世界の世論と圧倒的多数の政府は、パレスチナ自治区ガザ地区住民に対するイスラエル軍の無差別の殺りくと破壊に抗議し、即時の停戦、即時の人道支援、人質の解放、イスラエル軍の撤退、国連の決議に基づく紛争問題の平和解決を求めている。

 一般市民にたいするテロ攻撃はもちろんいかなる理由であれ、容認されるものではない。だが、武力攻撃の継続とそれに対する米国の軍事支援は、問題解決を遠ざけ、罪もない市民の犠牲を拡大するだけである。まして、核兵器の使用を促したことは、広島、長崎をガザで再現させてもかまわないという、究極の暴論であり、人類の生存に対する挑戦にほかならない。

 我々は、あなたがそのことを真摯に受け止め、核兵器の使用の正当化にまでいたった5月8日の発言をただちに撤回するよう強く要求する。

2024年5月17日 原水爆禁止日本協議会

ゲディミナス・リムデイカさんから活動が掲載されたリトアニア語新聞記事が送られてきました

2004年にトラカイ・ロータリー会長をつとめ、リトアニア国内のウクライナ人支援プロジェクトのコーディネーターとしてウクライナ市民と子どもたちのための緊急人道支援募金「ひまわり募金」を活用してくれたゲディミナス・リムデイカさんから、活動が掲載されたリトアニア語新聞記事が送られてきました。日本語訳を紹介します。

トラカイで2000年にロータリー・クラブが活動を開始したのは、ごく最近のことのように思われます。この間、地域社会の生活の質を向上させ、他の人びとの職業活動を支援し、国際的なロータリーの会員として世界的な規模で活動し、世界平和を推進するために、多くの意義ある慈善活動がおこなわれてきました。トラカイのロータリアンは毎年、さまざまなプログラムを実施しています。学校、幼稚園、図書館、職業上の高みを目指して努力する若者たちを後援しています。クラブの活動は、海外のパートナーとの交流にもつながっています:デンマーク、ポーランド、ウクライナ、そして日本です。日本の代表団も何度かトラカイ・ロータリークラブを訪れています。

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「非核日本キャンペーン」

5/11-12 ビキニデーin高知2024にご参加を

【参加案内】原爆国際民衆法廷第2回国際討論会(6/7-6/8)について

原爆国際民衆法廷第2回国際討論会の案内が韓国のSPARK(平和と統一を開く人たち)から送られてきました。
日本原水協は、韓国被爆者の正義と補償をもとめる活動を全面的に支持し、いろいろと協力をしています。
韓国被爆者との連帯のために、また、韓国被爆者の願いを受けてSPARKもがんばっていますので、ぜひみなさんのご参加をよろしくお願いします。
参加される方は、事前登録のリンクから登録をお願いします。
念のために、日本原水協にも何人参加するのか、連絡をいただけると何かの際にヘルプできると思います。
参加費は無料です。
宿泊・食事などのアレンジはご自身でお願いします。

問い合わせ先: 土田弥生
日本原水協事務局次長
TEL:03-5842-6034 FAX:03-5842-6033
Eメール: jojoiyayoi@gmail.com

原爆国際民衆法廷実行委員会は、韓国の原爆被害者を原告とし、1945年にアメリカの核兵器投下の責任を問う「原爆国際民衆法廷プロジェクト」(2026年ニューヨーク開催予定)を進めています。準備過程として「第2回国際討論会」をことし6月、原爆が投下された日本の広島で開催します。

「原爆国際民衆法廷第2回国際討論会」は、韓国の原爆被害者の立場から、アメリカの核投下の歴史的意味と現時点での核兵器使用および(拡張)抑制の違法性を明らかにすることで、韓国の原爆被害者の恨みをなだめ、核対決と抑止論を克服し、韓半島の非核化と核なき世界を実現するために企画されました。

6月7日には韓国原爆被害者慰霊碑の前で慰霊祭を、8日には広島国際会議場コスモスホールで第2回国際討論会を行います。多くの関心と参加をお願いします。

参加をご希望の場合は、下記の申込リンクから必ず事前登録をお願いします。
[参加申し込み] https://forms.gle/cSyfgopshLDMdGAm8
[原爆国際民衆法廷紹介リーフレット]
[主管] 平和と統一を開く人たち(SPARK)

