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原水爆禁止2002年世界大会
国際会議
世界大会実行委員会議長団
沢田 昭二
 海外から参加のみなさん。日本各地から参加のみなさん。原水爆禁止2002年世界大会は、核兵器の問題、戦争と平和の問題に、新たな危険な状況が生まれている中で開かれます。この重要な大会に参加されたみなさんに、心からの歓迎と連帯のあいさつを申しあげます。
 みなさん。「核兵器なくせ」の声は、広島・長崎から世界にひろがり、半世紀のたゆみない努力によって、大きな流れに発展しました。そして、20世紀の最後の年2000年には、アメリカをはじめとする5つの核保有国を含めて「核兵器廃絶の明確な約束」が合意されました。
 しかし、この「核兵器廃絶の約束」の履行を求める私たちの前に、いま憂慮すべき逆流がうまれています。
 アメリカのブッシュ政権は発足以来、「核兵器は安全保障で死活的役割を担う」として、核兵器廃絶の「約束」や包括的核実験禁止条約の批准などに背をむけてきました。それどころか、今年はじめ国防総省が議会に提出した「核態勢見直し」報告では、「テロ対策」などを口実に、地下施設を破壊する新しい地下貫通核兵器を開発・製造し、非核保有国への核使用や、先制核攻撃を「正当化」するという、かつてない露骨な核兵器使用戦略を打ち出しました。しかもブッシュ政権は、アフガニスタン戦争に続いて、イラクへの一方的な戦争計画を公言しており、事態はきわめて重大です。
 南アジアで新たに核保有国となった、インドとパキスタンの軍事対立は、近隣諸国に強い不安をひきおこしています。このようなアジアでの核戦争の危険を取り除くためにも、核兵器をふりかざした超大国の横暴の手を押さえることが重要です。
 ところで、みなさん。今日の世界全体をみたらどうでしょうか。アメリカの新たな核兵器政策や介入戦争のくわだてを批判する声は、アメリカの同盟国をふくめ大きくひろがっています。地球環境の問題、貧困拡大の問題、その他さまざまな問題でも、大国の横暴を押しつける「一国覇権主義」に対する批判の声が世界中でたかまっています。アメリカ国内でも戦争に反対し、平和を願う声が若者や国民のなかに広がっています。
 核兵器廃絶の大きな流れをつくってきた世界諸国民の団結した力、またこの間、世界大会の場でも新たな経験をつくったNGOと非核の政府との協力などをさらに発展させていけば、必ずや核兵器のない21世紀への道を切り開くことができると私は確信しています。
 昨年につづいて、ことしも4日の広島の大会から、エジプトやマレーシアなどの政府代表の参加が予定されています。反核平和運動の課題の議論に加えて、市民レベルの運動と核兵器廃絶に取り組む政府との協力についても、おおいに議論していただきたいと思います。
 ブッシュ政権によって核兵器の使用があからさまに語られることにたいし、私は核兵器の使用が何をもたらすのか、ヒロシマ・ナガサキが何を物語るかを問いかけたいと思います。たった1発ずつの、今日からみればごく小さな爆発威力の原爆の投下による被害は、どんな理由があろうとも、誰に対してでも、決して核兵器を使うことは許されない、核兵器と人類は決して共存できないことを教えています。「ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・ヒバクシャ」。これを、いま新たな響きをもって、緊急に世界に伝えなくてはならないと思います。
 ところで、いま広島・長崎の被爆者たちは、日本政府が被爆者の原爆被害を過小評価し、被爆者を切り捨てる行政を改めようとしないので、集団申請と集団訴訟という新たなたたかいを始めようとしています。被爆者のこの新しいたたかいは、核兵器使用の非人間性を明らかにし、核兵器使用政策を糾弾するたたかいでもあります。日本政府の原爆被害の過小評価の背景には、アメリカの核兵器使用を容認する被爆国にあるまじき日本政府の姿勢があるからです。
 日本政府は、アメリカの核兵器使用、先制攻撃を選択肢とする戦争に協力しようとしています。こうした戦争に、自衛隊が武力行使も含めて支援できるようにし、さらに国民を強制的に協力させるために、有事法制を制定しようとしています。先日、終了した国会では、国民的な批判と反対運動でこの有事法制の成立をはばむことができました。ひきつづき、日本国憲法に明らかに矛盾する、この法律の制定を阻むため、運動を強める決意です。
日本政府は「非核三原則」が国是であると言いながら、アメリカの核持ち込みを認める「核密約」を結んでいます。「核密約」のもとで、日本はアメリカの先制核攻撃基地になる危険はかつてなく増大しています。そうした中で、「非核三原則」見直し発言をおこなうなど、日本政府は核兵器廃絶に逆行する姿勢をあらわにしています。核兵器のない地球をつくり、平和な世界をつくるために、日本の運動の責任はいっそう重大だと思います。この世界大会で、世界と日本の運動の経験についても、おおいに交流が深まることを期待します。
 「核兵器のない平和で希望ある世界をム国際的連帯と共同を広げよう」ムム。この、今年の世界大会のメイン・テーマに、私たちの願いがこめられています。新たな逆流をのりこえ、核兵器廃絶と世界平和にむけて前進する展望はどこにあるのか、私たちは何をすべきかムム。これらに明確な答えをあたえるために、独創性、創造性にあふれた討論を心から期待して主催者のあいさつとします。

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