原水爆禁止2001年世界大会
国際会議
アメリカ合衆国
プロポジション・ワン委員会
エレン・トーマス
核軍縮を法律にしよう!
187の国々が核兵器廃絶を誓いましたが、その期限は定められていません。ここでの私たちの目的はその期限を設定させることであり、世界的な核軍縮を法律にすることです。同じ目的を持ちながらここに参加できない人々がいますので、海外の私の仲間にも代わってごあいさつもうしあげます。まず、ホワイトハウス前で20年間、晴れの日も雨の日も24時間、立て看板や情報を掲示して、ワシントンDCの有権者による核軍縮に関する住民投票実施を成功させた平和公園の反核ビジル活動家たちから。また、いま同じ時に、ワシントンDCで、今年で20回目を迎える広島・長崎の原爆記念日の催しをおこなっているヒロシマ−ナガサキ平和委員会からです。
5回にわたりアメリカ下院に「核軍縮と経済の転換法」を提出したエレノア・ホームズ・ノートン議員からのあいさつもお届けします。この法案が成立すれば、アメリカは次のようなことを実行しなければならないのです。
- 他の国が核兵器を廃絶するなら、アメリカも保有している核兵器は廃絶すること。
- 毎年(核兵器製造のために使われてきた)数十億ドルを、核兵器産業の閉鎖、汚染除去とその他の戦争産業の転換のために使うこと。例えば、ミサイルや爆弾の代わりに太陽電池板や風車などを製造するのはどうでしょうか。クリーンエネルギーのモデルはあるのです。今必要なのは製造施設です。
こうすればすべてうまくいくのです。
私たちはこのアイデアを「プロポジション・ワン」と呼んでいます。詳しくはホームページを見てください(www.prop1.org)。
私は、自分の国を愛しています。だから次のことが言えます。
アメリカは、地球上最も恥知らずの、弱いものいじめをしてきた国です。私たちの政治指導者は、平和を口にしながら、戦争をしています。「力による平和」の哲学は、地球、水、空気、そして心まで汚染し、恐怖、無感動、怒り、反抗、戦争を育てています。もちろんアメリカだけが病んでいるわけではありません。いまでは核保有国は8か国にもなり、さらに多くがその入り口に立っています。すべての大陸に、どう猛な兵器や議論が存在します。しかし、愛国者たちが自慢するように、アメリカは次の点でナンバーワンなのです。
- 兵器商人ナンバーワン:1990年以降、世界の戦闘員にどの国よりも多くの武器を輸出しているのがアメリカです。1999年におきた42の戦争のうち、アメリカが兵器や軍事技術を提供したのは39にものぼります。
- 地球上でも宇宙でもナンバーワン:アメリカは、2020年までに宇宙の軍事支配体制を整えることを構想しています。ブッシュ大統領は社会的環境的支出を削減する一方で、巨大な財政的・外交的費用をかけて、「ミサイル防衛」構想(うまくいかないようですが)をすすめようとしています。包括的核実験禁止条約(CTBT)が締結されたにもかかわらず、科学者たちはいわゆる「未臨界」核実験を続け、「地下貫通型」核爆弾を開発しようとしています。ブッシュ大統領は全面的核実験の再開に賛成しているといわれています。アメリカの5000の核兵器が瞬時に対応できる警戒体制におかれています。
- 外国に軍事基地をおくナンバーワン:アメリカの核兵器は、すべてのNATO加盟国に貯蔵し、そこから発射させることが可能であり、一触即発の危機にあるバルカン諸国もNATOに加わるかも知れないのです。第2次世界大戦が終わって56年たった今も、日本国土には依然おぞましい数の米軍基地が存在しています。そしていま、アメリカの影響により、日本の進歩的平和憲法が危機にさらされているのです。
- 「劣化ウラン」によるテロリストナンバーワン:アメリカ軍事産業は放射性「劣化ウラン」弾を18のNATO加盟国と他の6か国(日本を含む)に運び込んでいます。その危険性をアメリカ政府は否定しています。なぜでしょう。その理由はおそらく、
- アメリカ軍がこれまで日本を含めたあちこちの海や海岸で投下訓練をおこなってきたこと、
- アメリカ軍が1991年に70万発(320トン)の劣化ウラン弾をイラクに投下し、1996年にはボスニアに劣化ウラン弾を大量投棄したこと、
- NATOが1999年にコソボに対し10トン以上の劣化ウラン弾を投下したこと、などがあげられることでしょう。