原水爆禁止2024年世界大会に向け 草の根から「非核日本キャンペーン」をひろげよう ビキニ被災70年 2024年3・1ビキニデー集会の記録のご案内

『オッペンハイマー』と核兵器についてのハリウッドからの公開状

ハリウッドの俳優たちが3月7日付のロサンゼルス・タイムズに載せた「公開状」を日本原水協の高草木博代表理事が仮訳しました。


 『オッペンハイマー』は、核兵器の起源、マンハッタン計画の歴史、その後のロバート・オッペンハイマーの軍備競争とそれまで以上に強力な兵器の開発への警告などを描いている。

 オッペンハイマーが我々に警告したのは正しかった。

 いま、1万4千発の核兵器が9つの国の手中にある。

 あるものは1945年に広島と長崎を破壊したものよりも80倍の威力を持っている。

 1961年、ケネディー大統領は国連でこう演説した:

 「いま、この地球に住む人の一人ひとりが、この星がもはや住めないようになる日のことを考えなければならない。男、女、子どもの一人ひとりが、ダモクレスの剣の下に置かれている。それは事故や誤算、あるいは狂気によって切られるかもしれないきわめて細い糸によって吊り下げられている。これらの戦争の兵器は、それが我々を廃棄する前に、廃棄しなければならない」

 芸術家や弁護士たちのように、私たちも声を上げ、オッペンハイマーは歴史だが、核兵器は歴史でなく(現実である)ことを人びとに思い起こさせなければならない。

 この大きな不確実性の時代には、たとえ1発の核兵器でも、それが地上であれ、海であれ、空中であれ、あるいは宇宙であれ、あまりに多すぎるのだ。家族、地域、そして世界を守るために、私たちは世界の指導者たちに核兵器を歴史の過去のものとするよう、そして明るい未来を創るよう要求しなければならない。

 どうか我々に加わってください ―― 私たちの運が尽きてしまう前に!

ロザンナ・アークエット(俳優) ジュリアン・ムーア(俳優) ミア・ウェンジェン(作家、ブロガー)

ジャクソン・ブラウン(ミュージシャン) ビゴ・モーテンセン(俳優) ジャネット・ザッカー(映画プロデューサー)

エレン・バースティン(俳優) グラハム・ナッシュ(ミュージシャン) ジェリー・ザッカー(映画監督)

イヴェット・ニコール・ブラウン(俳優) ビル・ナイ(科学教育者)

アラン・カミング(俳優) チャールズ・オッペンハイマー(ロバート・J・オッペンハイマーの孫)

マイケル・ダグラス(俳優) パイパー・ペラーボ(俳優)

ジェーン・フォンダ(俳優・作家) ジューン・ダイアン・ラファエル(俳優)

トニー・ゴールドウィン(俳優・映画監督) リサ・リナ(俳優) アーネスト・モニツ(元アメリカ合衆国エネルギー長官)

クラーク・グレッグ(俳優・脚本家) ピーター・セラーズ(演出家)

ハリー・ハムリン(俳優) ボビー・シュライバー(元サンタモニカ市長) サム・ナン(元アメリカ合衆国上院議員)

ポール・ジェイ(ジャーナリスト) デイビッド・スラック(脚本家)

アニー・レノックス(ミュージシャン) バーブラ・ストライサンド(歌手・俳優) ジョーン・ロールフィング(核脅威イニシアチブ社長・最高執行責任者)

ニコラス・メイヤー(映画監督・脚本家) クリステン・スチュワート(俳優)

エレン・ミロイニック(衣裳デザイナー) エマ・トンプソン(俳優・脚本家)

公開状原文・署名者の全リストはこちらから

映画『オッペンハイマー』に見る広島と長崎

アメリカ/平和・軍縮・共通の安全保障キャンペーン議長のジョゼフ・ガーソンさんが、被災70年2024年3・1ビキニデーの後に招かれた映画『オッペンハイマー』についてのパネル討論会への寄稿を日本原水協の高草木博代表理事が日本語に翻訳しました。

