原水爆禁止2003年世界大会
広島(8月6日)

海外からの発言


アメリカ合衆国
平和な明日をめざす9月11日家族の会
ボドリー・デリル


主催者のみなさん、原水爆禁止2003年大会にご招待いただきありがとうございます。

  私の娘デオラは、9月11日、ペンシルベニアの田園地帯に墜落した飛行機に乗っていて亡くなりました。その二日後、私には娘の声が聞こえた気がしました。「何も心配しないでいいのよ、お父さん。正しいと思うことをしてね」と。

  その日から、私にとって正しいこととは、声を上げること、もっと世界の人々を理解し、思いやることでした。昨年、私は「平和な明日をめざす家族の会」と共にアフガニスタンに行き、アメリカの爆撃で被害を受けた人々を助ける活動をおこないました。昨年の12月には、立命館大学国際平和ミュージアムを訪れました。

  9月11日以降、全てのアメリカ人の人生は変わりました。一部の人々は、相手を支配するために以前より暴力や殺人に頼るようになりました。わが国の政府は、戦争だけでなく先制攻撃さえも有効な手段だと主張しています。しかし、私の人生に起きた変化はまったくそれとは違うものでした。戦争の無意味さについてより深く理解するようになりました。どんな場合も、歴史を振り返ると、腐敗や利己主義、強欲さが戦争の原因となっていることが分かります。

  ブッシュ大統領は9月11日の出来事に対する彼の報復計画を、数百年も前のキリスト教とイスラム教の宗教戦争になぞらえて「十字軍」と呼びました。彼は「アメリカ合衆国に神の祝福を」と祈って、イラクに兵隊を送りました。偉大なベトナムの仏教の指導者ティッチ・ナット・ハンは、「神は、敵対する二つの国の一方に対してだけ祝福を与えることはできないということを大統領に教えなければならない。彼はもっとましな祈り方を学ばなければならない」と言っています。

  9月11日直後の私の反応は「本当の原因はなんだったのか」というものでした。9月11日のできごとの真の原因は、まず、他人に対する尊敬と愛がすべての人々に欠けていたこと、二つ目に、すべての人々のあいだに平和な関係を作るのに必要な、各人の内面的平和の欠如です。そして三つ目に、世界の資源がすべての人々、生物、そして地球そのものと共有されていなかったことです。

  人間が、攻撃的な感情や制度を、平和的な感情や制度に変えられるかどうかはわかりません。しかし、そうするように継続して努力しなければなりません。それが私たち「平和な明日を目指す9月11日家族の会」の考え方です。私たちの組織の名前は、「戦争は平和な明日を彫りだすのには、役に立たないのみである」というマーティン・ルーサー・キング牧師のスピーチから採りました。

私の娘が十代の時に日記に書いた詩で締めくくりたいと思います。
人は「誰」と尋ねる。
人は「何」と尋ねる。
人は「いつ」と尋ねる。
人は「どこ」と尋ねる。
人は「なぜ」と尋ねる。
でも私が求めるのは平和だけ!


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