- 警察国家ナンバーワン:アメリカは世界の警察や軍隊を訓練し、財政援助をしていますが、こうした警察と軍隊はますます平和的デモへの参加者に対して使われるようになっています。アメリカやNATOは、こうした軍事的襲撃は「自由」を守るためだと主張しています。でも、アメリカはどの国よりも多くの国民を投獄している国なのです。いまや刑務所はもうかるビジネスと化しています。
アメリカの人々が直面しているその他の課題には、次のようなものがあります。
- 新しい原子力発電所を建設する大統領提案、
- 何トンもの核廃棄物を、毎年地震が起こっているユッカマウンテンに運ぶ計画、
- 核施設における放射性物質のずさんな取り扱いという犯罪により被ばくした労働者への補償が遅れていること。
これらすべての、まるで狂気の沙汰としか思えないことが、秘密にくるまれ、覆い隠されており、巧妙なウソが広がっています。アメリカの活動家が圧倒されてしまうような気持ちになるのも無理のない話ですし、他の国々が軍縮への関心を失っていくのももっともでしょう。いま、癒し、回復するときです。
アメリカ先住民の伝統によれば、指導者たる者は、7つ先の世代のことを頭に入れて計画をたてなければならないとされています。7代目か5代目、あるいは3代目の世代は、彼らを守れなかった私たちを呪うことでしょう。いまの指導者たちの考えや心を変えることによってしか、私たちは、将来の世代を守ることはできないのです。
責任をとるべき人はこの地球上に何十億といることでしょう。しかしその多くは夢遊病者のように眠りながら歩いているのです。ありがたいことに今日ここに参加されたみなさんは目覚めている人たちです。毎年世界中で遊説し、自分たちの経験を語り伝えている被爆者のように、ずいぶん前から目覚めている人もいます。その人たちに私は「ありがとう」と申し上げたいのです。また最近目を覚ました人たちもいます。その人たちには「どのようにお手伝いしたらいいか知らせてください。あなたたちこそが未来なのだから」と申し上げたいのです。私たちは、力をあわせて平和の種をまかなければならないのです。
覚えておいてほしいこと:
戦争は避けられないものではありません。避けられないのは「変革」だけです。私たちがその方向を決めるのです。「革命」でなく「革新」が鍵です。平和のために「活動」するのであって「たたかう」のではありません。
- 内部告発者たちを讃えましょう。何の隠しごともいけません。真実を知ったら、許しましょう。
- 勇気をもって、原発、有害廃棄物、軍事基地を自分たちの裏庭からなくした人たち、1人でも活動を続けている人々から学びましょう。
- 政治家、マスコミ、働く人々を教育しましょう。みんな人間なのです。
手紙、電話、訪問などで彼らの考えを変えることは可能です。地球や宇宙での核兵器とその他の武器の取引・配備・製造・計画を中止させることがいかに大切かを知らせましょう。私たちが核兵器の警戒体制を解かせ、武器の取引をやめさせ、軍隊を平和部隊に変えさせ、兵器工場をクリーンなエネルギー製造工場に変えることができるなら、私たちすべてが勝利するのだと伝えましょう。そして、自分が核廃絶に向けた最初の段階である「プロポジション・ワン」、「核軍縮と経済の転換法」を支持していることを必ず知らせてください。
ここにご参加しているみなさんに感謝を申し上げます。正しいこと、平和のために活動を続けましょう。ワシントンDCのホワイトハウス前にいる私たちを訪問してください。そしてホームページ(www.prop1.org)を必ず見てください。平和を。
プロポジション・ワン委員会
PO BOX 27217 Washington DC 20038 USA
電話202-462-0757
HP:prop1l@prop1.org
エレン・トーマスについて
1984年からホワイトハウス前で反核ビジル(監視)行動に参加し、全生活をそれに捧げている活動家。「プロポジション・ワン」委員会代表。同委員会は、人々が自国政府の真実を知り、世界の核軍縮のため一票を投じることが出来るように、ビジル活動を行っている人々により1990年に設立された。
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