***

映画『オッペンハイマー』に見る広島と長崎
ジョゼフ・ガーソン

 映画『オッペンハイマー』(クリストファー・ノーラン監督)の批評が表れ始めて以来、ひとつの疑問が浮かび上がっていました。なぜ広島と長崎への原爆投下が引き起こした大規模な破壊と犠牲の映像が表れてこないのでしょうか?
 アカデミー賞授賞式の数日前、その質問への答えを知る機会を得ることができました。私は、ちょうど日本から戻った直後のことです。日本では広島・長崎の被爆者と一緒に行進し、1954年3月1日のビキニ水爆実験「ブラボー」の70周年行事に参加しました。その爆弾は広島原爆の1000倍を上回る力を持っていました。それは、ビキニ環礁から125マイル(180km)離れたロンゲラップ環礁のほとんどすべての島民の命を奪い、あるいは被ばくさせました。また、日本の漁船員の命を奪い、1000隻を上回る漁船を放射能で汚染し、日本の食料供給の少なからぬ部分を汚しました。そのなかで1954年から55年にかけてつづいた核兵器の廃絶を求める署名運動は、3150万余の署名を日本の全有権者の65%に上る人たちから集め、世界で最初の、おそらくもっとも影響力の大きな、核兵器のない世界をめざす社会的運動を生み出したのです。

 友人であり私の団体(訳注:平和・軍縮・共通の安全保障キャンペーン)の委員でもあるハーバード大学のエレーヌ・スキャリー教授が、映画『オッペンハイマー』の元になった本『アメリカのプロメテウス:ロバート・J・オッペンハイマーの勝利と悲劇』の共著者カイ・バードと一緒に開催するパネル討論会に来るよう私を誘ってくれたとき、私の心には、これらの人びととその歴史とがすでに骨の髄まで固く刻まれていました。
カイと彼の共著者の故マーティン・シャーウィンは、私の長年の知己でした。カイは寛大で謙虚な人柄で、学者としても伝記作家としてもすぐれた人物です。パネル討論の前に短時間、言葉を交わし、そこで彼が日曜日にアカデミー賞、オスカーを受けることを知り、喜びました。
 カイは、自分の発言で、映画が大部分、彼の本を下敷きにし、セリフも彼とマーティンの著作からそのまま取っていたと言っていました。ハリウッド映画では大変稀なことです。撮影が始まる前に200ページにわたる映画の脚本に目を通すためにカイに与えられたのは2、3時間だったそうです。そこで彼が見つけた間違いは1か所だけで、ノーラン監督はそれを訂正したと言っていました。カイも、もうひとりのパネリストのハーバード大の科学史のピーター・ギャリスンもオッペンハイマーについて、(物理学者としても他の点でも)燦然と輝き、複雑で、情緒的にはひ弱で、もし第二次世界大戦とマンハッタン・プロジェクトが割って入ってこなかったら、1935年に始まったブラックホールについての彼の仕事の方がもっとよく知られていたような男だと描き出していました。
 質疑の時間には、私は、日本で知ったことや自分がおこなったことを簡潔に話した後、カイに、この映画の監督のノーランが、オッペンハイマーの爆弾が引き起こしたものを観客にさらけ出すことについて真剣に話し合ったか?と質問してみました。カイの答えは思慮深いもので、映画の最後の部分のもっとも気がかりないくつかの映像について解明するものでした。

