原水爆禁止2001年世界大会
国際会議

アメリカフレンズ奉仕委員会
ニューイングランド地域プログラム責任者
ジョゼフ・ガーソン


暗い時代の抵抗


友人のみなさん、
  広島に来ることは、二〇世紀のもっとも醜悪な犯罪のひとつがもつ意味と人間への影響とにかかわりあうことです。それはわれわれに対して、悪に対する人類のたたかい、とりわけ自国民のたたかいを探求することを求めるものです。それは、被爆者と日本の平和運動によって励まされ、変革される二つとない機会を与えるものです。世界大会に出席することは、特別に恵まれたことです。

  アメリカの近代史上もっとも軍事主義的で傲慢な政府のひとつであるブッシュ政権の核戦争とアジア太平洋政策を説明することが、本日の、まったくうれしくない私の任務であります。しばしば「小ブッシュ」、「W」、「小薮(shrub)」(注:shrubは、small bush=小さい薮の意)とよばれるブッシュ大統領は、アメリカのパワーエリート、特権階級権力者たちの固有の、きわめて危険な意思表示を意味しています。彼はアメリカ上院議員の孫であり、また、CIA長官、中国大使、そして大統領を務めた元下院議員の息子でもあります。この「W」は、わが国の偉大な劇作家アーサー・ミラーが述べたように、四語の文章を綴ることさえこの男にはあまりに大変なことなので、一眠りしなければならないような人物です。人類の運命が、大統領選挙期間中「私に渡されたものなど読むものか」と言っていたような人物の気まぐれと選択にかなりのところまで委ねられているとは、ほとんど私の想像と理解を超えたことだと言いたいのです。彼はまた、「私が若く、まだ登場したての頃は、危険な世界であり、われわれはまさに誰が『彼ら』なのかを知っていた。それは、『われわれ』に対する『彼ら』であり、誰が『彼ら』なのかは明らかであった。今日、『彼ら』が誰のことなのかはそれほどはっきりしていない、しかし、『彼ら』が存在することをわれわれは知っている」とも言っていたのです。

  アメリカ史上もっとも右翼的で軍国主義的な政治家の一人、チェイニー副大統領が入院したときには、進歩的な人たちさえ困惑しました。もし彼の健康が著しく損なわれることになれば、われわれは知的制約をもつ大統領とともに取り残されることになったわけであり、それはさらに恐ろしい事態を予想させるものでした。

  記憶にある限りもっとも腐敗したアメリカ大統領選挙の結果、世界は、地球の温暖化を嘲笑するにとどまらず、核軍備競争まで再加速するアメリカ政府に直面することになりました。ブッシュ政権は中国のことを「戦略的競争者」であると宣言し、その軍事ドクトリンの焦点を中国とアジア・太平洋に当てています。弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約を改定し、包括的核実験禁止条約(CTBT)を死文化することに血道を上げ、アメリカの核優位を確実なものにすることによって敵に絶滅の脅威を与え、またその準備をするため、必要なことは何でもおこなう自由を手に入れようとしています。このため、その「第一の優先課題」は、「ミサイル防衛」の楯を配備し、アメリカの先制的な核・ハイテクの剣を強化することです。ブッシュ政権は日本およびその他のアジア太平洋諸国との同盟を拡大進化させることに必死になっています。大統領に就任して数週間のうちに、ブッシュらが金大中大統領を公然と侮辱し、朝鮮の和解プロセスを狂わせたときの恐ろしさを思い起こしてください。そして最近では、台北に対して危険で先例のない軍事的なコミットメントをおこないました。

  ブッシュのアジア太平洋政策にむけてアーミテージとナイがつくったわくぐみは、日本と世界諸国民に役立ってきた日本の平和憲法を改定するワシントンの超党派キャンペーンを反映しています。そして、またしても起こった沖縄女性へのレイプにたいするブッシュ新体制の対応、治外法権の継続の要求、名護、沖縄南部などでも新たな空軍基地の追求などが、新政権の傲慢さを同じように表しています。

  これは、ブッシュ政権の悪政リストの最初の一部に過ぎません。このリストにはまた、京都議定書への攻撃、炭酸ガス排出削減のコミットメントの撤回、化石燃料と原子力エネルギーの消費量拡大の危険なキャンペーン、貧困・中産階級から取り上げ特権的富裕階級に与える税法の使い方、救命用医薬品コスト削減の第三世界とヨーロッパの提案への反対などがあり、さらにリストは続きます。  アメリカは今日、唯一の暗黒の源ではありません。小泉の「個人崇拝」は日本の政治文化における民主的価値の深さについて懸念をひき起こしました。歴史を否定する教科書、平和憲法に対する挑戦、首相の靖国神社参拝などにあらわれている日本の民族主義の強まりは、全域に不安をひき起こしています。小泉首相が約束した経済「改革」は、失業の増加をもたらし、貧富の差を広げ、経済回復に失敗する公算が大です。