【反核平和運動・原水爆禁止世界大会】
原水爆禁止2008年世界大会
国際会議宣言
広島・長崎の被爆から63年。あの悲劇をくり返させてはならないという被爆者の叫びは人びとの心をとらえ、核兵器廃絶の声は世界の大勢となっている。21世紀を、核兵器の脅威から解放された新しい平和な時代としよう、との決意が広がっている。我々はこの実現のため連帯し行動することを、世界のすべての人びとによびかける。
核兵器は人類の生存と世界平和を脅かし続けている。いまなお核保有国は26,000発の核兵器を貯蔵、配備している。そして数千発が即時発射態勢におかれている。とりわけ米国は、「テロと核拡散」が「新たな脅威」であるとして、核兵器廃絶を拒否するばかりか、先制軍事攻撃と核兵器使用計画が一体になった危険な戦略をすすめ、新型核兵器の開発、先制攻撃を補完する「ミサイル防衛」システムの開発・配備などを続けている。これは、拡散問題の解決を妨げる重大な要因ともなっている。
テロや核拡散の防止という理由で、核兵器の保有、まして核脅迫や軍事攻撃を正当化するなどということは、もはやまったく通用しない。悲惨な状況がつづくイラクやアフガニスタンの現状は、拡散問題の平和的解決、核兵器の廃絶、平和の国際秩序確立こそが進むべき道であることを示している。
核抑止論の欺瞞が明白になる中で、「核兵器のない世界」を求める声が、新たな広がりを見せている。核保有国や軍事同盟諸国の政府関係者のなかからも、核兵器の危険を根絶するために、核保有国自身が核兵器廃絶にむけ行動すべきだという声があがっている。
全世界の圧倒的な人びとが核兵器のない世界を望み、非核兵器地帯は東南アジア、中央アジア、モンゴル、アフリカ、中南米、南太平洋など全地球に広がっている。大多数の国が「非核兵器国」として核不拡散条約に加わり、みずからに核兵器の開発・保有を放棄する条約上の義務を課している。
いまこそ核兵器全面禁止・廃絶へ、確かな一歩を踏み出すときである。そのために求められることは、世界政治、とりわけ核保有国の決断であり、諸国民の連帯した行動である。
我々は世界のすべての政府に、核兵器全面禁止・廃絶条約の協議開始を国連総会で決議するよう、強く提唱する。
2000年5月、核不拡散条約(NPT)再検討会議で「自国の核兵器の完全廃絶」を「明確な約束」として受け入れた5つの核保有国は、この約束を誠実に実行しなければならない。2010年春のNPT再検討会議にむかって、「核兵器完全廃絶」の約束をはじめ、包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効、核分裂物質製造禁止条約(FMCT)の交渉開始、中東非核地帯の実現など、これまでの合意の遵守と実行を要求する。
すべての核保有国とその同盟国に、核による威嚇と使用計画の放棄、発射態勢解除、「ミサイル防衛」計画の中止、非核兵器国への安全保障、核兵器の大幅削減、「抑止」や「核の傘」など核兵器に依存した戦略の放棄を要求する。
2010年のNPT再検討会議は、核兵器廃絶への展望を切りひらく重要な機会である。我々は、NPT再検討会議にいたる20ヶ月間、「核兵器のない世界」を共通の目標とする全世界的な行動キャンペーンを提唱する。核兵器廃絶を求める署名運動を軸に、多彩で創意あふれるとりくみによって世界をつなぐ、国際共同行動をくりひろげよう。
また、この行動の重要な一環として、広島・長崎の被爆者、世界の核被害者と連帯し、原爆展、被爆者・核被害者の証言活動など、被害の実態を全世界の人びと、とりわけ若い世代に伝えるための多様な行動を計画し、広めるようよびかける。
我々は、反戦平和、枯葉剤など戦争被害の救済、地球環境の保護、化石燃料や原子力依存からの脱却、食糧問題の解決、貧困・欠乏・飢餓の克服、軍事費の大幅削減、経済のグローバル化の弊害打破などを求める諸運動と連帯し、「核兵器のない平和で公正な世界」のために、力をあわせるようよびかける。
