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2019年3・1ビキニデー
日本原水協全国集会/基調報告

こんにちは。事務局長の安井正和です。


 全国集会に参加された、来賓のみなさん、海外代表のみなさん、そして地元静岡と全国の代表のみなさんに心から敬意を表します。

 はじめに、4日前に行われた沖縄県名護市辺野古の新基地建設にともなう埋め立ての賛否を問う県民投票で、有権者の過半数が投票し、43万人を超える人びとが「反対」に○印を付けました。昨年の県知事選挙での玉城デニー知事の得票を大きく上回る圧倒的な数です。これは沖縄の民主主義の勝利であり、沖縄県民の歴史的勝利です。

 安倍自公政権は、県民投票で明確に示されたこの民意に従って、埋め立て工事を即時中止し、米軍新基地建設計画を撤回するとともに、普天間基地の即時運用停止と閉鎖・撤去を米国政府に求めるべきです。

みなさん、
 全国集会には、オール沖縄を代表して沖縄統一連の代表が沖縄県原水協の代表とともに参加しています。沖縄県民とともに、圧倒的な世論と運動をつくり、安倍自公政権にその実行をつよく迫りましょう。みなさん、ことしの全国集会は、アメリカがビキニ環礁で行った水爆実験による被災から65年という節目に開かれています。65年前、ビキニ水爆実験による“人類絶滅”という新たな脅威に、日本国民は「原水爆の被害を二度とくりかえすな」と核実験禁止、原水爆禁止の声をあげ、署名運動に立ち上がりました。3000万を超える署名は、第1回原水爆禁止世界大会の開催と日本原水協を誕生させました。