そして、次第に攻撃的になっているアメリカと日本の軍国主義は中国の民族主義と軍事的近代化の動きを強めています。 ブッシュ、チェイニー、ラムズフェルドのビジョン  チェイニー副大統領は最近、世界に現在進行している大規模な組織的な事象あるいは運動があるかを聞かれました。かれの答えは意味深いものでした。「21世紀の準備はもっとも確実に今、この瞬間に進んでいる。・・・アメリカは引き続き、世界の支配的な政治・経済・軍事的大国でありつづける」。  21世紀の「準備」、他国の国民や民族のアメリカの支配と強要は、アメリカの先制核・ハイテク兵器に基づいています。これは、なぜいわゆる「ミサイル防衛」が米政権の優先策なのかを説明しています。ブッシュ政権は、19世紀後半、世界の支配的強国としてイギリスにとって代わるためにアルフレッド・メーハン、ヘンリー・カボット・ロッジ、セオドア・ローズベルトなどが海軍力と強力な海軍の建設を強調したのと同じように、今後20年、30年あるいはそれ以上の長期にわたりミサイル防衛を計画し、築こうとしています。  ブッシュ政権の軍事的なビジョンは大統領が5月1日におこなったスターウォーズ演説と、最近発表された新ラムズフェルド・マーシャル軍事ドクトリンに反映されています。彼らが計画している変化が容易ならないものであるにせよ、われわれはそれがクリントン政権の「全域に渡る優位」ドクトリンの上に築かれており、そのドクトリンでも核戦争の準備は「かなめ石」であったことを思い起こさなければなりません。新しいドクトリンは、軍が「いかなるとき、いかなる場所でもグローバルな利益とみなすものを防衛するために行動する軍事的能力」をもつことを追求しています。ある軍の高官は最近、こう述べています。「われわれは正々堂々とした戦闘など好まない。われわれは絶対に、われわれの条件で勝つことを望んでいる」。新しい軍事ドクトリンは四つの表面上の軍事的優先事項を持っています。すなわち、�@アメリカ領土の防衛、�A他国にアジア太平洋、ヨーロッパ、中東などでのアメリカの軍事行動の可能性を「恐れさせる」こと、�Bひとつの大規模紛争に「決定的勝利を収める」こと、�C同時に「世界の他の地域で限定された期間、小規模な偶発戦争」をおこなえることです。このドクトリンはアメリカの軍事計画と軍事力の焦点をヨーロッパからアジア・太平洋地域に移すものです。 核戦争、「ミサイル防衛」、地政学  ならず者国家の攻撃から「アメリカ領土を守る」という新たなアメリカのレトリックにもかかわらず、ラムズフェルド・マーシャルドクトリンは、中国がワシントンの第一の懸念であることを次第に明確にしています。彼らは、将来北京がアジア太平洋の米軍、基地、同盟国を脅かしうるミサイル部隊をもつことを恐れています。もしアメリカの海、地上、空、宇宙配備の兵器が実際に展開されれば、それらの第一義的使命は、中国の比較的小さい核抑止戦力(理論的にはアメリカに到達する能力をもつ20基のICBMと見積もられている)を無力化させることです。それらはまた、中東、さらにはたぶんヨーロッパの前進配備された米軍、基地、同盟国の楯となるよう計画されています。このことは、戦域ミサイル防衛(TMD)のほうに優先順位が置かれていることを示しています。それは、いわゆる全米ミサイル防衛(NMD)よりも高い信頼度をもった配備により近いところにあります。実際、ラムズフェルドは、「ミサイル防衛」開発の次の段階ではTMD技術の拡大に焦点を当てることを明言しています。  防衛ではなく優位(ドミナンス)が彼らの戦略的目標です。インドのジャーナリストで軍縮運動のリーダーでもあるアチン・バナイクは次のように的確に指摘しています。「ミサイル防衛」は「潜在的な敵からアメリカを守るためとか世界をより安全にするためにつくられているのではない」、それは、「(アメリカの)現在の軍事的優位、核優位を次の半世紀も確立することを狙っているばかりか、この覇権をさらに大きく拡大し、強化することをめざしている」。  「ミサイル防衛」プログラムに緊密に関連しているのはブッシュ政権のABM条約とCTBTへの攻撃です。尊敬を集めている自由主義的なコラムニスト、アンソニー・ルイスが説明するように、「条約による安全保障という基本政策はブッシュ大統領の国防長官ドナルド・ラムズフェルドには忌まわしい呪い」です。こうして、ブッシュ政権によるアメリカの対ロシア政策の見直しが軍備管理の枠組み維持の重要性を確認し、大統領が50基のMXミサイルと2隻のトライデント潜水艦の撤去をはじめとするアメリカ核軍備の大幅な一方的削減について語っているときでさえ、同政権は、核の優位と世界最大の核軍備の保有、さらに「適応性」概念にひきつづき固執しているのです。これは、自国の核軍備の大きさを増減する自由を保持し、核兵器実験を再開し、新しい核兵器を意のままに配備し、いわゆる「ミサイル防衛」を築き、宇宙を軍事化する権利に固執することを意味しています。