 カイの直接の返事は「ノー」でした。そのような討論はおこなわれなかったと。カイは前に、映画と原本の劇的な共通項は原子力委員会の聴聞会であり、権力の座にある者たちはそこで世界の最先端の科学者であり影響力の大きい知識人としてのオッペンハイマーの役割を破壊しようとしたのだと説明していました。エドワード・テラー、原子力委員会のルイス・ストローズ(訳注:委員長)、そしてペンタゴン内の強大な力が、オッピー(訳注:オッペンハイマーの愛称)が水爆開発に反対したことに激怒して反応しました。カイが説明したのは、映画も本も基本的にはオッペンハイマーの伝記であり、エレーヌが言ったように映画は「オッペンハイマーの心のなかで何が起こっていたかという視点から話を展開」していたのであって、それとは別のもっと広い視野から展開したのではない、ということでした。
 カイは、映画のなかで何か所か、ノーラン監督が原爆による惨害とオッペンハイマーの道義的な危惧について微妙に示唆していたことを認めていました。この映画での最初の場面はトリニティ実験の直後で、ついで原爆投下から3か月後、自分の「装置」が投下された当時、日本が降伏の瀬戸際であったことをオッペンハイマーが知った場面です。 ある個所で、オッペンハイマーがトリニティ実験の直後に、「可哀そうな人びと」とつぶやく場面が出てきます。原爆によって殺され、壊滅させられることがわかっている無辜の日本の市民たちについてのつぶやきです。同時にカイは、オッペンハイマーが軍高官と会い、いかに効果的に原爆を爆発させるか(高度など)などを説明していたことにも注目していました。
 焼けただれた体、手から皮膚が垂れ下がった人びと、顔から飛び出した眼球、溜池で溺れている人びとなどを映す代わりに、ノーランはオッペンハイマーが惨劇を伝える新聞の切り抜きを見入っているとき、その顔が自分の爆弾が生み出したものへの恐怖でゆがむ様子を映しています。彼がロスアラモスの集会場で聴衆に話すとき、我々がオッペンハイマーの想像からもっとも心穏やかでないイメージを受け取るのは、原爆の熱で少女の顔が溶けていくシーンです。実際、その顔はノーランの娘の顔です。エレーヌ・スキャリーは後ほど、「これは、日本人の顔を醜くすることによって元の危害を再現することのないようにとの、ノーランにとってまさに倫理的な決断だった」と説明しています。
 そしてノーランは、オッペンハイマーがトルーマン大統領やバーンズ国務長官と会い、彼ら全員が手を汚しているという真実を突き付けたことで、彼の罪の意識を描き出しています。
エレーヌは、この部分の討論を終える前にこう指摘しました。米国の文化では「観客が負傷した人たちへの同情を求められるような映画のシーンを見ることに抵抗がある。日本では、たとえ幼い子どもでも、原爆がもたらした人的破壊の恐ろしい写真や映像を見せる、と。さらに彼女は付け加えて、こうも説明した: 私と一緒にケンブリッジの公立図書館に額のついた広島・長崎の被爆と被爆者のポスターを展示することを企画した。私たちが展示をした翌朝、図書館に戻ると、私たちの許可もなく、知らないうちにポスターの配置がすっかり変えられていた。死者や負傷者の写真を含むポスターはすべて外されていたのだ、と。
 パネル討論会が終わった後、私と妻はもう一度その映画を観ることを決意しました。すでに映画を鑑賞し、アカデミー賞の受賞の様子も観て私と同じ問題を感じた人たちは、私たちと同じことをしたくなるかもしれません。それで何も起こらずとも、人類の生存を脅かす実存的な核の危機を除去する我々の決意がさらに固いものとなることは間違いありません。

第五福竜丸無線長の久保山愛吉さんのお墓がある静岡県焼津市の弘徳院に向けて行進するガーソンさん(左から2人目、2024年3月1日)

核兵器禁止条約第2回締約国会議 日本原水協代表団の活動

核兵器禁止条約第2回締約国会議が開かれる国連本部に向けて出発する前に、日本被団協の木戸季市事務局長と箕牧智之代表委員と一緒に記念撮影する日本原水協代表団(2023年11月27日、ニューヨーク)
会議初日、核兵器の人道上の影響に関するテーマ別討論で、土田弥生事務局次長が声明に基づき発言しました(2023年11月27日、ニューヨーク国連本部)
ニューヨーク州ピースアクションの青年を中心に開かれた青年集会には30人が集まり、日本原水協代表団からは6人の若者が参加し、楽しく交流しました(11月27日)
核兵器廃絶日本NGO連絡会の「世界中継2023冬~ニューヨーク核兵器禁止条約速報~2日目」に元参議院議員の武田良介さんが登場しました(11月27日、ニューヨーク)
イザヤの壁前で集会。冒頭、広島被爆者の金本弘さん(愛友会理事長)がスピーチしました。(11月28日、ニューヨーク)
イザヤの壁前での集会では、核兵器使うな・なくせと「原爆を許すまじ」を歌いました。(11月28日、ニューヨーク)
被爆者を先頭に、アメリカ代表部からロシア代表部まで約300人がデモ行進しました(11月28日、ニューヨーク)
日本のうたごえ全国協議会代表の佐藤俊隆さんによる動画レポート(11月28日、ニューヨーク)
核兵器廃絶日本NGO連絡会の「世界中継2023冬~ニューヨーク核兵器禁止条約速報~3日目」に日本原水協担当常任理事の嶋田侑飛さんが登場しました(11月28日、ニューヨーク)
志野光子(しのみつこ)特命全権大使 国際連合日本政府次席常駐代表と面会し、第2回締約国会議への日本原水協の声明などを安井正和事務局長が手交しました。(11月29日、ニューヨーク)

