【反核平和運動・原水爆禁止世界大会】
国際会議宣言 / 広島決議 / 長崎特別決議 / 長崎決議
原水爆禁止2009年世界大会-国際会議宣言
地球規模の連帯と行動で核兵器のない世界へ
広島・長崎への原爆投下から64年—。世界はいま、核兵器廃絶への大きな転機を迎えている。「人類と核兵器は共存できない」との被爆者の声は、世界諸国民の圧倒的な世論となり、国際政治を動かしている。我々は、核兵器のない世界へと新たな歴史のページを開くため、地球規模で連帯し行動するよう、すべての人びとによびかける。
核兵器の脅威や戦争に反対し、核兵器のない平和な世界を求める諸国民の運動によって、世界に大きな変化が生まれている。
今年4月、オバマ米大統領は、アメリカには核兵器を使った唯一の国として行動する「道義的責任」があると述べ、「核兵器のない世界の平和と安全を追求する」と宣言した。最大の核保有国の首脳が核兵器廃絶と、そのための協力を世界によびかけたことを歓迎する。一部の国だけが核兵器を保有しつづける体制の危険性は明らかである。新たな核拡散を防ぐためにも核兵器を廃絶するほかない。この主張は、政治家や閣僚も含め、核保有国やその同盟国の中に広がっている。
いかなる国も核兵器を持たず、平和や安全を核兵器に頼らない世界こそ、広島・長崎の被爆者、世界の反核・平和運動、非核・非同盟の国々をはじめ、世界の圧倒的多数の人々が望み、要求しつづけてきたことである。いまこそ、この実現のために、さらに行動を強めよう。
核兵器のない世界は、その実現そのものを共通の目標とし、法的な枠組みに合意し、誠実に実行してこそ達成できる。そのために我々は、アメリカをはじめすべての核兵器国が核兵器廃絶の「明確な約束」を実行し、来年5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議が、核兵器全面禁止・廃絶条約のすみやかな締結に向け、具体的な一歩を踏みだすよう強く要求する。
米ロの戦略核兵器削減合意を歓迎し、さらなる大胆な削減によってゼロへ向うよう求める。包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期批准と発効、検証を伴う核分裂物質生産禁止条約の締結、また、核兵器先制不使用、非核兵器国への核の威嚇・使用の禁止、中東非核兵器地帯の創設などを推進すべきである。これら核軍縮に関わる部分的、個別的措置は、核兵器廃絶の目標と明確に結びつけ実現をはかることが重要である。
核兵器のない世界の実現のためには、「核抑止力」論をはじめ、核兵器を安全保障の手段と見なす誤りに、きっぱりと終止符を打たなければならない。平和や安全を口実にした膨大な核兵器の保有、大国の「核の傘」への依存は、緊張と核拡散を助長する役割しか果たさない。核兵器の近代化や核軍備の維持増強、軍事費の拡大、原子力協力の名による核拡散は、ただちに中止すべきである。
我々は、北朝鮮の核兵器開発に抗議し、「朝鮮半島非核化のための6者協議」へのすみやかな復帰と核開発計画の放棄、核兵器廃絶の世界的努力への合流をよびかける。
核拡散問題に軍事的解決の道はない。対話と交渉こそが求められる。
唯一の被爆国でありながら、米国の「核の傘」にあくまで依存しつづける日本政府の態度は、核兵器のない世界の実現にとって重大な障害である。我々は、「核の傘」からの離脱、「非核三原則」と憲法9条にもとづく非核平和の日本をめざす運動に連帯する。
破滅的な核の恐怖にさらされた世界から核兵器のない平和で安全な世界へ—。2010年5月、ニューヨークで開催されるNPT再検討会議を、歴史的な転換点にしなければならない。
反核平和運動の国際ネットワーク「廃絶2000」は、5月2日を「核兵器のない世界のための国際行動デー」とし、全米平和正義連合とともに、ニューヨークでの大行動と、核兵器廃絶を求める署名の共同提出を呼びかけた。我々は、このよびかけを歓迎し、「核兵器のない世界を」国際署名を共通の行動とする多彩で創意あふれる共同行動を、世界の草の根から発展させる。