政治のアジェンダも存在しています。ブッシュ政権はアラスカに10基のミサイルサイロを建設することを急いでいます。それは2004年の選挙キャンペーンに先立って最初の「ミサイル防衛」配備を果たそうというもので、ABM条約の現行の条件を侵害するものです。  実際には、問題は共和党のみに限定されているわけでありません。クリントン時代にも大統領と議会の民主党は「ミサイル防衛」=スターウォーズの研究・開発を支持しました。10年間、議会のほとんどの民主党議員は、彼らと「危険な」共和党議員との主要な違いがタイミングのことだけであると主張していました。共和党が「ミサイル防衛」を「技術的に可能な限り早く」配備するよう要求してきたのに対し、議会多数派の民主党は、技術が「効果的」であると証明されればただちに配備することを支持しています。両党はまた、「ミサイル防衛」=スターウォーズの研究開発に何十億ドルさくかをめぐって、また、ワシントンの対中政策が単純な「封じ込め」であるべきかあるいはより複雑な「封じ込めと関与」の同時的アプローチであるべきかをめぐって意見が分かれています。こうして、民主党の上院リーダーであるトム・ダシュル、カール・レバインをはじめ民主党の多くの議員仲間も「ミサイル防衛」の研究開発のために「がっちりした」財政支援をおこなうことを支持しています。彼らは、「まだ機能するかどうかはっきりしないもの」を配備することによって「ロシア、中国に加えて同盟各国まで疎外する」ことを避けるため、「問題点の点検を先におこなう」ことを望んでいます。ダシュルは最近、「自らを孤立させる」ことによってブッシュ政権はアメリカの地球的影響力を「最小にとどめ」ており、ごく容易に「他の国が埋める」ことのできる「地球的な真空」を作りだしているとこぼしました。野党「民主」党といってもこんなものなのです。  「ミサイル防衛」をふくめ、軍備競争の拡大にたいするアメリカ国民の当然の反発を克服するために、その擁護者たちは国民の恐れを操作しようとしています。こうして、ブッシュ大統領が5月1日アメリカ国に演説して、ABM条約を解体する必要性を説明したとき、彼の演説の書き手は冷戦時代の最悪のレトリックを繰り返させてしまったのです。  「サダム・フセインのように、今日の暴君たちの一部は、アメリカ合衆国にたいする消しがたい憎悪にとらわれている。彼らはわれわれの友人を憎んでいる。われわれの価値を憎み、民主主義と自由と個人の意思選択の自由を憎んでいる・・・。」  実際、アメリカの特権者たちはまったく異なった条件で考えています。冷戦の封じ込めドクトリンの考案者であるジョージ・ケナンはかつて次のように助言しました。  「われわれは世界の富のおよそ50%をもっているが、人口では世界のわずか6.3%に過ぎない。この状態の中でわれわれが羨望と恨みの対象となることは避けがたいことである。われわれの真の課題は・・・われわれにこの不均衡な立場の維持を可能にする諸関係のパターンを案出することである。・・・ われわれが直裁的な力の概念によって対応しなければならない日が来るのはそう先のことではない。」  アメリカとNATOによるユーゴ爆撃作戦の直後、エリートで作っている「外交関係評議会」の刊行誌「フォーリン・アフェアーズ」は次のような論評を載せ、アメリカのあらたな一国主義の時代を賛美しました。  「アメリカ合衆国とNATOは、ほとんど討論することなく、ましてや華やかなファンファーレもないまま、地域紛争への国際的介入を厳格に制限している古い国連憲章上の規則を効果的に放り捨て・・・、軍事干渉にはるかに寛容で、ほとんど何の明確なルールをもたない、あいまいな新システムに有利なようにした。コソボが示したものは、アメリカはみずから正しいと考えることを、国際法などおかまいなしに行う、というアメリカの新たな意思であった。」 中国を標的に  「戦略的競争者」という中国へのレッテルや昨年のアーミテージ−ナイ報告、ランド報告などが示すように、中国はロシアに変わって、先例のない軍事予算を正当化し、起こりうる戦争にアメリカ国民を動員しつづけるために使われる新たな敵とされています。このことはブッシュ政権の中に完全な一致があるという意味ではありません。4月の「スパイ機」危機は政権内部にも強硬派の「地政学的現実派」と市場占有率拡大に熱心な多国籍企業とより緊密に同盟した「地理経済学派」の分裂があることを示しました。しかし、アメリカがアジアで支配的強国としてとどまること、そのためには中国の「封じ込め」が必要であることでは、ワシントン内部は一致しています。  政権に入る直前、リチャード・アーミテージ(現在国務次官補)はジョー・ナイとともに、米日同盟をアメリカのアジア政策とアジアにおける力の「かなめ石」として確認する報告を作成しました。アメリカの軍事的植民地化に反対する沖縄県民の引き続く抵抗に対応するためナイと彼の同僚たちは、アメリカの軍事プレゼンスをアジア太平洋全域に「分散化する」ことを求めました。