代表団からは3日目に入った第2回締約国会議の討論の感想として、多くの国が78年前の広島と長崎の原爆被害を繰り返さないためにも核兵器禁止条約が大事だとのべ、被爆者の声に耳を傾けている。日本政府は今からでもオブザーバー参加、傍聴すべきだと迫りました。愛友会理事長の金本さんは、ニューヨークに行く直前に被爆したときに幼い自分を守り、その後の78年を支えてくれた姉が亡くなったこと、本当ならば参加できなかったが、姉はきっと「行ってきんさい」と言ってくれるだろうと参加を決めたこと。被爆者にはもう時間がない。日本政府は何をしようとしているのか、行動で示してほしいと涙を浮かべて訴えました。志野大使は、金本さんの訴えに誠実に応えようとせず、「核保有国を市民社会の運動で動かしてほしい。そうすれば日本政府はオブザーバー参加できる」などと他人事のように唯一の戦争被爆国の役割を否定。情けない態度に怒りを覚えました。(安井正和)

参加者は、右から石川敏明(全国労働組合総連合副議長)、金本弘(愛知県原水爆被災者の会会長)、安井正和(日本原水協事務局長)、志野光子(特命全権大使 国際連合日本政府次席常駐代表)、河野絵理子(長野県原水協)、平野恵美子(新日本婦人の会副会長)、三井靖広(神奈川県原水協事務局長)の各氏。(11月29日、ニューヨーク)
オーストリア政府との共催で、サイドイベント「人類と核兵器は共存できないーヒバクシャは核兵器禁止条約を支持する」を開催しました。(11月29日、ニューヨーク)
発言者は右から日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)事務局長の木戸季市さん、オーストリア外務省のゲオルゲー ヴィルヘルム・ガルホーファーさん、韓国原爆被害者協会監査のイ・ギヨルさん、マーシャル教育イニシアチブ執行理事のベネティック・カブア・マディソンさん、先住民リーダー、安全な環境のための多文化同盟、先住民世界協会のペチューチェ・ギルバート・アコマ・プェブロさん(11月29日、ニューヨーク)
サイドイベント「大衆集会『緊急に軍縮を-核対立と戦争を防ぐ国際行動』」で、日本原水協代表団を代表して東京学生平和ゼミナール の小薬岳さんが、日本の禁止条約への参加を求めるスピーチをしました。(左下写真)(11月29日、ニューヨーク)
核兵器禁止条約第2回締約国会議4日目朝から、在ニューヨーク日本国総領事館前で、日本原水協とマンハッタンプロジェクトが共催して核兵器禁止条約への日本政府の参加を求めるアピール行動をしました。日本被団協の木戸季市事務局長も参加しました。(11月30日、ニューヨーク)
核兵器禁止条約第2回締約国会議4日目(2023.11.30)朝から、在ニューヨーク日本国総領事館前で日本原水協とマンハッタンプロジェクトが共催して核兵器禁止条約への日本政府の参加を求めるアピール行動がおこなわれ、日本被団協の木戸季市事務局長も参加しました。YouTubeのアーカイブ動画です。

核兵器廃絶日本NGO連絡会の「世界中継2023冬~ニューヨーク核兵器禁止条約速報~5日目」に日本原水協代表団の金本弘さんと河野絵理子さんが登場しました(11月30日、ニューヨーク)

代表団は核保有国のフランス代表部を訪問し、アレクサンダー・オルメド公使参事官、ニコラス・ディ・マセオ1等書記官と懇談しました。写真は右から田中信一(兵庫県平和委員会)、長澤幸子、平野恵美子(新婦人)、安井正和(日本原水協)、衣笠彩香(兵庫民青)、アレクサンダー・オルメド(公使参事官)、ニコラス・ディ・マセオ(1等書記官)、谷澤楓香(兵庫民青)、鷲尾裕(岡山県原水協)、武田良介(日本共産党長野県委員会)の各氏(11月30日、ニューヨーク)