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資料保管庫軍縮と核政策

「国連総会第一委員会に変化の兆し」

ジャクリーン・カバソ
全米平和正義連合核軍縮部会責任者
西部諸州法律基金(WSLF)執行理事

アメリカによる広島・長崎への原爆投下から60年の今年、第60回国連総会が始まりました。「どんより曇ったという表現が特に軍縮と国際安全保障に関するこの状況を一番表現できる」とエジプトの代表が表現したように 軍縮と国際安全保障を扱う国連総会第一委員会では、2005年NPT会議の失敗と2005年国連サミット最終文書から核不拡散と軍縮への言及が削除されたことを受けて、惰性的な態度を打破しようという緊迫感がひしひしと感じられます。

驚くようなことではありませんが、米国はこのような見方を共有しませんでした。米国の代表によれば、「会議が合意文書を作り出すことが出来なかったので失敗だった、とよく言われている意見にアメリカは賛成ではない。 私たちはこれらの会議がある明白な共通の目的において多くの賛成を得たことを明らかにしたことが重要だと考えている」同代表はイラン、北朝鮮を名指しして不拡散の危険を強調し続け、アメリカはNPT第六条の基での義務を果たしていると主張している開会演説の4ページ目の最後の短い一段に核軍縮問題を追いやりました。そして「アメリカは軍縮会議(CD)の中で分裂性物質カットオフ条約(FMCT)の交渉を緊急に開始することを支持しているが、検証機関を作ることには反対である。」と述べましたが、もしそうなればFMCTは現実には無意味なものになってしまいます。

第一委員会の前、10月3日に行なわれたの開会声明で国連軍縮担当事務次長の阿部信泰氏はアナン事務総長が国連首脳会議で行なった発言を引用して次の様に述べました。「NPT再検討会議と今回のサミット―今年になって2度も、私たちは成果の上がらない状態を許してしまった。これは恥ずべきことだ。大量破壊兵器は私達すべてに重大な危険をもたらしている…この死活的問題に関する交渉を再開するために、私たちは事態を収集しなければならない」加えて「これらの問題を収拾して、新たな方向を与える課題を準備するために、本委員会こそが大きな手立てをとらなければならない」と述べました。そしてNGOが第一委員会に出席し、政府代表と意見を交換していることに留意し、国際的な討論の場での市民社会の役割が大きくなっていることを述べました。「このような機会を通じて、私たちは世論を知り、視野を広げることができるのです」

ニューヨークで開かれた2005年NPT再検討会議は最終文書を作り出すことが出来ませんでした。それは、会議での全ての決定が加盟国の全会一致で行なわれる必要があるからです。
20日間あるの会議の内、最初の15日間は手続きに関する議論に費やされました。そして最終盤にはアメリカが北朝鮮とイランの核拡散疑惑にもっぱら焦点を当てるたことにより、1995年と2000年の再検討会議で核保有国によって作られた核軍縮の合意に触れることを妨害したのです。もう一つの重要な多国間交渉の場であるジュネーブ軍縮会議(CD)もここ9年間同じ様に進展を妨げられてきました。ここでもアメリカが、交渉を妨害している中心的な政府です。一方、国連総会とその委員会の決定は多数決で決められています。

 2005年NPT再検討会議の最終日、平和市長会議を代表して広島の秋葉忠利市長は議長への公開状の中で次の様に書きました。「ジュネーブとNYの両方で、一部の国が全会一致の規則を悪用して重要な課題を進めることを妨げるのを私たちは目の当たりにしてきた。手続き上の規則を使い、ほんの一握りの国々が圧倒的多数の国々の意思を妨げてきた。人類がどのような危険な状況にさらされているのかを考えれば,これは耐え難いことだ。」市長はまたこう付け加えた。「私たちは軍縮会議の様子に辟易している。一方で、コンセンサスの手続きによって煩わされない、別の場所の準備を開始した方が賢明である。」

 2005年8月6日に出された広島平和宣言の中で、秋葉市長は平和市長会議の核兵器廃絶のための緊急行動の次の段階に関して具体的な提案を行いました。「国連に多数意見を届けるため、10月に開かれる国連総会の第一委員会が、核兵器のない世界への実現と維持とを検討する特別委員会を設置するよう提案する。それは、ジュネーブでの軍縮会議、ニューヨークにおける核不拡散条約再検討会議のどちらも不毛に終わった理由が、どこの国も拒否権を行使できる「全会一致方式」だったからだ。さらに国連総会がこの特別委員会の勧告に従い、2020年までに核兵器の廃絶を実現するための具体的なステップを2010年までに策定するよう、期待する。」

この間、平和市長会議と「中堅国イニシアチブ」や核兵器廃絶グローバルネットワークの「廃絶2000」といったNGOは、平和市長会議の提案を実行する上でリーダーシップをとる意思のある政府を確認しようと裏で活動を続けていました。非公式で平和市長会議の役割を認める中で、10月5日、ブラジル、カナダ、ケニア、メキシコ、ニュージーランド、スウェーデンが「第60回国連総会第一委員会決議の要素(案):優先事項である軍縮・不拡散問題に関する作業の開始」と題する文書を配布しました。この案は、軍縮会議(CD)が陥っている行き詰まりを迂回するため、またCDが作業計画に合意できるまでのあいだ協議をおこなう制約のない特別総会委員会をつくることで協議を一気に再開させるための革新的なアプローチを提案したものでした。同案は、核軍縮、分裂性物質カットオフ条約の協議、宇宙軍拡競争阻止、消極的安全保障に関する4つの委員会を提案。このリストの中身は、CDの作業計画としてほとんどの国の合意を得ている提案を反映しています。これらの委員会はジュネーブで協議を行うことになります。同案に添えられた「説明」には、この決議案が、CDを補完することを意図しており、願わくばCDを軌道に乗せる媒介となること、委員会への参加は関心あるすべての国連加盟国ができるようにすることが明確に書かれていました。