彼らが勧告したものは沖縄の海兵隊を撤退させるのでなく縮小することでした。そして勧告は、軍事同盟やアクセス協定などを使って、これらを含む米軍をフィリピン、グアム、シンガポール、オーストラリア、さらにはおそらくはベトナムまで含めて再配備することを求めています。米軍の力を強め、アメリカの政治エリートたちが「負担の分担」と呼ぶものを増やすため、彼らの報告は日本国憲法の改定を勧め、朝鮮半島でのアメリカの衝突や戦争、対中戦争、南東アジアや南シナ海、そしてそのほか世界のいたるところで日本軍がアメリカとともに戦うことができるようにしようとしています。 このアーミテージ・ナイ報告につづき、ザルメイ・カリルザドの監修によるランド・コーポレーション報告書が出されました。このあとカリルザドは、国家安全保障会議(NSC)の上級理事に任命されています。この報告で彼は、「安全保障上のアメリカの主要な懸念事項として、台湾と中国本土のあいだで起こりうる軍事紛争」に焦点をあてています。アーミテージ・ナイ報告と一致しているのは、彼が、日米同盟の中心的な重要性を再確認していることです。ここで彼は、沖縄本島から最南端の琉球諸島までの「米軍を撤去するか削減する」ことが、「問題の台湾海峡水域をめぐる重要な分野で足がかりを得るために、アメリカ政府が支払うかもしれない通貨となりうる」可能性をあげています。カリルザド氏はまた、「分散化」に類似した政策も力説しています。つまり、国防総省は、「アジアにおける米軍プレゼンスの焦点を、フィリピンなど他の国に」移せというのです。これには、軍事介入にむけ米軍を「ウォームアップ」させておくために「米軍の頻繁かつ定期的配備」を認める軍事協力をフィリピンとのあいだで強化することが含まれるでしょう。彼は、台湾、南シナ海、インドネシア、マラッカ海峡をめぐっての戦争をうまくすすめるために、グアムを、米海空軍の「主要な中心点」のひとつへと変えろと強く主張しています。この報告の提案のいくつかはすでに、台湾防衛のためにはあらゆる手段をつくすというブッシュ大統領の明確な公約、ラムズフェルドによる長距離爆撃機の増強の要求という形で採用されています。XIV なぜこれほどまで中国に専心するのでしょう。ジョー・ナイは、ハーバード大学に戻って以来、アメリカが直面している最大の戦略的課題、と彼が考える点を繰り返し説明してきました。ナイによると、20世紀で2度、その時の(優勢な帝国主義)強国が、新興の強国(ドイツと日本)を優勢な世界秩序に組み入れることに失敗したことが、破滅的な世界大戦という結果をまねいた、というのです。ナイは、中国を指して、アメリカはこの間違いを繰り返すなと力説しているのです。 もちろん中国はいまも貧しい国で、ナイも、現在のペースで軍事力の現代化が進んでも、20年のうちに中国の軍事力は、アメリカの中レベルNATO同盟国の40年前の戦力にしか達しないことを認めています。しかし、この20年間すでに年間4〜8%の経済成長を遂げる国となり、しかもその成長率に限界が見られないなか、まだ制限され脆弱な国であるとしても、中国は明らかに、アジアと世界の経済、外交、軍事の面で新興しつつある勢力なのです。 ここから、いわゆる「ミサイル防衛」と、ナイの同僚であるエズラ・ヴォーゲルが展開させ、ヘンリー・キッシンジャーがほのめかし、ニコラス・ベリーがかなり詳しく説明している戦略へと話が戻ります。xv中国をアジア・太平洋および世界的(無)秩序に組み込むこととなる「中国との一大取引」を成立させるべく、クリントン、ブッシュ政権は、少なくとも理論上は、中国政府のミサイルをすべて無力化することで、中国をアメリカの先制攻撃にたいし無防備にする、TMDを追求してきました。TMDの脅威が増すなか、中国はある取引を申し入れられています。中国がより攻撃的な軍事政策の採用と攻撃戦力を高める兵器の配備を見合わせるなら、アメリカ政府は東アジアでのTMD配備を制限する、という取引です。 そうなっても、当然、アメリカの核兵器、第7艦隊、前進配備された何百もの米軍基地と施設、10万人の部隊と兵士が持つ高性能兵器、そして将来配の宇宙兵器は、もとのままで、そのすべてが中国にとって威嚇なのです。 これは、明らかに中国の指導者にとって受け入れらないことですし、阻止されなくてはならない新しい危険な軍拡競争に確実に道を開くものです。中国の政府関係者と戦略問題専門家たちは長い間、TMDを、アメリカの先制核攻撃力である剣を強化するための盾であると見てきました。中国はおどしに動じないし、「ミサイル防衛」とは新しい危険な軍事競争を意味するという点で、彼らは一致しているし、そう力説しています。アメリカがTMDを配備すれば、中国はこれらの新システムを圧倒するに必要なだけミサイルをかならず作ります。そうなれば、アメリカ政府内の軍事的タカ派は強硬路線を強め、典型的な連鎖反応がおこってインドとパキスタンも核兵器プログラムに拍車をかけるでしょう。 