日本は、人類史上唯一、核戦争の惨禍を体験し、戦争と戦力を放棄する憲法9条と非核三原則の国是を持つ国として、すみやかな核兵器の廃絶のためにイニシアチブを発揮することが強く求められている。しかし実際には、「核の傘」の名のもとにアメリカの核戦略に深く組みこまれ、太平洋、インド洋、中東へと軍事行動をくり広げるアメリカの艦船などの出撃拠点とされ、さらに原子力空母の横須賀配備などが進められている。
我々は、このような危険な動きに反対し、憲法をまもり、非核平和の日本のためにたたかう人びとに、強い連帯を表明する。
人類の未来は諸国民の連帯した行動によってこそ切りひらかれる。被爆者とともに、そして明日を担う若い世代とともに、いまこそ行動に立ち上がろう。
2008年8月4日
原水爆禁止2008年世界大会-国際会議
原水爆禁止2008年世界大会‐広島決議
広島からのよびかけ
「こんなむごいことを二度とくりかえしちゃいけん」—地獄を見た被爆者たちの叫びは、「人類と核兵器は共存できない。核兵器をなくせ」の世界の声となりました。
いまもなお2万6000発の核兵器が世界の安全と平和を脅かしています。核兵器の使用は一瞬にして無数の命を奪い、世代を超えて人びとを苦しめ、文明を破壊します。
2000年の核不拡散条約(NPT)再検討会議で核保有国が受けいれた核兵器廃絶の「明確な約束」をすみやかに実行させなければなりません。2010年春のNPT再検討会議は、そのための絶好の機会です。
きょうこの場からはじまる「核兵器のない世界を—2010年核不拡散条約(NPT)再検討会議にむけて」の国際署名は、NPT再検討会議の場に積みあげて、約束の実行を力強くせまるものです。私たちは、この署名運動を軸にした国際共同行動の先頭に立つ決意です。
アメリカの「核の傘」のもと、危険な核戦略に組みこまれ、原子力空母の配備すら強行されようとしている日本で、「憲法9条が輝く非核・平和の日本」を実現していくことは、私たちの世界に対する責務です。
国連の代表をはじめ34か国99名の海外代表が参加して開催された原水爆禁止2008年世界大会は、「核兵器のない世界」をめざす政府と草の根からの運動の共同を誓いあう場となりました。この世界大会に参加した私たちは、その「国際会議宣言」をふまえ、被爆地・広島から日本全国、そして世界のすべての人びとによびかけます。
◇2010年のNPT再検討会議にむけ、核兵器廃絶の世論と行動を強めましょう。「核兵器のない世界を」の国際署名を職場・地域・学園でただちに大きくひろげましょう。多彩な創意あふれるとりくみで、世界をつなぐ国際共同行動を成功させましょう。6・9行動をはじめ日常的なとりくみを強めましょう。国連と諸国政府に核兵器禁止・廃絶条約の交渉開始と締結を要求しましょう。
◇核兵器廃絶と「非核三原則」の厳守を政府に宣言させる「非核日本宣言」運動を各地域でさらに大きくひろげましょう。憲法9条を守りいかす国民的な行動と共同をさらに発展させましょう。横須賀への原子力空母配備反対のたたかい、沖縄はじめ全国の米軍基地再編・強化反対のたたかいをひろげましょう。自衛隊の海外派兵恒久法制定に反対し、イラクやインド洋から撤退させましょう。
◇原爆症認定集団訴訟の早期解決と認定制度の再改定を強く要求しましょう。世界各地、全国津々浦々で原爆展、被爆者の証言活動にとりくみましょう。被爆者とともに、その体験や願いを受けつぎ、次の世代と世界に伝える活動をいっそう強めましょう。
被爆者とともに、若い世代とともに、力をあわせ、いまこそ行動に立ちあがりましょう。
ノーモア・ヒロシマ! ノーモア・ナガサキ! ノーモア・ヒバクシャ!