我々は、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)や世界平和市長会議の「2020ビジョン」、核廃絶の火キャンペーン、科学者による廃絶キャンペーンなど核兵器廃絶につながる世界のすべての運動と連帯する。
我々は、広島・長崎の被爆者、世界の核被害者の運動と固く連帯する。被爆者は、その心と体の深い傷にもかかわらず、核の惨禍の生き証人として、核兵器廃絶を訴えつづけてきた。人類は、このメッセージを受けとめ、核兵器のない世界を実現する強固な意思をつくりあげなければならない。
我々は、反戦平和、枯葉剤など戦争被害の救済、地球環境の保護、女性の社会的地位の向上、貧困・失業・飢餓の克服、軍事費の大幅削減などを求める諸運動と連帯し、核兵器のない平和で公正な世界を築くようよびかける。
これこそ人類がめざすべき未来である。我々は、未来を担う青年の創意とエネルギーに満ち溢れた活動を支援し、彼らがこの行動に加わることを心から期待する。被爆者とともに、そして若い世代とともに、いまこそ行動に立ち上がろう。
2009年8月5日
原水爆禁止2009年世界大会-国際会議
原水爆禁止2009年世界大会‐広島決議
広島からのよびかけ
にんげんをかえせ
にんげんの にんげんのよのあるかぎり
くずれぬへいわを へいわをかえせ(峠三吉)—
「人類と核兵器は共存できない」との被爆者の声は、被爆64年のいま、世界を大きく動かしています。
今年4月、オバマ大統領が核兵器を使った唯一の国としての「道義的責任」を認め、「核兵器のない世界」のために行動すると宣言したことは、被爆者とともに核兵器廃絶を求めつづけてきた私たちに、新たな希望をもたらしました。
私たちは、核兵器のない平和な世界の実現にむけ、いまこそ運動を大きく飛躍させるよう被爆地・広島からよびかけます。
国際署名「核兵器のない世界を」が提唱されて1年。署名への支持と共感は、全国各地で急速に広がっています。広範な人びとと共同し、「核兵器をなくそう」の世論をさらに大きくよびおこすため、全国の地域、職場、学園で署名活動を力強く発展させましょう。
来年5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議に、日本と世界の人びとの思いが託された署名を積み上げて、アメリカをはじめ核保有国政府、そしてすべての政府に、核兵器全面禁止・廃絶条約の締結にむけ、具体的な一歩を踏み出すよう強く求めていきましょう。
被爆国でありながら、日本政府はアメリカの「核の傘」にあくまでもしがみつき、核兵器のない世界への流れに逆行しています。このような動きを許すことはできません。
草の根から声を結集し、核兵器廃絶と「非核三原則」の厳守を政府にせまる「非核日本宣言」の運動を、全国各地でさらに広げましょう。核密約の破棄、「核の傘」からの離脱によって、非核平和の日本への新しい流れをつくりましょう。憲法9条を守りいかす運動、米軍基地再編強化反対、「思いやり予算」や軍事費削減などの運動、そして、雇用・くらしを守るたたかいをいっそう強めましょう。
被爆者がいのちがけでたたかっている原爆症認定集団訴訟は、ついに19連勝となりました。政府は解決を迫られています。被爆者に残されている時間はわずかです。訴訟の早期全面解決と認定制度の抜本的再改定を強く要求しましょう。
「ふたたび被爆者をつくるな」「核兵器をなくせ」の被爆者の決意と願いを継承・発信しましょう。つぎの世代へ、世界へ、被爆の実相を伝える証言活動や原爆展に全国各地でとりくみましょう。
いまこそ地球規模の連帯と行動で、核兵器のない世界への扉を開こうではありませんか。被爆者とともに、そして、未来をになう若い世代とともに—
ノーモア・ヒロシマ! ノーモア・ナガサキ! ノーモア・ヒバクシャ!
