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原水爆禁止2004年世界大会

国際会議

エジプト政府外務次官

モハメド・エズ・エルディン・アブドゥル・モネム

 世界大会でお話しする機会をえたことを光栄に思います。ご存知のように私たちエジプト国民は、みなさんの献身と責任感を高く評価しております。

 みなさんの選んだ本日のテーマは世界共通の願いを反映しています。それは核兵器も戦争もない世界を実現することです。この願いは世界に核兵器が存在するようになるずっと以前からあった願いです。戦争のない世界への願いは、かつてなく大きな脅威に直面しています。これは広島と長崎の教訓です。戦争のない世界を実現したいと思うなら、私たちは広島と長崎の記憶を伝え続けなければなりません。そしてそれこそが皆さんがおこなっていることです。

 本日のテーマは行動を中心にすえており、それこそが私たちに必要なものです。核兵器も戦争もない世界について長々と議論をすることはできますが、私たちが話し合ったことを行動に具体化できるかどうかこそが本当の問題なのです。行動を中心にすえた努力が実を結ぶためには、どんなものでも、まず障害をあきらかにし、それを克服する必要があります。実際、核兵器も戦争もない世界の実現にはいくつかの障害があります。そのなかで、特に重要なものをいくつか指摘しておきたいと思います。

ひとつは、包括的な取組みがないことです。国連憲章はその目的を全面完全軍縮と規定しています。これは2つの世界大戦につながった軍拡政策と軍備増強の拒否であり、行動を意味します。国連設立から59年をへたいまもなお、全面完全軍縮達成はほど遠いところにあります。残念ながらこれは、他のどんな兵器より核兵器について言えることです。これまで、包括的という名前を冠していても、実際には、核兵器に関する包括的国際協定はひとつもありません。「不拡散」のコンセプトそのものが欠点だらけです。なぜなら、名目上は、核兵器はどの国も保有できないはずなのに、一部の国には保有が認められているからです。そこには、核兵器のない世界、そしてもちろん戦争のない世界という目標が欠如しています。また、私たちが「核保有国」と呼んでいる国は、核不拡散条約の定める義務を十分に果していません。核兵器は未だに保有され、中東における非核兵器地帯の創設をふくめ、これまでの再検討会議でなされた数ある約束も果されていません。

核兵器も戦争もない世界という神聖な目標を阻む第二の障害は、紛争の平和的解決にむけ真剣な努力がなされていないことです。これは、私たちみなが知っているように、国連憲章の掲げる主要な目標のひとつです。強調すべきことですが、国連憲章は戦争を禁止しています。自衛は、非常に厳しい条件と、制約のもとでのみ許されています。国連の安全保障理事会は、武力行使の権限を持つ唯一の機関です。しかし、残念なことに、武力行使の権限は強制力を持ち、その決定は加盟国すべてに適用されます。それなのに、同じく安保理の平和的紛争解決を命じる権限の方には強制力がなく、しかもそれを規定しているのは国連憲章第6章だけ、これまでのところ、安保理は、決定の強制をしぶってきました。侵略性が明らかである場合や、安保理自身が解決の条件を決めた場合であってもです。このことが、国連憲章の原則に反して、二重基準が横行し、戦争準備によって平和の希求が妨げられている状況をつくりだしてきたのです。軍拡政策がいつまでも続き、核兵器は蓄積されてきました。

核兵器も戦争もない世界実現を阻む第三の障害は、世界規模での平和の文化に対する攻撃です。問題の本質は、暴力の「対抗文化」にあります。原因は、人種差別、外国による占領、外国人排斥、民族浄化、過激主義、テロリズムの政策や姿勢だけではありません。先進国で暴力が横行していることにも原因があります。子どもたちは、爆撃機や戦艦や空母のおもちゃで遊んでいます。彼らが大人になったとき、もっと精巧な本物の兵器で遊ぶようになるかもしれません。暴力とは、鋭いナイフを使うことから、原爆投下までエスカレートするものであること念頭に置いておく必要があります。

では、これらの障害を克服するために、どのような行動をとるべきなのでしょうか。第一の障害、すなわち核軍縮に向けた包括的取り組み欠如の克服には、来年のNPT再検討会議にむけて本格的な政治的、外交的活動を積極的にすすめるべきです。第二の障害に対しては、平和的紛争解決の仕組みを強化しなければなりません。第三の暴力の文化については、世界中で、教育制度のなかに真の平和文化の種を蒔くよう密接に協力しなければなりません。簡単な事業ではありませんが、いっそう努力を強めなくてはならないのです。なぜなら、核兵器の廃絶が唯一生き延びる道だからです。

 

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