一方、ジョー・ナイと民主党の副大統領候補であったジョー・リーバーマン上院議員(2004年の大統領選挙へ出馬に備えている)といえば、ことの問題は、アメリカがTMDを配備するしないでなく、その特徴がどうなるかである、と発言していることから、ブッシュとラムズフェルドと変わらない見解を持っているわけです。 ごく最近まで、ほとんど欧州とロシアに目が向いていたアメリカの批評家と活動家たちは、危険なほどこうした情勢の展開を知らず、もっぱら「全米ミサイル防衛」と呼ばれる問題に焦点をあてていました。たしかに、ラムズフェルドは、国防総省の文書や発言からTMDとNMDの用語を削除しています。TMDとNMDのふたつの概念は、「ミサイル防衛」研究開発の焦点が、かつてTMD技術と呼ばれていた能力の拡大に移るにしたがって、融合してきています。これは、彼らにとって「戦域」ミサイル防衛が「国家」ミサイル防衛として役立つことになるアメリカの同盟国を鎮めるための戦略でもあります。政治的な点で言えば、ブッシュ政権は、自分たちは、成功していないNMDではなく、より信頼度の高いTMDをつくっているのだと主張できるわけです。 技術と資源をめぐる戦争 プリンストン大学の物理学者ジア・ミアン氏は、アメリカの主な立案者たちが、意図的に「技術におけるアメリカの覇権というカルトに至上の権利を与えている」ように見える、と述べています。それは、「アメリカは技術であまりにも抜きん出ているから、(アメリカに)喧嘩を仕掛けようと考えることさえ意味がない」ことをまわりに伝えるためだといいます。xvi ここからさらに、加速する「ミサイル防衛」/スターウォーズキャンペーンの、少なくとも4つの目的が見えてきます。1)新兵器に関連する技術開発への政府助成。2)世界の市場を席巻できる新しい商業技術につながる軍事関連の研究開発への政府助成。3)企業利益を肥やす。4)世界の限りある資源を手に入れるアメリカの優先権を今後も確保する。 この最後の目的、とくに世界の石油供給の支配を続けるためのアメリカの動きが、東アジアにおける安全保障と力の関係にもっとも直接的に影響をおよぼす問題です。第一次世界大戦が戦われた大きな理由は、イギリス(とより小規模でフランス)の中東の石油支配をドイツから守ることにありました。xvii 第二次世界大戦の結果、中東における支配的な大国としてアメリカが新しい植民者として彼らに取って代わり、以来、アメリカの外交・軍事政策の「第一義的政治原理」は、敵にも同盟国にも中東の石油に独自のアクセス権を確保させないことに置かれてきました。中東におけるアメリカの覇権を危機にさらした少なくとも8つの戦争と危機において、アメリカ政府は、核戦争をはじめるぞとの脅しをかけました。アメリカの「ミサイル防衛」は、中東の石油支配を強化し、あらたに利用できるようになったカスピ海の油田を支配するためにテコ入れし、よって、日本、中国、韓国、世界の工業国の大多数にたいする究極的な支配力を再確認するために構想されているものです。 ロシアと三者間同盟 アメリカ政府が、ロシア、日本、欧州連合(EU)それぞれに向けてもつ「ミサイル防衛」の課題は複雑です。プーチンとプーチン政権が、(アメリカ宇宙司令部が、宇宙への兵器配備を本格的に始められるだろうと考えている年月である)30年ほどの間でロシア経済を再生できたとしても、ロシア政府の核兵器は、「ミサイル防衛」で強化されたアメリカの先制核攻撃にたいする第二次攻撃の抑止力としての威信を発揮できない時点にまで萎縮していかねません。 ブッシュ政権の「ミサイル防衛」外交で興味深いのは、ロシア政府に和平の申し出をしていることです。xix  ブッシュ大統領は、「ミサイル防衛」開発と配備でロシアと共同する可能性が開かれていることをほのめかしています。合意が達成すれば、ロシアは、アメリカ政府の目下のパートナーとなり、中国に対する暗黙の同盟国となりうるのです。 このような「一大取引」の大筋はこれまで広範に報道されてきました。「ミサイル防衛」配備を合法化することになるABM条約修正の合意と引き換えに、アメリカとNATOは、ロシアの兵器を多種購入するでしょう。この取引には、ロシアへの軍事援助と共同「ミサイル防衛」演習が含まれるでしょう。ロシアの科学者と技術者たちは、アメリカが率いる「ミサイル防衛」研究開発に組み入れられ、そうなれば、アメリカは、ロシアの科学・技術資源のいいとこ取りができます。それと引き換えに、ロシアは、旧ソ連を構成した共和国におけるロシアの影響力をもっと認めること、カスピ海油田の利権を分配する上で特権的立場を得ること、NATO拡大の制限を要求してくることが予想されます。xx  確かに、ロシアと中国は、日に日に強まるアメリカ政府の攻撃的覇権主義に対抗するため、弱い「戦略的パートナーシップ」を結んでいます。