2009年8月6日
原水爆禁止2009年世界大会‐広島
原水爆禁止2009年世界大会−長崎特別決議
核兵器のない世界のために——長崎から各国政府への手紙
広島と長崎への原爆投下から64年をへて、私たちはいま、核兵器のない世界への一歩を踏み出すのか、核破局の脅威にさらされつづけるのかの岐路にあります。核兵器廃絶を願って、被爆者とともに長崎に集った私たちは、あなた方が人類の未来をまもる英断をし、行動するよう心から訴えます。
アメリカ合衆国大統領が「核兵器のない世界」を国家の目標とすることを表明し、核兵器廃絶への新たな展望がうまれています。世界の諸国民は、その進展に関心と期待のまなざしをむけています。この新しい機会を、かならず核兵器の完全廃絶に結実させなければなりません。
さまざま核軍縮交渉が行われてきたにもかかわらず、今日依然として、多数の核兵器が存在しています。このことは、これまでにない決意と行動が国際政治に必要であることを示しています。「核兵器による安全」という誤った考えを捨てさり、核兵器廃絶そのものを共通の目標として行動しなければなりません。
私たちは、すべての核兵器国が核兵器廃絶の「明確な約束」を実行し、2010年5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議が、核兵器全面禁止・廃絶条約のすみやかな締結にむけて、具体的な一歩を踏み出すことを要請します。そのためにも、9月からの国連総会で、アメリカ合衆国をはじめ安全保障理事会常任理事国である核保有5か国が、主導的なイニシアチブを発揮するよう強く求めるものです。
諸国の平等、紛争の平和解決など国連憲章の諸原則にもとづく、平和で公正な世界をきずきあげていくためにも、核兵器廃絶は不可欠です。それゆえ国連総会は、その第一号決議で、「原子兵器の禁止」を求めたのでした。いまこそ、その実現にむけて国際社会が一致して行動すべき時です。すべての諸国政府、国連が、この目標達成にむけ、私たちとともに力を尽くすよう、心より期待するものです。
2009年8月9日
原水爆禁止2009年世界大会−長崎
原水爆禁止2009年世界大会−長崎決議
長崎からのよびかけ
「長崎を最後の被爆地に」「核兵器をなくせ」—被爆者は、苦しみのなかで、世界に訴えつづけました。その声は世界の圧倒的な世論となり、国際政治を動かしています。
アメリカのオバマ大統領が「核兵器のない世界の平和と安全を追求する」と宣言し、新たな展望が開かれました。
いまこそ行動のときです。被爆者とともに、核兵器廃絶を求める声を世界に広げてきた日本の原水爆禁止運動が、その力を発揮するときです。
日本政府は、被爆国でありながら、アメリカの「核の傘」にあくまで固執し、核兵器廃絶の実現にも消極的態度をとりつづけています。「核密約」で核兵器持ち込みを容認し、「非核3原則」を裏切ってきたことも隠し通すつもりです。
核兵器のない世界にむけ、被爆国としての責任を果たす日本、非核平和の日本を、なんとしてもつくりだしましょう。
被爆国の私たち一人ひとりが、核兵器の廃絶を求める圧倒的な世論と運動を巻き起こすことを決意し、以下の行動にとりくむようよびかけます。
○核不拡散条約(NPT)再検討会議で、核保有国をはじめ、すべての政府が核兵器全面禁止・廃絶条約の締結への一歩を踏み出すよう強く求めましょう。
世界の先頭に立ち、「核兵器のない世界を」国際署名を地域、職場、学園でいっそう大きく広げましょう。広範な人びとと共同し、1200万筆の目標を達成しましょう。
来年5月のニューヨーク大行動に全国各地から代表を送り、NPT再検討会議に日本と世界の人びとの願いをこめた署名を積み上げましょう。
○核兵器廃絶と「非核3原則」の厳守を政府に迫る「非核日本宣言」の運動を、全国各地でさらに広げましょう。「核密約」の公表・破棄、「核の傘」からの離脱をかちとりましょう。
米軍基地再編強化や自衛隊海外派兵に反対し、憲法9条を守り生かす運動をいっそう広げましょう。米軍への「思いやり予算」や軍事費の削減、いのち・くらし・雇用を守る運動を強めましょう。
○被爆者がいのちがけでたたかってきた原爆症認定集団訴訟は、ついに政府を追いつめて、解決への道筋を示す確認書の合意に至りました。訴訟の全面解決と被爆実態に見合った認定行政への転換を確実に実行させましょう。
被爆者の願いを継承・発信し、被爆の実相をつぎの世代と世界に伝える証言活動や原爆展に、全国各地でとりくみましょう。
青年たちの創意とエネルギーにあふれる行動は、未来への希望です。核兵器のない世界の扉を開くため、被爆者とともに、若い世代とともに、いまこそ声を合わせましょう。
ノーモア・ヒロシマ! ノーモア・ナガサキ! ノーモア・ヒバクシャ!
2009年8月9日
原水爆禁止2009年世界大会−長崎
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