原水爆禁止2003年世界大会
国際会議

アメリカ
平和と正義のための連合 全米運営委員会
ジュディス・ルブラン


親愛なる友人の皆さん、

  原水爆禁止2003年世界大会に皆さんとともに参加することができ、期待でいっぱいです。日本、および世界中の平和運動の代表者のかたがたとお会いすることは、名誉であるだけでなく、米国の平和と正義の運動を前進させる機会でもあります。

  みなさん!「戦争も核兵器もない平和な世界」は可能です!

  2002年の秋、ブッシュ政権の戦争熱に対して、米国民は1980年代の核凍結運動以来の大衆的平和運動で応えました。私たちの共同行動は今回のおろかで違法な戦争を止めることはできませんでしたが、何百万人もの人々による共同の政治行動の新しい水準を築きました。

  ブッシュ政権の先制攻撃戦争に反対する運動の中から、平和運動、宗教運動、労働運動、青年運動、学生運動の代表、あらゆる人種と国籍の組織の代表が新しい連合−「平和と正義のための連合」−を作りました。

  それは自分たちの社会をよくしようと日々活動している600以上の全国的な平和組織と地方のグループを結集した連合です。しかし、平和と正義のための連合が代表しているのは、これらの広範な組織をはるかに超える大きなものです。この連合は、平和と正義と民主主義を支持する国民の多数派、生まれつつある国民の多数派を代表しているのです。

  当初は戦争を支持した何百万ものアメリカ人たちも、ブッシュ政権がイラク戦争支持へ世論を誘導するためにあらゆる手段を使ったことを理解してきています。

  「平和と正義のための連合」が設立された時には、国民の大部分はイラクへの先制攻撃に反対でした。何千人もの人が議会に押しかけ、ブッシュ政権のイラク戦争への招集に反対するよう議員に働きかけました。米国の平和運動は一致してひとつのスローガン、「戦争反対、国連査察団の査察継続」を訴えました。

  イラク戦争ムードを高めるために、右翼は平和を主張した下院議員を、非国民、裏切り者と呼びました。下院がブッシュ政権に戦争権限を与えたときも、平和運動は希望を捨てませんでした。彼らは、戦争への動きに反対した議員の勇気を支持しました。全国の新聞の社説で論争は続きました。4千万人の会員を擁するキリスト教会全国協議会は、イラク戦争は国連憲章に違反しており、危険な前例になるとして反対する全面意見広告を主要全国紙に掲載しました。
  何千もの市や町で、キャンドルをともした夕べの祈りや、集会や、ピケが、宗教グループ、地域グループと平和団体によって計画されました。こうした運動は国連査察を進展させるようブッシュ政権に圧力をかけ続けました。

  このたたかいのなかで2002年10月、「平和と正義のための連合」が誕生しました。「平和と正義のための連合」は、何十年も平和のために活動してきた歴史的、伝統的な平和・軍縮団体と新しい地域的連合とを統一して、ブッシュ政権の先制攻撃戦略を阻止する可能性を持った、初めての全国的な連合組織です。

  私たちの最初の行動は、12月10日の国際人権デーに各地で行動を組織することでした。何百もの行動が組織されました。ニューヨークでは、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教の宗教指導家たち100人以上が、アメリカの国連代表部の入口を封鎖して、逮捕されました。

  私たちは9月11日のテロが起きたニューヨークで平和を訴えました。というのは、ニューヨークの市民は暴力とテロを自分たちの目で見たからです。そして私たちは、ニューヨークの市民と米国の国民は立ち上がって戦争反対の声を上げることを知っていました。ブッシュ政権もそのことを知っていました。ニューヨーク市当局はデモ参加者に戦争反対の行進を許可しないよう政府の圧力を受けていました。

  世界は米国民が戦争に反対することを期待していました。私たちは、その期待に応えるため、行進は禁止されましたが、世界中の平和運動と協力して、2月15日に、「世界は戦争に反対する」をスローガンに掲げて全米集会を催しました。

  世界中で何千万もの人々が平和な世界と軍縮をめざす史上最大の行動に参加し行進しました。資金不足を確信の力でおぎなって、「平和と正義のための連合」は、ニューヨーク、サンフランシスコをはじめ米国の何百もの市や町で市民の街頭行進を組織しました。

  2月16日のニューヨーク・タイムズ紙は、世界中の平和運動をあたらしい「スーパーパワー」と呼びました。

  反対運動が新たな段階に入ったことは、社会のあらゆる分野に影響を与え、無視することはできなくなりました。全国レベルから地域レベルに至る何百の労働組合が戦争反対の決議をおこないました。何百の大学のキャンパスで「爆弾より本を」の訴えがなされました。そして何百もの市議会、宗教指導者たちが一般の市民とともに戦争反対の声をあげました。移民の組織が反対を訴え、公民権擁護団体は戦争への動きと合衆国憲法の侵害が結びついていることを明らかにしました。

  しかし、ブッシュ政権はこうした民主主義的な盛り上がりを平然と無視し、世界中の反対に逆らって違法な戦争に突き進みました。

  ブッシュ政権は人々の恐怖を利用しました。9月11日の悲劇は、ブッシュ政権による戦争正当化の根拠となりました。彼らは、米国の安全に差し迫った脅威となる大量破壊兵器が存在すると主張しましたが、それは嘘でした。彼らはアルカイダがサダム・フセインとつながっていると言いましたが、それもまた嘘でした。

  ブッシュ政権は米国国民の正真正銘の恐怖を利用して戦争を始めました。いま、彼らは、地球上のこの地域を支配し、イラクの資源を略奪し、みずから破壊したものの再建に米国企業を参入させるという野望のために、イラク人と米国軍人を犠牲にしています。

  しかし、いまや、アメリカ国民はブッシュ政権が嘘をついたことを急速に理解し始め、ブッシュ政権はあわてて疑惑をもみ消そうとしています。何週間もの間、毎日新しい事実が暴露され、どんな悪夢よりもブッシュ政権を悩ましています。いろいろな意味で、2004年の大統領選挙はきわどい状況になっています。

  「平和と正義のための連合」は、第一回全国大会を2003年6月に35の州から500人以上の代表の参加を得て開催しました。何百ものグループが「平和と正義のための連合」と連携したことは、イラクとアフガニスタンの占領に対する反対運動を組織することの重要性を物語っています。大会はまたイスラエル−パレスチナ問題の公正な解決に向けての運動を強めるよう呼び掛けました。私たちはシリア、イラン、キューバ、北朝鮮に対する先制攻撃を阻止するための行動を組織しています。

  私たちは、広島と長崎の原爆投下以来初めて核による先制攻撃を「合法的」選択肢とするブッシュ政権の核兵器態勢に明確に反対します。私たちはまた、弾道弾迎撃ミサイル制限条約(ABM条約)への復帰と宇宙兵器の廃絶を訴えます。

  私たちは、世界最大の核保有国である米国の軍縮への闘いを続けます。私たちはまた、国内での経済危機や市民的自由への攻撃と、右翼勢力の海外戦争熱との結びつきを告発し続けます。そして最終的には、ブッシュ政権の先制攻撃外交を粉砕するのは、2004年の選挙でのブッシュと右翼勢力の敗北です。

  私たちは米国の平和運動を進める者として、私たちは「戦争も核兵器もない平和な世界」を築くために楽観的かつ現実的にたたかいをすすめます。広範な層の国民を巻き込んだ強固で統一した運動がなければ私たちは成功しません。世界中の平和運動との強力な連帯がなければ私たちは成功しません。

  団結して闘えば、平和な世界をつくることは可能です。ありがとうございました。


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