NGOはこの提案を大歓迎し、廃絶2000は各国の外相と国連代表部に手紙を送り、同決議案の支持を強く訴え、本国政府に連絡を取るよう求めました。前進する新しい道をつくる緊急性を表明したのは政府も同じでした。ニュージーランド政府の代表は一般演説で、困難に満ちた年をこう要約しました。「軍縮・不拡散目標を進めることがかつてなく重要であるとき、私たちは、地球社会全体として、国際の安全保障状況を改善するために協同する重要な機会を3回失ってきた。NPT再検討会議、国連首脳会議、軍縮会議である」。同代表は続けてこう警告しました。「手続き規則を利用して、前進を妨げようとする一部の国によるやり方は引き続き問題である。…行き詰まりが長引くほど、CDはますます国際機構において不適切となってしまう。」ケニアの代表は提案を歓迎しこう述べました。これは、「CDの協議再開と同時に役割を終えることになる、さまざまな問題を協議する作業部ループをつくることで、CDにおける軍縮外交を再活性化する」もので、「このやり方は役に立つ。私たちは、全員にとってもっとも望ましい成果を上げるために慎重に定められた政治的意思が、流れを変える特効薬となると信ずる」と、楽観的な発言で結びました。

 アメリカは守りの反応を見せ、各国の本国政府に傲慢で高圧的な覚書を送りつけました。この覚書で、アメリカは同提案を「分裂をもたらす」ものであり、信じがたいことに、特別委員会を設立すれば「CDに作業計画を作らせるという我々の共通の目標が危うくなる」と主張しました。真実は、CDを事実上麻痺させているのはほかでもないアメリカです。アメリカはさらに「CD問題を代一員階に写せば、CDは終わりになる」との予測さえし、険悪な警告も発しました。「この提案を支持するものは全面的責任を負うことになる」と。この覚書でアメリカは、一連の全面的単独宣言もおこないました。「合衆国は、合衆国がその設立に同意しないいかなる国際機構にも参加しない」、「合衆国は、自国が、このような機構が出すいかなる合意にもどのような形でも拘束されないと考える」、そして「我々は、国家や地球安全保障の死活的字問題を多数決を通じて協議するようなやり方はとらない…これが、我々が参加しないもうひとつの理由である」

 公表を前提とする「記録上の」対応を見るなら、米政府が裏で、共同提案国を検討している国を脅迫し買収していたことは想像に硬くありません。10月12日、カナダ政府代表は、ブラジル、カナダ、メキシコ、ニュージーランド、スウェーデンを代表し共同声明を読み上げました。「私たちは、今回はこの決議案を出さないことに決めた」。決議案は撤回されましたが、6つの共同提案国のこの声明は驚くほど率直で前向きでした。カナダ代表が説明したように「決議案で打ち出した構想は…相当の関心と反応を得ている。賛否両道だが、ほとんどが、現存する軍縮機構にとってこのような提案が意味するところについてさらなる情報を求めたものであった」とし、「我々が提案しているアイディアが、この機会から発展し、アイディアが意味する内容をさらに深く理解する上ですべての代表団にとって得るものがあるであろうことは、はっきりしている」と加えました。声明は力強い提議をもってこう結んでいます。「いずれかの理由であれ、CDが2006年が成果なしに終わるようなことになれば、この案を再提出する選択肢を留保する。多数の安全保障が少数の政策の人質に取られている状況に対する、民主的で多国間の代替案があることを保証する方法としてである」。カナダ代表は、6カ国が次の会議までの期間を使って支持基盤を広げることに言明し、またNGOに対し参加してくれたことに特別の感謝を述べて発言を結びました。

 これとは別にケニアは、「このまま放置しておくなら国際の安全と安全保障を損なうであろうプロセスを活性化させる方法を議論するよう要求することは、私たちの民主的権利である」と宣言。ニュージーランドは、市民社会による努力を激励しました。「NGOはこの提案を進めるのに主要な役割をはたしている。これからも、この問題を政府の目につく問題とし続けるためにあなた方には引き続き大きな役割を果たしてもらいたい。」同代表はある政府に通告してこういいました。「この死活的問題について運動がなくてはならない。私たちみなが耐えてきたが、耐えるのも限界に達している」。

 同案が提出されなかったことに多くのNGOが失望したことは確かですが、ここまで来たという事実は、市民社会の影響力と、世界最大の核保有国の頑迷さに多様なグループからなる国ぐにの忍耐が限界を感じていることを実証するものです。米政府が語気荒く反応しましたが、これは、アメリカが一定の圧力を感じているということです。さらにこの決議案は、作業計画に合意できないなら、第一委員会が立ち入ってその作業を取って代わるとの警告をCDに発しました。決議案が市民社会と政府の協同で、国際軍縮機構の崩壊に対応する新たな方法を見出すために、平和市長会議が果たした役割は大きいものがあります。日本の峰大使は、このことを暗に一般討論で認めています。「諸国は、国家利益のみを追求するのではなく、国際社会と国民の意思に耳を傾けるべきである。この点から見て、軍縮・不拡散教育の促進などにおいて、市民社会との対話、この分野で専門知識を持つNGOとの共同はすこぶる有益である。」

 第一委員会は11月4日まで開かれます。これから、前年からほんの一部の改正をした軍縮決議案が数多く出されますが、圧倒的多数によって採択されるでしょう。マレーシアが毎年提出する「核兵器の脅威または使用の適法性に関する国際司法裁判所勧告的意見の後追い」や、新アジェンダ連合、日本が提出するものも含まれます。

 

 

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