みなさん、今日、この場でお話できることを名誉に思います。1945年8月、15才だった私は、広島と長崎に落とされた原爆の恐ろしい被害を知り、恐怖と悲しみを感じました。私の国がそう感じていないことに怒りを感じています。
核兵器廃絶カナダネットワークの要請により、国会の委員会はカナダの核政策を見直しました。1999年、私たちは、核兵器廃絶が、とりうる唯一の戦略であることを認めさせました。しかしカナダは、なお核軍事同盟=NATOにとどまっています。昨年私たちは政府に、NATOの核戦略見直しを提起するよう要求しました。NATOはNPT会議での「廃絶の約束」を認めました。しかし、核兵器が安全保障に不可欠という立場には固執したのです。私たちはまた、国連で新アジェンダグループの決議を支持するよう働きかけました。政府は、私たちの代表をNPT会議への政府代表団に加えました。これは、フランスを除くNATO加盟国に昨秋、新アジェンダ決議を支持させることに役立ちました。
私たちの抗議にもかかわらず、政府はNATOに神聖な先住民の地、ラブラドールでの超低空飛行の訓練を許しました。新アジェンダの決議は、核兵器のない世界のためには強制力のある法的手段が必要であるといっていますが、政府はこの点では決議を支持していません。
政府との定期的な交渉で、私たちは提言をだし、圧力をかけています。反核退役軍人会はいくつもの都市で広島・長崎の被爆写真を展示し、多くの人が足を止めています。世論調査ではカナダ人の93%が、政府に廃絶条約交渉に加わるよう望んでいますが、政府は何もしていません。
私たちはまた、政府がアメリカのミサイル防衛に反対するよう要求しています。集会、インターネットによる宣伝、手紙運動、国会議員や国防大臣との交渉などを行っています。私たちはミサイル防衛が、宇宙の軍事化と世界支配の維持というアメリカの計画の第一歩であると説明しています。これには新聞やテレビも注目し、支持をよせています。また、私たちは三種類の平和雑誌を発行しています。
カナダは核兵器に対する唯一の防御が廃絶であるということを知っています。NATOと軍縮のバランスをとろうとするのをやめて、新アジェンダ連合と共に廃絶の約束を実行させるよう活動すべきです。カナダは地雷禁止条約を実現するために市民と政府が共同した国です。政府が約束を守り、市民と政府が協力すれば廃絶の言葉を行動に移させることができるはずです。
日本と同じようにカナダもアメリカの影に覆われています。平和な世界を願う私たちは怒りを情熱に変えなければなりません。8月6日、広島で灯ろうを見ながら私は不滅の愛と廃虚から広島・長崎を復興させた勇気を感じることができました。核兵器は究極の悪です。私たちの道義は人類絶滅の恐怖から世界を解放することができるし、そうしなければなりません。