それ以後、60年をこえる原水爆禁止運動は、被爆者とともに核兵器全面禁止を求める世論と運動、諸国政府との共同をひろげ、一昨年の核兵器禁止条約の採択に見られるように、「核兵器のない世界」への力強い流れを築いてきました。ビキニデーを原点とする原水爆禁止運動の力に確信をもちましょう。 日本原水協は2月はじめに第91回全国理事会を開催し、今年から来年の被爆75年に向けた運動方針を決定しました。運動方針は資料袋の原水協通信3月号に掲載しています。
 私はこの運動方針の中心点を述べ、当面の行動を提起します。
 第一に、運動方針は、今年から被爆75年、2020年に向けたたたかいを「核兵器のない世界をきりひらく正念場」として位置づけ、「核兵器のない世界」をめざす壮大な運動をよびかけました。
 そして、2020年春のNPT再検討会議を展望し、核保有国と核依存国の政府に禁止条約への参加と、これまでのNPT再検討会議の合意の実行を求める国際的な共同行動をよびかけること、「ヒバクシャ国際署名」と被爆の実相普及のとりくみを強化することを提起しています。
 昨年の国連総会は、核兵器禁止条約の調印、批准の促進を呼びかける決議を賛成126、反対41の大差で採択しました。核兵器禁止条約への参加は、調印国がすでに70か国に達し、ことしに入ってセントルシア、エルサルバドル、南アフリカが増えて批准は22か国となり、禁止条約の発効に向けた努力が続けられています。
 核兵器禁止条約の発効は、条約への参加を拒んでいる核保有国も核兵器に依存する国も、政治的、道義的拘束から免れることはできません。核保有国はそのことへの危機感から、核兵器への固執をつよめ、核兵器禁止条約への妨害に躍起になっています。
 トランプ政権は、新たに小型核弾頭を装備した海洋発射の弾道ミサイルや、巡航ミサイルの開発・配備をはじめ、新たな核軍拡への動きを露にしています。INF(中距離核戦力)全廃条約からの離脱表明もその表れです。ロシアもアメリカへの対抗を口実に、新たな戦略核兵器の開発など、核戦力への依存をつよめています。新たな核軍拡競争を許してはなりません。
 こうした対立がありながらも、禁止条約反対では核保有国同士で共同歩調をとっていることを見なければなりません。昨年秋の国連総会において、核兵器国5か国(P5)は、核兵器禁止条約に反対する共同声明を発表し、核兵器禁止条約に「支持も、署名も、批准もしない」「禁止条約はNPTと矛盾し、NPTを損なう」と改めて拒否する姿勢を示しました。
 しかし、運動方針が明らかにしているように、核保有国のアメリカ、その同盟国のスペイン、オーストラリアなどで核兵器禁止条約への参加を求める世論がひろがるなど、その「土台」のもろさも明らかになっています。核保有国の妨害を打ち破って前進するために、核保有国と核兵器に依存する同盟国での世論と運動を大きく発展させるチャンスです。 第二に、運動方針は、核兵器禁止条約に参加し、憲法9条を守りいかす日本を実現するために、核兵器禁止条約に署名、批准することを柱に、憲法9条を守りいかすこと、「戦争法」廃止など、非核、平和の国民的世論をまきおこし、市民と野党の共同を大きく発展させること、「共闘の時代」にふさわしい原水爆禁止運動をつくりあげていくことをよびかけました。
 日本政府はいま、深刻な外交破たんに陥っています。安倍政権は、核兵器廃絶は段階的にすすめる、核保有国と非核保有国との「橋渡し」をする、などと言いながら、実際には、核兵器禁止条約に反対してきました。これは、アメリカの「核の傘」に依存しながら、核兵器廃絶をめざすポーズをとるという欺瞞的なものに他なりません。
 しかし、昨年秋にこの路線で日本が提案した国連決議案(禁止条約に触れず、「明確な約束」合意を歪曲)には、核保有国からも、非核保有国からも批判の声があがり、160か国が賛成したものの、オーストリアなど禁止条約推進国がこぞって棄権し、他方でアメリカ、フランスも棄権し、共同提案も31か国減少するなど、その欺瞞的やり方が、段階的軍縮にも橋渡しにもならないことを露呈しました。朝鮮半島問題をめぐっても、2回目の米朝会談が昨日(2月27日)から行われ、朝鮮半島非核化へのさらなる合意がなされようとするもとで、安倍政権のこれまでの軍事優先対応が、問題の解決になにも役に立たず、戦争の危険を高めるものでしかなかったことが事実で証明されました。
 「北朝鮮の脅威」を口実に強行された戦争法(安保法制)、沖縄県民の民意を踏みにじる辺野古の米軍新基地建設、「いずも」型護衛艦の空母化、F35ステルス戦闘機の大量購入など国民負担による対米追随の大軍拡など、専守防衛の建前さえかなぐり捨てた「戦争する国」づくりは、その根拠を失いつつあります。
 目前にせまった統一地方選挙と7月の参議院選挙は、安倍政権がすすめる被爆国にあるまじき政治を変える、被爆国にふさわしい役割を日本政府に果たさせる重要なチャンスです。日本原水協は昨年秋から憲法共同センターに加わり、総がかり行動実行委員会に参加しています。この全国集会には総がかり行動実行委員会共同代表の高田健さんが参加され、発言を予定されています。また、昨年秋から核兵器禁止条約を支持する野党との懇談をはじめました。都道府県、地域レベルでも懇談をひろげましょう。
 核兵器禁止条約に署名、批准することを柱に、憲法9条を守りいかすこと、「戦争法」廃止など、非核、平和の国民的世論をまきおこし、市民と野党の共同を豊に発展させようではありませんか。

 報告の最後に当面の行動提起をおこないます。
 一つは、4月29日からニューヨークの国連本部で開かれる2020年NPT再検討会議第3回準備委員会への「ヒバクシャ国際署名」の提出を成功させることです。署名推進全国連絡会は、1000万以上(累計)の署名提出をよびかけています。
 全国各地で生まれている、自治体ぐるみ、地域ぐるみの共同のとりくみに学び、すべての都道府県、市区町村で署名の共同をつくりましょう。そのとりくみを8月の世界大会、秋の国連総会への署名提出へと発展させましょう。
 署名行動の土台に被爆の実相普及をすえ、被爆証言を聞く会、「原爆写真展」「原爆の絵展」を無数に開催しましょう。2019年版「被爆展示組写真」を活用しましょう。
 二つ目に、日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を迫る自治体意見書決議を、3月、6月議会を通じて過半数の自治体へとひろげましょう。すべての議員に「ヒバクシャ国際署名」の賛同を求めましょう。
 三つ目に、本集会を起点に、国民平和大行進の全国的準備と8月の世界大会への代表派遣のとりくみを開始しましょう。こうしたとりくみを草の根で担う原水協の組織をつよく大きくしましょう。

 以上で基調報告とします。