日本被団協のノーベル平和賞受賞に際しスウェーデンのトマス・マグヌソン氏からメッセージ

原水爆禁止2009年世界大会-長崎・ナガサキデー集会で発言するトマス・マグヌソンさん(2009年8月9日、長崎市民会館体育館)

高草木博日本原水協代表理事が日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)にノーベル平和賞が授与されることを知らせるメールを送ったことに対し、スウェーデンのトマス・マグヌソン氏から返事が届きました。

トマス・マグヌソンさんは1980年からスウェーデンのノーベル平和賞受賞団体「平和仲裁協会」の会長を務め、当時のヨーロッパの反核運動の高まりのなかで、肥田舜太郎さんをはじめ被爆者をスウェーデン・西欧に招き、被爆者との交流・体験の普及に多大な役割を果たしました。

また、2000年代にはIPB(国際平和ビューロー)の事務局長として被団協をくり返しノーベル平和賞候補に指名し、また、文中にあるようにノルウェーの法律家フレデリック・ヘファメールとともに、アルフレッド・ノーベルの遺志に即した平和賞の厳格な執行を求める運動も進め、同委員会に多大な影響を残した人でもあります。世界大会にも、幾度も出席し、大きな貢献を残しました。いまも、スウェーデンの中立を守り、NATO(北大西洋条約機構)への加盟と軍事基地化に反対するキャンペーンの先頭に立っています。

以下、メールの全訳です。

タカさんへ、ご連絡をいただけてとても嬉しいです!メールアドレスを変更したため、私へのメールが届かなかったようですね…。

私が住んでいるヨーテボリから(オスロは)電車やバスで4時間と、そう遠くはありません。ノルウェーの平和運動が、ノーベル賞授賞式に関連した公的なイベントを準備していることは知っています。賞が授与される大ホールのチケットを手に入れるのは簡単ではありませんが、私は申し込みをしました。

私にとって日本被団協との最初の接触は、私がスウェーデン平和仲裁協会(SPAS)の新会長になった1980年です。被爆者をスウェーデンで講演するツアーに招待するための資金を得ることに成功しました。日本被団協は肥田舜太郎という素晴らしい医師を派遣してくれました。彼は、私たちが若い活動家の両親に頼み、自宅のソファーで寝泊まりさせたことなどに驚きながらも、喜んでくれました。

私を初めて8月の原水爆禁止世界大会に招待するよう手配してくれたのも彼でした。あなたに初めて会ったのもその時だったと思います。

あなたや原水協の仲間や日本被団協の多くの友人たちが、私にとって大きな意味を持っていたことはご存知の通りです。

今年は私にとって非常に活動的な年となりました。スウェーデンが17か所もの米軍基地の建設を止めさせるため、国民投票を実現するために奔走し、世論を高めるためにスウェーデン中を駆け回り、オスロでの最後の1回を含め、実に21回もの演説をおこないました。私たちのたたかいは敗れ、基地を阻止することはできませんでした。アメリカとスウェーデンの間の契約が公になったときにはすでに調印されていたからです。これが民主主義でしょうか! しかし、その結果、キャンペーンは継続され、平和運動のメンバーも増え、編集者(メディアの責任者)たちへの手紙や集会、デモなども盛んにおこなわれるようになりました。いま、私たちはこの17の基地の近くに住む地元の人々の動員に力を入れています。アメリカ人がこれらの場所に現れ始めたら、人々は非常に怒るでしょう。

私は広島と長崎の記憶をつねにスピーチの中に盛り込んできました。また、沖縄の米軍基地やその他の場所での米軍に対する日本の人々の経験についても話をしました!

日本人の友人たち、とくにあなたや原水協の友人たち、そしてもちろん日本被団協の多くの友人たちとの出会いがなければ、ここまで平和活動を続けることはできなかったと思います。

8月の原水爆禁止世界大会の後、田中熙巳さんから、大会に送った私たちのメッセージへの返事として、とても嬉しい手紙をもらいました。そして、彼と被団協のノーベル平和賞受賞のお祝いの手紙を書きました。

フレデリック・ヘファーメルさんが今年のノーベル平和賞の話を聞くことができなかったのは本当に残念です。彼は、平和賞は真の平和の擁護者に与えるべき義務があることをノーベル委員会に認識させるために懸命に働いてきました!

私は彼の最後の著書である『真のノーベル平和賞』の執筆を手伝い、昨年11月に完成したのですが、彼は12月に亡くなりました。

最後に、私がメールアドレスを変えても、私のことを忘れないでいてくれていたことに感謝します。
トマス・マグヌソン

スウェーデンの運動のバナー。意味は、FOLK MOT DCA(国民は、防衛協力協定に反対する)、för fred, demokrati, och klimaträttvisa(平和、民主主義、気候正義をもとめて)
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