ロシアがアメリカ政府とおこなってきたミサイル防衛交渉の中で、中国の利害も代表してきたのはこのような状況下においてであって、今後、長期的に見て、中国とアメリカの橋渡し役になることのほうが、自分の「利益」をもっと守ることができると思うようになるかもしれません。 しかしながら、ロシアと中国は両方とも、アメリカ、欧州、日本の技術と投資を切望しているので、両国の「戦略的パートナーシップ」は弱いものとしてとどまります。そのうえ、中華人民共和国の成立以来、アメリカ政府は、ロシア政府と中国政府を分裂させ、お互いを対立させようと務めてきました。日本の指導者たちが、中国に注意を向け、きたる数十年のあいだ西シベリアに植民し、そこを支配するであろうロシアへの不信感をあらわにしている時代に、ロシアの外相が、ロシアは「アメリカとのミサイル防衛協議を前向きにおこなう準備がある」と言い、プーチン大統領が「自分は、限定的ミサイル防衛にかんする合意を話し合うという意見を快く受け入れる」と繰り返しているのは、なにも驚くことではありません。 日本とEUについて言えば、レーガン政権の最後の時期以来、アメリカの戦略的原則において、アメリカ政府の「第一の目標」は「友好国に、われわれの指導力に挑戦する」ことを「思いとどまらせる」ことを含め、「新しいライバル」または「対等の競争相手」の「再出現の阻止」であることが強調されてきたことを忘れてはならないでしょう。xxii このアメリカの戦略的原則には、レーガンの「選択的抑止」、1992年ポール・ウォルフォウィッツ(現在国防総省副長官)監修で作成され父の方のブッシュ大統領が出した初期「国防総省防衛計画指針案」、世界の「全面的支配」という国防総省の任務を擁護する、クリントン政権の「ジョイント・ビジョン2020」が含まれます。 日米同盟が、ロシアと中国の「封じ込め」に加え、日本の軍事主義に「ふた」をし、それを取り込むために押し付けられたものであること、NATOがドイツとロシアを封じ込めるためにつくられたことは、なにも秘密ではありません。アメリカの戦略立案者たちは、彼らの発言が与える印象ほどばかではありません。彼らは、欧州をはじめ帝国の歴史から教訓を学んでいるのであり、大国の出現が必然的にもたらすアメリカの覇権主義への挑戦を封じ込め、必要なら打ち負かす準備を整えたいと思っています。 日本はいま不況にあえぎ、政治的、社会的な混迷状態にありますが、日本の力のほどは、アメリカの政府関係者たちが、中国を懲戒するひとつの方法は、日本を独立した強国として自立させるぞと(中国を)時折脅すことだ、と自慢していることからも分かるでしょう。日本は、いまも世界で二番目に富める国なのであり、経済力は中国の経済力をはるかにしのいでいます。しかも、平和憲法を持ちながら、日本の軍事支出は世界第三位であり、あと一歩で核保有国となる力を持つ国なのです。 より直接的な問題として、EUは経済的な面だけでなく、軍事的超大国となる可能性も持つようになっていることがあります。最近、アメリカとEUのあいだで、貿易、独自の欧州緊急配備部隊の創設提案、アジアにおける影響力、そしてより重要なこととして特に人権と地球温暖化といった価値観をめぐって緊張が高まっています。こうした情勢の展開は、アメリカとEUのエリートの関心と野望が、きたる数十年のあいだに相当違ってくる可能性を示唆しています。アメリカと欧州は、必然的ではなく、理論的には経済とならんで軍事上も「対等の競争相手」となりうるでしょう。 よって、アメリカが「ミサイル防衛」の研究開発・配備に日本とEUをもっと組み込もうと務めてはいても、「ミサイル防衛」/スターウォーズ・キャンペーンとは、部分的には、日本とEUに誰がほんとうのボスかを分からせておくために構想されたものです。「ジョイント・ビジョン2020」とクリントン政権の「核政策見直し」を踏襲して、アメリカ政府のおおくの人間が、「ミサイル防衛」は「不確実性」にたいする「防護手段」の役を果たせるものだと信じています。さらに、ロシアとの関係と同様、アメリカ政府は、欧州と日本の科学技術をアメリカが支配するシステムにさらに取り込みたいのです。 宇宙への兵器配備 5月8日、ラムズフェルド国防長官は、世界にまた別の心配事をもたらしました。ブッシュ政権の閣僚たちが、「ミサイル防衛」計画にたいし世界中で表明されている懸念を鎮めようと走り回るなか、ラムズフェルドは、国防総省の宇宙計画の再編を承認したと発表したのです。発表の中心内容は、空軍に「迅速かつ持続される攻撃および防衛宇宙作戦にむけ、組織、訓練、装備をおこなう責任が与えられた」されたというものでした。 ラムズフェルドの記者会見で目新しかったのは、発表のタイミングだけでした。ブッシュ政権の閣僚になる少し前まで、彼は、議会の宇宙問題委員会の議長を務めており、同委員会の報告では、アメリカが宇宙に兵器を配備すべき時が来たと力説されていました。この報告は、すでに発表されていた「宇宙司令部」報告の繰り返しでした。