2008年8月6日
原水爆禁止2008年世界大会‐広島
原水爆禁止2008年世界大会‐広島特別決議
原爆症認定問題のすみやかな解決を要求します
人類最初の核戦争の惨禍から63年。広島と長崎の原爆はおびただしい命を奪い、いまなお多くの被爆者を苦しめつづけています。
広島・長崎の被爆者による、「国は、自分たちの病気や障害が原爆によるものだと認めるべきだ」という原爆症認定集団訴訟は、いま重要な局面を迎えています。すでに8つの地裁、2つの高裁で被爆者勝利の判決が下されました。
これらすべての判決は、残留放射線の影響の無視など、原爆被害を過小評価し、切り捨ててきた従来の原爆症認定基準をきびしく批判して、被爆状況や健康状況など全体的、総合的に判断すべきだとしました。
認定行政の誤りが否定しがたくなるなかで、国はついに見直しを迫られ、今年4月から新基準が実行されました。しかし、その後の判決が示すように、これもなお被爆の実際にみあっておらず、新たな線引きを行うものです。
国は、認定基準の再改定を認めず、裁判をつづけようとしています。これ以上、被爆者を苦しめることは許されません。私たちは、原爆症認定集団訴訟の早期解決と認定基準の再改定を強く要求します。
「人類と核兵器は共存できない」と訴えつづけた被爆者の声は、核兵器のない世界を求める大きな流れをつくりだしました。核兵器の廃絶と被害への補償によって、被爆者と遺族の苦しみが一日も早く癒されるよう、被爆者援護・連帯の世論と運動をさらにひろげていきましょう。
ノーモア・ヒロシマ! ノーモア・ナガサキ! ノーモア・ヒバクシャ!
2008年8月6日
原水爆禁止2008年世界大会‐広島
原水爆禁止2008年世界大会−長崎決議
核兵器のない世界のために
—長崎から世界の人びとへの手紙—
原水爆禁止2008年世界大会に参加した私たちは、被爆地・長崎から世界のすべての人びとに、この手紙をおくります。
「核兵器と人類は共存できない」という被爆者の叫びにもかかわらず、いまなお2万6000発もの核兵器が世界の平和と安全を脅かしています。広島・長崎の惨劇をくり返さないために、そして人類の生存のために、世界の人びとの連帯した行動で、核兵器のない世界を実現しなければなりません。
2010年の核不拡散条約(NPT)再検討会議にむけて、核保有国には2000年5月の核兵器廃絶の「明確な約束」を実行することが求められています。核兵器廃絶のための国連決議が圧倒的多数で採択されるなど、この約束の実行を求める声は国際政治の場でも大勢となっています。かつて米国の軍事外交の中枢にいた人びとも、核兵器の廃絶以外に平和と安全を守る道はないと訴えています。
いまこそ決断すべきときです。私たちは、核保有国はじめすべての政府が核兵器禁止・廃絶条約の交渉をすみやかに開始するよう強くよびかけます。
平和を願うすべてのみなさん
私たちは、2010年春のNPT再検討会議にむけて、全世界的な行動キャンペーンを提唱します。「核兵器のない世界」を共通の目標に、世界各地ですすめられているさまざまな行動と連帯し、大きなうねりをつくりましょう。
私たちは、国際署名「核兵器のない世界を—2010年核不拡散条約(NPT)再検討会議にむけて」の運動を開始しました。この署名への支持・協力をはじめ、原爆展など多彩な創意あふれる行動を世界中でくりひろげましょう。
長崎を最後の被爆地に!「核兵器のない平和で公正な世界」をめざし、ともに力を合わせましょう。
2008年8月9日
原水爆禁止2008年世界大会−長崎
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