ご来賓の皆さん、平和活動家の皆さん、
山口仙二さん、松谷英子さんと下平作江さんのお話を聞き、私は悲しみと怒りと感謝と希望が入り混じる想いでした。悲しみ——というのは、あの運命の日に奪われた光と未来を取り戻すことはできないからです。怒り——というのは、極悪非道な罪を犯した者たちが今なお反省しておらず、核兵器開発を続けているからです。感謝——というのは、困難にぶち当たったとき彼らの証言は私たちに力を与えつづけてくれるからです。平和と正義に対する自らの誓いに誠実になる力を与えてくれるのです。希望——というのは、若者にその経験が伝えられ、彼らがそれに対して情熱と、創り出す力と、ゆるぎない誓いをもって応えているからです。
世界のたくさんの場所で市民による力強い運動が生まれているのを見ると、希望と力が湧いてきます。これらの運動は、いろいろな形で闘われていますが、共通しているのは、自分たちの目標を平和的で暴力によらないで達成しようという強い意志です。フィリピンはこうした運動が行われた国であり、その理由として、専門家達は1986年と、最近では2001年の国民による非暴力蜂起をあげています。この非暴力蜂起は、国民が自分たち自身を成長させ、広範な国民による自主的なネットワークを作る中で作り上げられてきたもので、それが彼らを、私たちが国内で、また国際的にも進めている運動の中で繰り広げられているまさにドラマの主人公としているのです。国内の多様な社会運動を反映して、様々な階層の人々が参加しました。そして彼らの運動は、これまでいろいろな闘いと運動に命を吹き込み、育んできた、非政府組織と草の根の運動により、具体化していったのです。
彼らは、貧しい者と取り残された地域を犠牲にして利潤を追求する多国籍企業の要求を満たす貿易政策を拒否する団体です。独裁的な支配に戦いを挑む運動です。森の略奪をくい止め、農地と地域が金持ちと権力者と外国の略奪者の儲けの場にかえられてしまうことを阻止するためにバリケードをくむ人たちです。アメリカのような大国により、自分達の土地と海が事実上の戦場と有害な化学物質で汚染された土地に変えられる事を阻止するために命をかける男、女、子供たちです。そうなってしまえば、土地と海は、人間の住めない場所になってしまうのです。女と子供達がレイプされ虐待される事に怒りを燃やし、正義を求める人たちです。
核兵器廃絶を目指す運動、アメリカ軍の存在とそれが私たちの社会と環境に与える影響を拒否することは、正義と自由と平和を求める人々の運動の一部となるべきです。
私や皆さんのような平和活動家にとって、怒り、正義への希望、そして戦いを続けてゆくという誓いが力強く表明されることがエネルギーと勇気を与えてくれるのです。
これからも、みなさんのたたかいに連帯する新たな決意を胸に、私も私達のたたかいを続けてゆきます。