たとえば、「ジョイント・ビジョン2020」は、「宇宙司令部」の役割を「アメリカの利益と投資を守るための軍事作戦において宇宙分野を支配する」ものと説明しています。報告は、「持つもの」と「持たないもの」のギャップが広がっていることを指摘し、この深まる不平等を、地球を「支配」するための「宇宙統制」を通して強制しようと提案しています。 中国とロシアは当然、宇宙に基地をおくアメリカの「ミサイル防衛」システムを恐れています。このシステムはやがて、中ロの衛星を破壊し、ミサイルと通常戦力の操作に欠くことのできないC3I(指揮統制通信、諜報活動)機能を一掃することができるようになるかもしれないからです。そうして、中ロをアメリカの先制攻撃にたいし無防備にするのです。 抵抗 地域に根ざす運動が、小泉−森のナショナリズムに抵抗し、扶桑社の教科書を採用しないよう地域住民を説得する運動をすすめているのとおなじように、ブッシュ−チェイニー−ラムズフェルド政権の横暴さと憂うつになるような振る舞いを前に、アメリカの平和運動は自らを復活させ、外国でおこなわれている活動から勇気を引き出しています。EP3偵察機をめぐる危機のあいだ、中国政府はアメリカ政府の要求を卑屈に受け入れることを拒否し(中国はおそらく、この種の偵察機が、核戦争計画に使う情報を収集していることにも気づいているxxv)、欧州と第三世界諸国は、二つの国連委員会からアメリカを追放するうえで意外にも協力することで、アメリカの傲慢さに軽蔑感を示しました。イェーテボリから東京、ソウルの街頭やアメリカ大使館の門の前では、「ミサイル防衛」キャンペーンへの反対運動が繰り広げられています。イスラエルとオーストラリアを除いては、ほんの一握りの国しか「ミサイル防衛」に公然と賛成しておらず、グリーンランドの「主権」植民者であるデンマークに至っては、アメリカと中国政府がおなじ筋書きで行動しているのでないかぎり、グリーンランドへのミサイル防衛用レーダーの建設は許さないと主張しています。 アメリカ国内では、アメリカ核兵器廃絶ネットワーク、宇宙の兵器と原子力に反対するグローバルネットワーク、憂慮する科学者の会に加盟する組織が、大きな力を出しうる運動の基礎作りをすすめています。「ミサイル防衛」とスター・ウォーズにたいする国民的な反対を全国的規模で初めて示すものとして、この6月、全米40州から活動家がワシントンに集りました。活動家たちは、「ミサイル防衛」に反対するとともに、議会にたいして、国民規模の運動の発展により、議員たちは責任を問われるようになるぞと通告しました。この集会につづいて、アメリカ全国で、地域に根ざした教育・組織キャンペーンがおこなわれました。そのひとつが、「トリニティ」実験の56周年の日である10日前にロスアラモスで開かれた抗議集会でした。10月中旬には世界各地で数十の抗議集会が計画されています。 私たちは、短期的目標としては、破壊的なTMD配備を阻止する戦略、そして、(長期的には)「ミサイル防衛」の研究開発を終わらせるための基礎となり、アメリカをすべての核兵器を廃絶するための検証可能かつ期限を切った協定の交渉テーブルにつかせるための戦略を作成中です。 作業をすすめるなかで、戦略に欠かせない要素がいくつか明らかになっています。もっとも重要なステップのひとつは、「全米ミサイル防衛」だけに没頭せず、これを、いわゆる「ミサイル防衛」とアメリカの先制攻撃核戦争政策にたいするより広範な反対へと変えていくことです。これができなければ、TMDへの道を開き、あらたな危険な軍拡を確実にし、核の大破局が起こる可能性を大きくしてしまいます。 ここで欠かせないのは、大部分が白人によるアメリカの平和運動が、自ら作った人種、階級、世代の障害を乗り越えて、社会、経済、環境の正義を求める活動家たちと共通の目標に達し、同盟を組むことです。こうした方法で組織せずにはいられない例のひとつに、従来の平和運動が長年にわたり核の研究と廃棄物の被害を受けてきたサンフランシスコのハンターズ・ポイントの人びととのあいだで強められている協力関係があげられます。 最も核心的な点は、アメリカの核戦争政策とアメリカの軍事介入の「極めて危険な関係(deadly connection)」に基づいた議論をおこない、自分たち以外の人種の人たちが進めている干渉反対運動や企業のグローバル化反対運動をしている若い人たちともつながりをつくることです。アメリカフレンズ奉仕委員会は、今後、TMD開発を阻止し、核兵器を廃絶し、東アジアから部隊と基地を撤退させる緊急性を伝えるために、日本、韓国、中国の活動家を招きたいと思っています。こうした動きのひとつに、ボストン・沖縄ネットワークが最近すすめている「ヤンキー・カム・ホーム(兵士たちよ、国に帰って来い)」という簡潔な署名運動があります。署名は、またも起こった米兵による沖縄の女性の暴行にたいし、私たちの恥ずかしい気持ちと怒りを表現し、沖縄と東アジアからの米軍部隊の撤退を求めるものです。