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反核平和運動・原水爆禁止世界大会

 

国 際 会 議 宣 言

米国による広島・長崎への原爆投下から66年目をむかえた。我々は、「核兵器のない平和で公正な世界」の実現をめざして行動することを、あらためて世界によびかける。
 今年3月、東日本を襲った地震と津波は、2万余の人命を奪うとともに、広範な地域に壊滅的被害をあたえ、福島第一原子力発電所では最悪レベルの過酷事故が発生した。我々は、すべての被災者に心からの御見舞いと哀悼の意を表するとともに、被災地への支援と復興、原発事故の収束、放射線被害から国民をまもるたたかいに立ち上がっている人びとに心からの連帯を表明する。

核兵器全面禁止・廃絶をもとめる声は、世界の市民、自治体、諸国政府の間でも大きくひろがり、「核兵器のない世界」をどう実現するのかが、焦点になりつつある。
 2010年核不拡散条約(NPT)再検討会議で合意された最終文書は「核兵器のない世界」の達成を決議し、そのための特別の努力を訴えた。昨年の第65回国連総会では、核兵器禁止条約の締結を求める決議が圧倒的多数の賛成で採択された。非同盟諸国は核兵器廃絶の進め方について議論する国際会議を提案している。平和市長会議をはじめ多くの国際組織が、核兵器禁止条約の交渉開始を求めている。
 我々は、核保有国をはじめすべての国の政府に、ただちに核兵器禁止条約の交渉を開始することを求め、世界各国で行動してきた。「核兵器全面禁止のアピール」署名をはじめ様々な行動が、広範な人々の賛同を得てすすめられている。これらをいっそう発展させ、国連など諸国政府とも共同して、核兵器禁止条約の即時交渉開始とすみやかな締結を実現しよう。

これまでの国際合意を実行にうつすことが求められているにもかかわらず、ふさわしい前進が築かれていない。核保有国の責任はとりわけ大きいといわなければならない。米オバマ政権が未臨界核実験をくり返していることは、自らの誓約にも、国際合意の精神にも反するものである。
「核抑止」政策を維持するかぎり、「核兵器のない世界の平和と安全」を実現できないばかりか、それに対抗する核兵器保有を誘引し、核兵器拡散の原因ともなる。その矛盾と危険性は明白である。我々はあらためて、「核抑止」政策からの決別をつよく要求する。
 核兵器禁止条約の交渉開始とともに、核兵器の使用禁止、同盟国など外国に配備された核兵器の撤去、他国への核兵器の持ち込み・配備の禁止、非核地帯の創設と拡大を求める。
 核兵器の警戒態勢の解除、戦略核兵器のさらなる削減と解体、戦術核兵器の廃棄、核兵器近代化と新型核兵器開発の中止、ミサイル防衛計画の中止を要求する。
 NPT再検討会議で合意されたように、包括的核実験禁止条約の早期批准・発効、核分裂物質生産禁止条約の即時交渉開始と締結、中東非核兵器地帯のための国際会議の開催(2012年)が実行されるべきである。
 北朝鮮の核兵器問題についても、六カ国協議が早期に再開され、対話による平和的解決がはかられるべきである。

広島・長崎の被爆を原点とし、核兵器の廃絶を求めてきた我々は、福島第一原発の事故がもたらした放射能汚染と放射線被害の深刻なひろがりを深く憂慮する。この事故は、原子力の「安全神話」の欺瞞と原発の危険性を明らかにした。持続可能な開発のために必要なエネルギーを、原発に頼らず、将来の世代に危険を残すことなく、調達することは可能である。日本をはじめ世界でひろがる原発からの撤退と自然エネルギーへの転換を要求する運動との連帯を発展させよう。
 日本の運動は、核兵器禁止条約の締結にむけ被爆国にふさわしい役割を果たすよう日本政府に要求するとともに、核兵器持ち込みを認める米国との「密約」の破棄と「非核三原則」の厳守を求めている。沖縄・普天間基地をはじめ在日米軍基地の撤去を要求し、空母など原子力艦船の配備と寄港に反対している。我々は、アメリカの「核の傘」からの離脱と日本の非核化、憲法9条を守り活かすことをめざす日本の運動を支持し、連帯する。

いまだ戦火と銃声はやまないものの、もはや大国が軍事力で世界を動かせる時代ではない。我々は、武力の行使とその威嚇に反対し、紛争の外交的・平和的解決を求める。仮想敵を想定した軍事同盟ではなく、国連憲章にもとづく平和の世界秩序を支持する。
 自由と民主主義、尊厳を求めて立ち上がった北アフリカ、アラブの諸国民に心からの連帯を表明する。NATOによるリビア攻撃の停止と停戦、問題の政治的解決を要求する。
 イラク占領とアフガニスタンでの軍事作戦に反対し、外国軍の撤退を求める。パレスチナ人民の独立国家樹立をふくめた民族自決権のためのたたかいを支持する。主権を守り、外国軍事基地に反対し、その撤去を求める運動と連帯する。枯葉剤など戦争被害の救済を求める運動と連帯する。

我々は以下の行動を世界によびかける。
—「核兵器全面禁止のアピール」署名をはじめ、核兵器禁止条約の交渉開始を求める国際的、地域的、国内的行動を多彩に発展させ、国連総会や次のNPT再検討プロセスなどを節目にその結集をはかろう。
—核兵器の撤去、非核化などを求める運動をそれぞれの国、地域で発展させ、「核抑止」政策を打ち破る世論と運動をひろげよう。
—広島・長崎の被爆者への援護・連帯、核実験被害者などあらゆる放射線被害者への支援を強化し、その被害の根絶をめざそう。核兵器と原発との関係に留意し、原子力の軍事利用に反対するとともに、原発依存からの脱却と自然エネルギーへの転換を求め、広範な運動との連帯をつよめよう。

「核兵器のない平和で公正な世界」の実現は、反戦平和、民主主義、人権の擁護、地球環境の保護、女性の権利と地位の向上、飢餓・貧困・失業・非識字・社会的不正義の解決、軍事費と軍備の大幅な削減、福祉の向上などを求めるすべての人々の共通の願いである。これを実現し、未来をきりひらくため、被爆者とともに、未来を担う青年たちとともに、力強く前進しよう。

2011年8月5日

原水爆禁止世界大会2011年世界大会—国際会議

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