ノーム・チョムスキー教授、チャルマーズ・ジョンソン教授、ラムゼイ・リエム教授、ロイ・タクミ州議会議員(ハワイ)、ブルース・ギャグノン、スウェーデン平和委員会などが署名に賛同しています。 最後になりますが、アメリカフレンズ奉仕委員会などの組織はいま、ふたたび現れている「軍備か生活か」論争をリードしようとしています。これは、ブッシュ政権が、金持ちに1兆3500億ドルもの大幅減税をおこなったこと、中国と恐るべき対立姿勢にでていることにより、かなりやり易くなっています。国民が必要としている分野に費やせる予算が大幅に削減されていることから、国民と地域社会は、スター・ウォーズか教育か、「ミサイル防衛」か医療と健康か、新型戦術核兵器か社会保障と高齢者年金かの選択をするどく迫られるようになっています。こうした情勢をみれば、全米市長会議が核兵器の廃絶と国民の要求を支える予算を要求した理由がわかると思います。 終わりに、ここで、世界でもっとも献身的な核廃絶主義者である被爆者と日本の平和運動から学んだことを述べ締めくくりたいと思います。攻撃「ミサイル防衛」の配備阻止、宇宙への兵器配備禁止、核兵器の廃絶達成はすべて可能です。私たちが達成するもの、失敗すれば将来の世代に受け継ぐ恐ろしい危険は、私たちの展望の明確さ想像力の強さ、そして意志の強さにかかっています。 ノーモア・ヒロシマ。 ノーモア・ナガサキ。 ノーモア・ヒバクシャ。 人間を返せ。 ————————————————————————————————————————— Boston Globe, September 23, 2000 Thom Shanker. "Rumsfeld Sees Discord on Size of Military", New York Times, July 19, 2001. Nicholas Lemann, "The Quiet Man", The New Yorker, May 2, 2001 Manchester Guardian Weekly, May 10-16, 2001, emphasis added. Thom Shanker. "Military Scuttles Strategy Requiring '2-War' Capability", New York Times, July 13, 2001 Michael R. Gordon, "Pentagon Review Puts Emphasis on Long-Range Arms in Pacific", New York Times, May 17, 2001 Achin Vanaik, "'Dogging' The Footsteps of the U.S.: The Price of Friendship," May 13, 2001 Internet article Anthony Lewis. Bush The Radical, New York Times, July 21, 2001 Michael Ellison and Julian Borger. "Senate threat to Bush missile defence plan", Manchester Guardian Weekly, May 31-June 6, 2001; Thom Shanker. "Missile Defenses Need More Tests, Key Senator Says", New York Times, June 1, 2001 Jim Drinkard. "Daschle: U.S. role in world slips", USA Today, July 19, 2001 New York Times, May 2, 2001 Noam Chomsky. The Chomsky Reader, James Peck, ed. 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"Few Missile Defense Details Emerge After Powell Talks", New York times, July 19, 2001 Language taken from the Draft Defense Planning Guidance of the George H.W. Bush Administration, and from Joint Vision 2020. www.defenselink.mil/news/May2001/b05082001_bt201-01.html Ruth Rosen, "Arming the Heavens", Peacework, May 2001. William Arkin. Bulletin of the Atomic Scientists, May/June 2001


2001年世界大会